エレクトリカル・ファンタジスタ:新世代メディア・アートを考える

2008年8月1日 カテゴリー: イベント/展示会, テクノロジー, 国内

エレクトリカル・ファンタジスタ:新世代メディア・アートを考える

メディアを越えて様々な映像表現を行うWOWの「Polar Candle」は、騙し絵とモーショングラフィックを融合させた作品。現在横浜で開催中のメディア・アートの祭典「エレクトリカル・ファンタジスタ」より。動画はこちらから。

横浜の歴史的建造物、旧関東財務局を改装したスペース、ZAIMにて現在開催中の「エレクトリカル・ファンタジスタ」は、新世代のメディア・アーティスト達による作品を集めた展覧会。ちょっと遊べる、ちょっと笑える、ちょっと癒されるこれら作品の数々は、ひょっとしたら私達があと数年以内に日常で体験出来るものばかりなのかもしれない。今回は、主催者であるクリエイティブ・クラスターの岡田智博さんにお話を伺いながら、新世代のメディア・アートについて考えてみたい。

作:アヤナ

まず、岡田さんが代表を務めるクリエイティブクラスターの活動と、「エレクトリカル・ファンタジスタ」を開催した経緯をお聞かせ下さい。

私は今回の「エレクトリカル・ファンタジスタ」のキュレーターでもあるのですが、これはメディア・アートにおける新世代アーティスト達のための展覧会です。新世代とは、ファミコンもパソコンも身の回りにある環境で育った人達で、ゲームを作ろうというより、ゲーム機を作ろうという考えがあまり特異ではなくなってきている世代です。そういう人々の作品がもっと展示されるべきだし、広がるべきだと思っているのですが、メディア・アートは現在世代が入れ替わっている時期であるにも関わらず、発表の場が非常に少ない。そのため、クリエイティブ・クラスターを設立して、毎年展覧会を開くようになりました。


インタラクティブデザイナーとしてヨーロッパを中心に活躍するクリスピン・ジョーンズによる作品「Tengu」。USBに繋ぐだけで、音楽に合わせてキャラクターが表情を変える。動画はこちら

倉本仁「vibon」。白い器からの振動で、テーブル自体がスピーカーになるうという不思議な作品。

今の時代は、インターネットなどの情報を通じて、自分たちの判断基準でアートやデザインを見て、選べるようになっていると思います。そういう人達によるフューチャー・テクノロジーを広げることが重要じゃないかなと思うのです。今回は、会場デザインを101 TOKYOも手がけた長岡勉さんにお願いしました。作品を見る展覧会というより、作品と触れ合って遊んだり、作品を見ることで会話が生まれたりするような空間で、メディア・アートによって日常生活が潤うことを想像してもらいたいのです。

真壁友+chimney「Sometimes I’m Happy」。グルグルと回る5枚のレコードの上で、小さな動物「チムニー」が踊る!動画はこちら

ボタンを押す、つまみを回す以外にオーディオの音量を調節するためには?松山淳一による「hana no ne」では、なんと花瓶に花を増やすことで、音量を調節できる!

松山淳一「machi akari」。鉛筆の黒鉛は電気を通すため、絵を描いて二つのコイルを繋ぐことで点灯できるライト。

ところで、「メディア・アート」という言葉にまだ馴染みのない方もいるかと思うので、初心者の方に向けて簡単にご説明していただけますか?

狭い意味では、“電子媒体”や“電子媒体を使うテクノロジー”を使った表現です。広い意味では、人と人、人とモノをつなぐ表現となると思います。それは例えば、岡田憲一さんの作品のように、電子媒体を使用していなくても、作品というメディアを通して人々の感覚を変える表現のことですね。メディアというと、映像などを想像しがちですが、そうではなくて、作品と人との間に詩的で感動できるものを作り出すのが、メディア・アートなのではないでしょうか。


岡田憲一による「エモートスコープ」。カメラを覗くだけで、見慣れた景色が8ミリカメラの映像のような少し懐かしい景色に変換される。

ムラタチアキ「METAPHYS susuki」。ススキのようにわずかな空気の流れで動き、光り、揺れる照明。動画はこちら

delight「◎◎◎◎(cycle)」。これまで人々の足となってきた古い自転車の車輪を集めて作られた作品。右にあるペダルを手で回すと、車輪についたライトが点灯し、人、エネルギー、テクノロジーをひとつに繋げる。動画はこちら

なるほど!メディア・アートには思っていたよりも深い意味があるんですね。では、今回の展覧会の作家のラインナップはどのような基準で選ばれたのでしょうか?

一つは、表現というものを通してテクノロジーを一歩先の未来に向けて魅力的なものに変えてくれる人。また、それを作品として作っている人。二つ目に、コンピューターと共に育った世代以降の人、また、作品で感動を与えられる人。三つ目に、アートとしてだけでなく、プロダクトやスペースデザインになりうる作品を作っている人。これらが軸になりました。


バスキュールによる「ぎょろる」。自分の携帯を使って、床に映し出された釣り堀で魚釣り…。

…そして釣った魚は壁に映し出された水槽で保存!自分の名前付きの魚が泳ぐ参加型アクアリウム。

これから展覧会を訪れるみなさんにメッセージをお願いします。

作品の持つ魅力を楽しみながら、自分にとって愛おしいと思えるテクノロジーを見つけてもらいたいです。今回の展示をきっかけに、作品が企業と繋がって商品になるといいと思いますし、メディア・アートのある飲み屋などが生まれてもいいなと思っています(笑)。将来的には、大企業ではなく、アーティストやデザイナーがITを作るような世の中になるといいですよね。このような展示が出来る広い会場は、首都圏には横浜にしかないのが現状ですが、多様な人達が多様な形で発表することで豊かさが生まれれば、東京、横浜は今よりもっと面白くなっていくと思います。

確かにそうですね!岡田さん、今日はありがとうございました。展覧会を訪れる皆さんは、開港の街・横浜をぜひ楽しんで下さいね!


会場のZAIM別館入り口。

【お知らせ】メディア・アートの祭典「エレクトリカル・ファンタジスタ」は、来週水曜まで開催中です。お見逃しなく!

エレクトリカル・ファンタジスタ
会期:開催中〜2008年8月6日(水)まで
時間:13:00〜19:00
会場:横浜ZAIM別館Annex(地図
入場料:700円

3 コメント

  1. ikimasu-/

    Posted by: coco @ 8月1日2008年

  2. coco san and all,
    arigato!

    Posted by: tomohiro @ 8月4日2008年

  3. エレクトリカル・ファンタジスタ:新世代メディア・アートを考える good post1378

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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