M/M (Paris):最高級のフランス産グラフィック

2008年11月19日 カテゴリー: イベント/展示会, インターナショナル, グラフィック

M/M (Paris):最高級のフランス産グラフィック

M/M(Paris)によるビルボード・ポスター「That's Why They Will Most Likely Be Wrong」。

フランスのとあるアートスクールの新学期初日。蚤の市で買ったビンテージの郵便局員の青いジャケット、青いワーカーパンツ、青い靴下、青いスエードの靴…と全身青い服を着たミカエル・アムザラグは、見知らぬ男子生徒に「どけよ、モノクローム」と言われ、体当たりされた。それが、後に仕事において彼の最高のパートナーとなるマティアス・オグスティニアックとの出会いだ。今日はヨーロッパで最も影響力のあるグラフィックデザイン・スタジオのひとつであり、どこか謎めいたM/M(Paris)に、彼らの活動とギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「The Theatre Posters展」についてお話をうかがった。

作:チエミ

お二人はアートスクールで知合ったそうですが、いつ頃、一緒に仕事をしようと思うようになったのですか?


素敵なパリジャン!M/M (Paris)のミカエル(左)とマティアス(右)。

ミカエル:出会ってすぐでしたね。学生時代の僕達は単にすごく仲が良かったんですが、出会った年の年末には、一緒に仕事することを考えていました。

マティアス:ある時、僕の父親の友人の会社からロゴ制作を依頼されたんです。それで、当時、ミカエルが住んでいた小さなアパートに大きな机を運び入れて、中央に繋がっていない電話を置いて、二人でオフィスのまねごとみたいなことをしていました(笑)。

M/Mはとてもミステリアスな印象があるのですが、今現在は何人くらいのスタッフがいらっしゃるのでしょうか?また、2人の間に仕事上の役割りはありますか?

マティアス:スタジオにはとても優秀なスタッフが3人います。僕達二人の間には役割りのようなものはなく、常に自然に作業を進めるようにしています。例えて言えば卓球のペアのように、どちらかがが打ち損ねたら残りの一人がカバーする、という具合です。

ミカエル:二人の役割りについての話は、実は内緒にしておきたいんですよ。僕達は二人で作品を創ることの神秘性を重要視しているんです。

フランスの作家、フランソワ・キュルレの為のポスター(左)と、サラ・モリスの映画「ロバート・タウン」の為のポスター(右)。

なるほど…。それにしても、スタジオのスタッフの人数に対して仕事量がかなり多いですね。仕事のオファーも沢山あるかと思いますが、引き受けるか受けないかの線引きはどのように行っていますか?

マティアス:最初にクライアントに会って、じっくりと話をすることを重要視しています。仕事は旅行と似ているかもしれませんね。途中で相手のことを嫌いになってしまったら、うまくいく訳はない。初めから、全てがクリアであれば、その旅行は両者にとって楽しいものになります。

ギャラリー「Haunch of Venison」のポスター(左)と、「Translation」のポスター(右)。沢山の要素が複雑に絡み合い、絶妙なバランスを作るのがM/Mのスタイル!

「ザ・M/M・ウォールペーパー・ポスター」。「仕事にはレベルは一切ないんです。どれも同じだけ大切だから。」とM/Mは語る。

そう言えば、今回展示しているCDDBブルターニュ演劇センター・ロリアン劇場のポスター・シリーズは、12年間も続けていらっしゃるそうですね。

マティアス:それほど長く同じプロジェクトを続けていられるのは、初めから全てがクリアな楽しい旅になったからでしょうね。

このシリーズはどのような経緯で始めることになったのでしょうか?当時はお二人の名前も、まだそれほど知られていなかったと思いますが。

ミカエル:劇場のディレクターが、僕たちが90年代の初めに作ったあるファンジンの名刺を見たんです。彼がちょうどその劇場のコミュニケーション・デザインに携わっている時で、僕達の作品に興味を持ってくれたんですよ。それで、その名刺を持ってスタジオに現れた、という訳です。

マティアス:人との出会いは、いつでも素晴らしいものです。僕達はどうしてもこの仕事がしたいからと、無理に誰かと知り合ったことは一度もないんですよ。どの仕事も自然の流れで始まったものばかりです。

「The Theatre Posters」展より、CDDBブルターニュ演劇センター・ロリアン劇場のポスター・シリーズ。

ところで、いつもある種のルールに沿って作業を進めるとうかがったんですが、今回のポスターのシリーズではどのようなルールがあるのでしょうか?

マティアス:このシリーズでは、全体の雰囲気を統一させるために、大きなカラーの写真と、モノクロのテキストを使うことにしています。

写真に関しても何かルールはありますか?

マティアス:同じレンズと自然光を使うことにしています。ほかに、フレーミングも同じ感じに統一しています。

レイアウトはいかがでしょう?いつもとても絶妙なレイアウトをされますよね。例えば、このポスターのシリーズでは、多くの作品で写真素材の最も重要な部分に、文字を重ねるようにレイアウトされていますが。

マティアス:例えばその写真の重要な部分が中央にあったとして、それを避けるように下にテキストを置いたとしたら、ひとつのポスターに二つのオブジェクトが出来ることになりますよね。だから、ひとつのオブジェクトに注目を集めるために重ね合わせているんです。

「The Theatre Posters」展より、CDDBブルターニュ演劇センター・ロリアン劇場のポスター・シリーズ。M/Mは個性的なオリジナルのタイプフェイスでも知られている。

なるほど!以前、このシリーズの一部をイエズス会チャペルで展示した時にデコラティブでとても素敵なフレームを使っていましたよね。あちらもオリジナルのものですか?

ミカエル:フレームだけでなく、そこに置く為のテーブルやライトなど、全てデザインしたんですよ。

マティアス:僕達は展示を頻繁に行っているのですが、その場で使うもの全部をデザインするのは、自分達の世界を再構築するためです。この時は会場があまりにも素晴らしかったので、その会場とシンクロするような展示を行いました。チャペルの中にあるサインや絵には全て意味があります。それと同じように、僕達の作品全てにも意味があるというメッセージを込めて、この展示を「ICONES, INDICES, SYMBOLES」と名付けたんです。僕達の仕事はとても複雑なので、ひとつのイメージを見せるよりもその世界観を作り上げて実際にその世界に入ってもらった方が、より理解しやすいですからね。

複雑でミステリアス、そしてなおかつ美しい!ファッション系クライアントとの仕事も多いM/M。こちらは、バレンシアガの為のシルクスクリーンのポスター。

何か今後挑戦してみたいプロジェクトはありますか?

マティアス:家を作ってみたいですね。建築でもなく、住むための家でもなく、誰かが一生を過ごしたような家を。もしそれをやるとしたら、日本が適した場所のような気がします。

実現すれば、そこでまたM/M(Paris)の別の世界が見られるんですね。とても興味深いです。今日はありがとうございました!

【お知らせ】M/M(Paris)の「ザ・シアター・ポスターズ展」が、今月26日まで開催中です。お見逃しなく!
M/M(Paris)「The Theatre Posters」
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー
会期:開催中〜2008年11月26日(水)まで(日曜・祝祭日休館)
時間:11:00〜19:00(土曜は18時まで)
入場料:無料

6 コメント

  1. M/Mのパクリ多いよね。。ジャパニーズ

    Posted by: mom @ 11月19日2008年

  2. [...] PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン Archive M/M (Paris):最高

    Posted by: Daily Summary 2008-11-19 - mskari.org @ 11月20日2008年

  3. 関係ないけど来年は丑年なので、牛で思い出してピンクフロイドの原子心母を検索してたら、なんとヒプノシスが来日中との記事が。
    一足遅かった。残念。

    Posted by: 山本 @ 11月20日2008年

  4. m/m paris! 今日見て来たー@ggg
    かっこよかったな、どの作品も。

    Posted by: naoko @ 11月22日2008年

  5. もしのいいよー
    なんだか本物なんだ

    Posted by: 山本 @ 3月28日2011年

  6. süper ötesi bişey

    Posted by: goruntulu sohbet @ 7月26日2011年

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