
本日が最終日となったG8サミットが開催された北海道は、日本の国土の約2割をも占める、大自然に囲まれた大きな島。世界遺産に登録された知床や、新鮮な魚介類など、その魅力は尽きないが、やはりPingMagは今だからこそ、北海道のクリエイティブシーンに注目しておきたい!今日は4組の皆さんにコメントを頂きながら、東京とはまた違う、小規模ながらも魅力的な北の大地のクリエイティブシーンを覗いてみよう。
作:チエミ

3KG
都内で行われる小規模の展覧会が国内を巡回する場合、真っ先に名前があがるのが、北海道最大の都市、札幌。ここ数年、盛り上がりを見せる札幌のクリエイティブシーンで活動する「3KG(スリーケイジー)」は、2001年、3人のグラフィック・デザイナーによって始められた。ブランディング、出版、広告、放送、ビジュアル・プランニング、イベントの企画など、手がけるジャンルは幅広く、最近では「なんだか面白そう!」と思わせる札幌のイベントには、大抵彼らが関わっている。イギリス発の映像祭「ワンドットゼロ」との関わりも深い彼らだが、昨年11月には、ロングライフ商品をテーマとしたセレクトショップ「D&DEPARTMENT PROJECT」の札幌店をオープンさせた。
Q:北海道のクリエイティブシーンについてどう思われますか?
A:北海道のクリエイティブシーンについては、どんどん無意識になってきていて、正直言ってわかりません。ただ、北海道は世界の文化の中心ではありませんから、いわゆるクリエイティブな仕事の需要は少ない地域です。しかし同時に、未開拓な地域なので、本気で取り組めばゼロから仕組みを作り上げられる余地があります。誰も耕していない土地がある。さらに東京やニューヨークに出稼ぎに行くのも自由。おそらくそこが面白いところなのではないでしょうか。これはどの地方にもあてはまることだと思いますが、ポジティブに言うと、やりたいことは何でもできる。ネガティブに言うと、黙っていても何も起こらない、ということです。(3KG、佐々木信さん)


北海道観光文化局の依頼でデザインした紙袋。書かれた数字は、札幌中心部の緯度と経度、北緯43度4分、東経141度21分の意味。
寺島デザイン制作室
北の大地で生まれるデザイン、と聞いてあなたは何を想像するだろう?札幌に本拠地を置く「寺島デザイン制作室」は、グラフィックデザイナー寺島賢幸氏によって1992年に設立され、現在、9人の個性的なデザイナーが在籍するデザイン・スタジオ。ただ美しく見せるだけでなく、遊び心もあるそのデザインには、どことなく北海道ならではの余裕が感じられる。先頃行われたワルシャワのポスター・ビエンナーレでは、世界140名の入選者の中に、なんと代表の寺島氏を含め社員が5名が入選。素晴らしい作品の数々は、代表の寺島氏自らが書いているブログでどうぞ!
Q:北海道のデザインシーンの魅力は何でしょう?
A:2000年に札幌アートディレクターズクラブが出来てから、国内、海外を問わずコンペで入賞、入選するデザイナーが増え続けています。北海道にはワクワクする競争の場があると思います。(寺島デザイン制作室代表、寺島賢幸さん)

矢野佳糸美による美容室「an’tico」のポスター。ワルシャワ・ポスター・ビエンナーレ入選、フィンランドのラハティ・ポスター・ビエンナーレでは第2位、台湾国際ポスターデザインアワードでは金賞を受賞。

川本 真也による、フローリスト百々屋の移転告知ポスター。

足立 詩織による、内山書道教室ポスター。Sapporo ADC 2005 ポスター部門賞ノミネート作品。
Kinpro
カラフルでキュートな世界を描き出すKinpro(キンプロ)こと新矢千里(しんや・ちさと)は、札幌を拠点に活動するイラストレーター。同じく札幌から世界に情報を発信するバイリンガル・ウェブマガジン、SHIFTのプロデュースによるSOSOカフェで個展を開いたことをきっかけに、その活動の幅を広げてきた。これまでに、PingMagの友人でもあるゲシュタルテンへの作品の提供や、コペンハーゲンのデザイン・ホテル「フォックス」のプロジェクトにも参加。キンプロの作品は、いつも北海道らしく、自然がテーマのひとつになっている。
Q:北海道はあなたの創造力にどのような影響を与えますか?
A:洞爺湖の自然がクローズアップされている番組を見て、改めて素晴らしいと感じました。サミットが終わって、観光客が居なくなった頃に行ってみようと思います。私の窓からも山が見える、この土地の自然に影響を受けていたことを、自分の作風を通して改めて自覚しました。

Kinproによるイラスト。山道を歩く沢山の動物達!

2005年にゲシュタルテンから出版された「デザイン・トゥ・ヘルプ」の為のイラスト。

OKI
エゾロックの名で親しまれる野外フェスティバル「ライジング・サン」や、札幌を拠点にするヒップホップ・グループ「ザ・ブルー・ハーブ」など、音楽の話題にも事欠かない北海道。そんな中で、今回私達が注目したのは、アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」奏者のOKI。彼自身は神奈川の出身だが、実は北海道の先住民であるアイヌの血を引いている。アイヌの伝統音楽にダブを取り入れたOKI率いる「ダブ・アイヌ・バンド」は、アイヌ音楽の素晴らしさを現代に蘇らせた貴重な存在。以前、PingMagでも紹介した切り絵アーティストの福井利佐さんの個展のオープニング・パーティーでは、OKIによる素晴らしいトンコリの演奏が行われ、来場客を魅了した。

アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」を持つ、OKI。
Q:北海道という土地と音楽の間には、どのような特別な関係があると思われますか?
A:生活と音はどちらが先の生まれたか分からないが、たぶん同時なんだろうと思う。人間の生活はもれなく「土の上」で生まれた。そしてある場所の気候、風土が「言語」を生み、食べるものを決め、そこから口ずさむ歌が生まれる。砂漠には砂漠の、海には海の、北海道には北海道の歌がある。アイヌ文化を決定づけたのはこの土地と環境だ。だからウポポ(歌)はアイヌモシリと呼ばれる大地と直結している。香港ではウポポは育たないのだ。そう言った意味で音楽は植物や動物に似ている。

G8サミット開催中に、世界中から注目された北海道。北海道を訪れる機会があったら、ぜひその大きな大地が生み出したクリエイティビティの素晴らしさにも触れてみて下さいね!
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Posted by: links for 2008-07-10 « 個人的な雑記 @ 7月11日2008年
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