ビューティフル・ルーザーズに学ぶ、D.I.Yの素晴らしさ

2008年8月20日 カテゴリー: イベント/展示会, 映像

ビューティフル・ルーザーズに学ぶ、D.I.Yの素晴らしさ

無心で絵を描き続けるトーマス・キャンベル。子供の頃に持っていた私達の無限の創造力は、大人になった今どこにいってしまったのだろう…?

昼過ぎにベッドを抜け出し、スケボーに乗って公園へ。夕方になって、何軒かのレコード屋をひやかした後、皆が集まる友達の家を訪ねる。ヒップホップを聞きながら紙に落書きをし、中古屋で見つけた8ミリでたわいもない映像を撮り続けた。…もしあなたが今、30代から40代前半のクリエイターだとしたら、若い頃に同じ経験をしなかっただろうか?90年代、イースト・ビレッジの「アレッジド・ギャラリー」に集まった若者達も、これと同じような日々を送っていた。彼らの名前は、マーク・ゴンザレス、バリー・マッギー、マイク・ミルズハーモニー・コリン、そしてシェパード・フェイリー…。ただ遊んでいただけの若者達(ルーザーズ)は、いつしか小さなギャラリーでお互いを刺激し合い、そこで生まれた無限の創造力は、後に世界のクリエイティブ・シーンを代表するものになっていった。今日は、今月初めに原宿ラフォーレで開催された「ビューティフル・ルーザーズ」展を振り返りながら、D.I.Yの素晴らしさについて考えてみたい。

作:チエミ

先日、「アレッジド・ギャラリー」の創始者であり、そこに集まったアーティスト達を追ったドキュメンタリー映画「ビューティフル・ルーザーズ」の監督でもあるアーロン・ローズと、本作にも登場するスティーヴン・パワーズ(ESPO)やジョー・ジャクソンらがプロモーションの為に東京を訪れた。今回の来日に合わせ、すでにアメリカ、イタリアなどを巡回したアーロン・ローズのキュレーションによる同名の展覧会が原宿ラフォーレでも開催され、当時のアレッジド・ギャラリー同様にD.I.Y(手作り)で作り上げられたその展示は、私たちに改めて「ものづくり」の楽しさを教えてくれた。

展覧会の準備期間、来日中のアーティスト達自らが会場で作業を行う。

作品が貼られる前の壁にはグラフィティも。右はマスクを付けたESPO。

海外からのアーティストが国内で展覧会をする場合は、大抵作品は空輸され、現地のスタッフが指示通りに設営を行うものだ。しかし、今回来日した彼らは展覧会開催日の数日前から実際に会場入りし、作品のいくつかをその場で作り、それを自分の手で壁に貼り付けた。

かなり大きな作品を現場で描くESPO(左)。ジョー・ジャクソンはまるで馴染みのギャラリーで作業しているよう!(右)

そして、オープニング・パーティー当日、会場は満員御礼!アレッジド・ギャラリーのアーロン・ローズも姿を見せ、次々と声をかけてくるパーティーの参加者達との会話を楽しんでいる。中央に設置されたスタジオの中では、来日ゲストの一人であるタトゥー・アーティストのアレクシス・ロスが今だに筆を握っている。

大盛況の会場(左)と、アレッジド・ギャラリーの創始者、アーロン・ローズ(右)。

会場内に設置されたスタジオ(左)と、パーティー中もその中で作業を続けるアーティストのアレクシス・ロス(右)。

スタジオの中に乱雑に置かれた画材の数々。これこそ、D.I.Y!

さらに来場客が増えると、ライブ・タトゥー・パフォーマンスが始まった。…と言っても、こちらはたまたま勇敢な来場客の一人がその場で名乗りを上げたから実現したもの。本人もまさかこの日、新たなタトゥーを入れることになろうとは予想だにしていなかったはず!

タトゥーを彫るアレクシス。結構痛そう!

ちなみに左がアレクシスが使っているホームメイド・タトゥーガン。テープでグルグルに巻かれた電池の先に小さなモーターと針がついている…。右が完成したタトゥー。

アーティスト達の来日中は、様々なワークショップも行われた。テーマは、「自分を表現しよう!MAKE SOMETHING!!」。私達が覗いたのは、アーロン・ローズによる「ZINE(ミニコミ誌)の作り方」。20人ほどの参加者達を3チームに分けた後、ポラロイドカメラを使って会場内の写真を撮り、そこに手描きのドローイングを加えながら、今回の展示用のカタログを作ろうというもの。

初めはどのようにして表現をしていいのか分からなそうだった参加者達も、時間が経つにつれて徐々に慣れてきたよう。後半にはカタログの一部を切り抜いて立体にしてみたり、チラシを切って貼り付けるなど、様々な工夫が見られるようになった。

展覧会初日に行われたアーロン・ローズのワークショップの様子(左)。手描きでジンを作る参加者を見守るアーロンの姿は、まるで美大の先生のよう(右)。

完成!なかなかの出来映え!

展示とワークショップを通して、自分の手でものを作る楽しさを教えてくれたアーロン・ローズとアーティストの面々。本作の中でも、彼らはものづくりに対するそれぞれの思いを語っている。

「子供の頃は誰だって絵を描いたり、色を塗ったり、物を作ったりする。でも悲しいことに、大人になると創造的なことをやめてしまう。絵や物作りの楽しさを忘れてしまうんだ。」(エド・テンプルトン)

「僕達は子供なんだよ。僕達の作品は、子供同士の合い言葉と同じ。僕達の関心事は子供と変わらない。」(スティーヴン・パワーズ/ESPO)

「僕が見たい映画がないから自分で撮るんだ。何よりもまず、自分と友達のためにね。僕にとっては大作を撮って成功するなんて何の意味もない。僕が撮りたい映画を自由に撮れて、頭の中のイメージを映像化できるならそれでいいんだ。」(ハーモニー・コリン)

エド・テンプルトンによる写真の数々。

去年の夏、ワタリウムで開催された個展の記憶がまだ新しい、バリー・マッギーの作品。

スタジオの中に貼られた手描きの看板(左)と、先程ESPOが描いていた作品の完成品(右)。

ジョー・ジャクソン(左)と、OBEYとしてもお馴染みのシェパード・フェイリーの作品(右)。

…残念ながら都内でのこちらの展示は既に終了済み。しかし、映画の方は引き続き渋谷シネマライズで上映中なので、ぜひものづくりの素晴らしさ、そしてそこから生まれた圧倒的なパワーをこの作品から感じとって欲しい!

懐かしい思い出、そして悲しい実話も語られる「ビューティフル・ルーザーズ」の予告編(英語版)。日本語版はオフィシャル・サイトで。

2 コメント

  1. ナイキジャパンは「ビューティフル・ルーザーズ」のスポンサーです。
    ナイキジャパンは宮下公園をナイキ公園にしようとしています。

    Posted by: じゃむ @ 8月22日2008年

  2. ビューティフル・ルーザーズに学ぶ、D.I.Yの素晴らしさ good post1386

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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