
もしあなた以外の周りの全ての人々が、突然、目の前が真っ白な闇に包まれる伝染病にかかったとしたら、その次に起こり得ることとは一体何だろう…?2002年のデビュー作「シティ・オブ・ゴッド」の中で、監督のフェルナンド・メイレレスは、リオデジャネイロのスラム街に生きるストリート・チルドレン達の壮絶な抗争をリアルに描き出した。そして、2008年の今年、ポルトガルの作家、ジョゼ・サラマーゴの最高傑作「白の闇」を原作に、彼は人々が突然視力を失うことで目の当たりにする恐怖を映像化した。今日は、東京国際映画祭で来日したフェルナンド・メイレレス監督に、話題の新作「ブラインドネス」についてお話をうかがってみた。
作:チエミ
まず、1998年のノーベル文学賞を受賞したジョゼ・サラマーゴさんの原作「白の闇」を読んだ時の第一印象を教えてください。

ジョゼ・サラマーゴ著「白の闇」(NHK出版)
初めて原作を読んだ時、すごくパワフルだという印象を受けました。時々、本を読んでいて、その物語に終わって欲しくないと感じることがありますが、この本はまさにそんな感じでした。何よりも魅力的だったのが、このコンセプトです。我々は秩序だった世界に生きていると思っているけれど、ちょっとした亀裂が入っただけで瞬く間にそれが壊れてしまう、我々が住む文明のもろさを感じました。
原作者のサラマーゴさんは長い間、「白の闇」の映画化の権利を売ることを拒否されていたとうかがったのですが、その後メイレレス監督に権利を渡したのはなぜだと思われますか?
サラマーゴは、最初私が監督することは知らなかったんですよ。映画化の権利を獲得したのは、カナダ人プロデューサーのニヴ・フィッチマンです。彼が長い間サラマーゴを説得し、権利を得て、脚本を書き、その後で私に監督を依頼してきたんです。サラマーゴはどうせ映画化するならば原作のポルトガル語ではなく、多くの人が見られるように英語の作品にしたいと思ってはいましたが、アメリカ映画にはしたくないと感じていました。ですので、カナダ人のプロデューサーはサラマーゴにとって完璧でしたし、私が監督すると知って喜んでいたようです。


映画化するにあたって、サラマーゴさんから何かリクエストはありましたか?

気さくなメイレレス監督。
制作にはサラマーゴにも積極的に関わって欲しいというのが私の希望でしたが、「これは僕の原作だけど、これからはあなたたちの解釈で進めてほしい」と本人から距離を置かれてしまったんです。ただ、彼から出された条件は三つありました。ひとつは台詞を英語にすること。そして、二つ目は舞台を特定できない大都市にし、それによって色々な人が共感できるように、汎世界的なものにしてほしいということ。そして三つめが、話に犬が出てくるんですが、それを大きな犬にしてほしいということでした(笑)。
このストーリーは白い闇に包まれ視力を失ってゆく人達の話ですが、その恐怖感を映像化するにために、ご自分でも何かリサーチをされたのでしょうか?
エキストラが沢山登場するシーンがあったので、盲目の人々の演技指導をするにあたり、ワークショップを行いました。4、5時間目隠しをして部屋を歩いたり、実際に外を歩いてみたり、誰かの声についていったり、何か音を回路にしてみたり、色々なエクササイズを繰り返すのですが、エキストラはかなりの人数だったので、ワークショップを週3、4回開催したのです。その間、私も何度か参加し、特に音に関しての非常に興味深い体験をしました。

では技術的な面ではいかがでしょうか?視力を失う様子を映像で表すために、何か特別な撮影方法を行われましたか?
私達が普段から目にしているイメージを解体したり、イメージを隠すという作業を行いました。つまり、目の前のものが壊れて見えたり、または見えなかったり、そのイメージの中の重要な部分を取り去る作業ということです。例えば、発光するように目の前が白くなってものが見えなくなってくるような絵や、焦点がぼやけている絵、また、いつもガラスのかけらを持ち歩き、反射する絵を撮ったりもしました。また、何を撮るか確認せずにカメラを置いてたまたま撮れた映像を、実際の作品に使用したりもしています。

サラマーゴさんがカンヌ映画祭で初めて本作を見た時の様子をYouTubeで拝見したのですが、涙ぐんでいらっしゃいましたね…。監督はあの時、どのような気持ちだったのでしょう?
最初はとても心配だったんですよ。私は彼の隣に座っていたのですが、映画が終った後、彼は数分間一言も喋らなかったんです。ですので、てっきり作品を気に入ってもらえなかったのだと思いました。その前に、作品に対してのかなり厳しい評価も得ていましたから、私が思うほど作品は良くないんじゃないかと考えていたんです。ところが、上映が終わって会場の明かりがつくと、彼は心から作品を気に入ってくれて、目に涙を浮かべていました…。だから、思わず彼にキスしてしまったんです!普段はあんな風に人にキスすることなんてないのに!(笑)
見ていて一緒に泣いてしまいそうなほど、本当に感動的なシーンでした…。では最後に、この壮絶な物語は、私たち見る者にどのようなメッセージを投げかけているのかを教えて頂けますか?
説明するのは難しいですし、どちらかというとご覧になった方に自ら発見してもらいたいのですが、ただヒントとして、これは人間の本質を描いたものであるということ。危機に見舞われたり、苦しみを経験をすることで私達は本当に多くを学ぶことができる、つまり色々なものが「見えるようになる」ということです。


フェルナンド・メイレレス監督、今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました!「ブラインドネス」は、11月22日より丸の内プラゼール他全国ロードショーです。
3 コメント
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現実的には鳥インフルエンザの恐怖が…
Posted by: 山本 @ 11月5日2008年
コメントを入れちゃう!!!!
Posted by: 山本 @ 3月28日2011年
süper ötesi bişey
Posted by: goruntulu sohbet @ 7月26日2011年