
今年春の表参道のシックな建築散策に引き続き、今回ご紹介するのは銀座の見所!一時はこの界隈も以前の華やかさを失い、その表参道に人気を奪われ、ディスカウント・ショップやチェーン店で溢れた時期があった。しかし東京の高級品への飽くなき情熱に後押しされて、銀座はこの8年間を西側のファッショナブルな繁華街と肩を並べるべく、再生に費やしてきた。本日のPingMagでは、その銀座の魅力的な建築物をご紹介したい。ただしそこは銀座のこと。本日採り上げた建物の多くがその真の美しさを発揮するのは日没後なので、読者の皆さんはショッピングを存分に楽しんだ後に夜の散策に出かけられてはいかがだろうか?詳しい位置は、記事の最後のGoogle Mapでどうぞ!
作:ジェシカ・ナイルズ・デホフ
写真:ティム・ラダー

日中のザ・ペニンシュラ東京と…。(写真:ジェシカ・ナイルズ・デホフ)
まず始めに、銀座の建築物の多くは綺麗でピカピカの類に分類されるだろう。この界隈の大通りには美しくて斬新なカーテン・ウォール構造が立ち並び、そのすべてが日本の比類なき建築技術によって完璧に仕上げられている。その一つ一つがフリットや模様入りガラス、もしくは透明ではなく半透明な素材によって個性を出しているが、それらが組み合わさることで、こういった珍しい建物が映える背景が生まれているのだ。
まずは電車で日比谷駅に向かってみよう。
1. ザ・ペニンシュラ東京
この華やかな建築例は銀座ではないものの、ここ10年ほど東京にはなかった独立構造の高級ホテルには一見の価値があるだろう。ザ・ペニンシュラ東京は地下鉄日比谷駅と直結し、有楽町駅からも至近距離と利便性も抜群で、日比谷公園や皇居からは目と鼻の先のくさび状の土地に建てられている。このホテルは、外観こそ控え目なものの、その内部には8階から23階のバーまでを貫く荘厳なアトリウムがあり、絶景の見晴らしを誇っている。建築家の佐藤和清氏も、ザ・ペニンシュラ香港への会釈のようなつもりで設計したのかもしれない。
それから、また外に出て周囲を見渡してみると、ホテルの後ろ側に何機ものクレーンの影が突出する丸の内のビジネス街を目にすることができる…。

そのまま晴海通りを東に進んで、今度は正真正銘の銀座に向かってみよう。ここでは山手線の高架をくぐった瞬間に、空気が変わるのを感じることができる。建物はより密集しており、人々は誰も彼もが速足、そして何よりも目に入るものすべてが(決して安くないお値段で)売りに出されているのが銀座…。左には消費者主義の象徴の一つであるソニービル。こちらはニューヨークにあるフランク・ロイド・ライトのグッゲンハイム美術館にヒントを得て、ビルの平面を田の字状に四分割して、それぞれのセクションを少しずつ段違いにしたスパイラル方式を採用している。
そしてその右手には…
2. メゾン・エルメス

メゾン・エルメスのガラスブロックのファサード。(写真:ティム・ラダー)
メゾン・エルメス東京は、2001年にレンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップによって建設された建物で、実はこのプロジェクトが銀座の再生のきっかけとなったとも言われている。このスレンダーなタワーは半透明のガラスブロックのみで作られているが、その側面に沿って地上部分を歩いてみると、所々に配置された覗き穴のようなウィンドウに高級時計やスカーフが飾られているのを目にすることができ、ビルの屋上には、エルメスのロゴを彫像にした、旗を持つ馬上の騎手までもが設置されている。素晴らしく凝った建物!

そこからもう1ブロック先に歩くと、右側には…
3. アルマーニ

ヒップスター・カップル!ディオールとアルマーニ銀座。
そのブランドと同様に大胆でグラマラスではあるものの、1年ほど前に開店したこの12階建てのアルマーニ銀座のタワーは、銀座では数少ない地域色を取り入れた建物の一つ。設計はイタリアのマッシミリアーノ&ドリアーナ・フクサスで、ファサードには竹のようなフォルムを持つ形が伝統的な日本の布にも似たパターンを生み出すと同時に、内部のプライバシーを守る遮蔽物としても機能している。
そしてその数歩先へ進むと、右側のジャドール・ディオールに差し掛かる。
4. ディオール
ディオール銀座店のビルは2004年に建設されたもので、設計はリカルド・ボフィルによるものの、真に注目すべきは建物全体を覆うスキンだろう。乾久美子がデザインしたこのパンチングメタルの白いスクリーンは、光ファイバーによる照明に照らし出された夜の姿がまた格段の美しさを誇っている。この外装にもぜひ触れてみて!


そしてディオールの通りをはさんだ反対側には…
5. グッチ

今でも独立した建物。グッチ銀座店。
2年前に開店したグッチの旗艦店は、この高級ブランドの初の独自デザインの店舗である。地上8階建てのこのビルは、ブロンズとシルバーのガラスパネルからなる縦長のチェック模様を成すジェームス・カーペンターのファサードデザインが特徴だ。そしてグッチのクリエイティブ・ディレクター、フリーダ・ジャンニーニによるブランドの総合コンセプトも忘れてはならない。ブルックリン・デジタル・ファウンドリーによるこの建物の3D層状構造もぜひ見てみて。
さて晴海通りを更に進んで、次の交差点を左折して銀座通りに入ると、更なるきらびやかな建物を目にすることとなる。
2ブロック先の左側には、何ともミステリアスな立方体があるのがお分かりだろうか?
6. シャネル


…実際に動いているところはこんな感じ!
松屋銀座の向かいに位置するシャネルは、日中はまるでシンプルな黒い箱状の建物に見えるが、よく見てみると建物の外装に選ばれた素材がブランドを代表するデザインを連想させるものであることがわかる。たとえばカーテン・ウォールの箱型のパターンはハンドバッグのキルトレザーを、そして1階のガラスによる白いチェック模様はシャネルのスーツのツイードを髣髴とさせる。
この建物の10階分のファサードをすべて占拠するメディアウォールは、ピーター・マリノらによって設計されており、日が沈むや否や、銀座の他の建物と同様に、ビル全体がビジュアルを写し出しながらライトアップされる。

そして、シャネルの光の饗宴を見て裏通りへと左折すると、今度は右手に優雅な曲線が見えてくる…。
7. デビアス

銀座に新しく連なった建物の一つが、今春オープンしたばかりのデビアスの日本本社。これほどまでに制限されたスペースの中で空に向かって伸びるガラスと鋼鉄のビルの曲線は、圧巻と言っていいだろう。実際にこの路地自体があまりにも狭いために、全体の構造をじっくり眺めることもままならないのだが、その鉤爪のような頂部はこの界隈のあらゆるところから目にすることができる。
このビルを設計した光井純は、表参道のザ・ジュエルズ・オブ・アオヤマも手がけており、二つのプロジェクトの間には体積を三次元的に分割することへの関心や素材の対比、そして何よりも極端な垂直配向性などの多くの共通点が見られる。
そして更に進むと、右手に次に差し掛かるのは…
8. ミキモト銀座2

まるで壁に光る穴があいているかのよう……。(写真:ジェシカ・ナイルズ・デホフ)
その数歩先には、ガーリーな真珠や花びら、しゃぼん玉などを連想させる、ピンクの砂糖菓子にアメーバ型の窓を開けたかのような、伊東豊雄のミキモト銀座2がある。近頃の東京の雨と湿度にも関わらず、ファサードのピカピカの表層は2年間の寿命のおかげでほんの少し汚れが見える程度になっている。光井純と同様に、伊東豊雄も頑丈なファサードに不規則なオープニングを作るという、同じような技術を使ってトッズ表参道の作業も手がけている。
どうやら銀座と表参道で共通しているのは、ブティックの名前だけではないらしい。どちらの場所でも遭遇できるのは建築家も同様で、その二つの作品の違いを探すことも醍醐味だといえる。さあ、もっと知りたい?それには一旦シャネルまで戻って、銀座通りに右折してみよう。

9. スウォッチ

ハンギング・スウォッチ・ガーデン。
銀座通り沿いに何ブロックか進むと、左手にニコラス・G・ハイエック・センター、別名スウォッチ・ビルのハンギング・ガーデンが現れる。
去年の夏に銀座の目抜き通りにオープンしたこの箱型の白いビルの公園のように開けた緑溢れる1階部分は、単調な店の連なりに新鮮な空気をもたらしている。建築家の坂茂は、難民のためのシェルターや震災後の仮設住宅に紙などの再生素材を使用することで有名だが、このスウォッチ・ビルは彼のエコロジーへの関心により、洗練された企業的な外観を与えた結果だといえる。
最後に、皆さんのためにまとめた地図をどうぞ。
そして超スタイリッシュな写真を提供してくださったティム・ラダーさん、本当にありがとうございました!
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地図がカインズホームになってますよ!
Posted by: 通りすがり @ 9月5日2008年