
日本中のどこでも見られるものといえば、それは間違いなく自動販売機だろう。外国の方にとっては、使用済み下着の自販機や生きたカニのUFOキャッチャーなど、むしろ突飛で風変わりな自販機のほうが強く印象に残っているかもしれず、事実、地方にはあつあつのフライドポテトから生みたて卵まで、珍しい自動販売機が点在している。だが近頃で、どこにでもある普通の自販機が、ちょっと普通ではなくなってきているという。これは決して最近導入された未成年者のたばこ自動販売機の使用を制限するためのIDカード、タスポを指しているわけではない。その事情をもっと詳しく知るべく、本日のPingMagは半年ごとに東京ビッグサイトで開催される自動販売機総合展示会、ベンデックス・ジャパンに出展されていた最新の技術をお届けします。皆さんも小銭の準備をお忘れなく!
作:レベッカ・ミルナー
協力:シースカウトジャパン

まず初めに、今や世界中の至るところに存在する自動販売機の役割について考えてみよう。歴史を遡ってみると、世界で初めて作られた自販機は紀元前215年頃にアレキサンドリアの古代エジプト神殿に置かれた空気圧式の聖水販売装置だといわれている。日本初の自動販売機はその遥か後、1890年にお目見えし、1904年に作られた現存する最古の切手販売機は、今でも博物館明治村で見ることができる。以降、国内の自動販売機の数はなんと5,405,400台にまで増加し、日本は世界でもっとも人口あたりの自販機の数が多い国(なんと23人に1台!)となっている。これらの自販機の約半数がよくある飲み物の自動販売機であるのに対して、残りの半数には驚くほど沢山の珍しい品々を売る自販機が含まれており、例えば118,000台はかみそりや靴下の自販機だし、なんと5,500台が缶入りの麺類を販売しているという。

日本自動販売機工業会の調査によれば、回答者の22%が自動販売機を「1日に2回以上」もしくは「1日に1回位」利用すると答えている。そして昨年の自動販売機による売り上げは、なんと総額7兆円弱にも上るというからびっくり!

もちろん日本の日常生活の一部である自動販売機は、特殊な興味の対象にもなっているようだ。札幌在住の元町二十四軒氏は、2005年の8月以来、毎日近所の同じ自動販売機の写真を撮って、微細な商品や宣伝キャンペーン、そして季節ごとの装飾の変化を自身のブログ「私は毎日(のように)自動販売機の写真を撮っています。ごめんなさい。」で報告している。このブログは多くのファンを獲得し、元町氏はそういった人々のために彼の最愛の自動販売機の印刷用のペーパーモデルまで制作している。実際に作ってみた人々の写真も、Flickr内のこちらやこちらで見ることができる。


そして最後に、皆さんが自動販売機の一般的な環境問題について触れる前に、ベンデッックス・ジャパンに出展されていた最新の商品をご紹介したい。この商品は、以下の問題を念頭に置いて開発されている。
1. エコ自動販売機

富士電機の外部を苔に覆われた太陽電池式(屋根部分)の新機種!都市部をよりグリーンにする取り組み…。(画像提供:シースカウトジャパン)
自動販売機の省エネ化はもはや当たり前で、フルオロカーボンを使わないものも多く設置されてきているが、富士電機は今回、未来の自動販売機とも言える苔に覆われた太陽電池式自動販売機のプロトタイプを出展した。上部に設置されたソーラーパネルが飲み物を温めたり冷やすためのエネルギーを供給し、外側を覆う苔が断熱性を向上させる仕組み。また緑の外装は、灰色の都市部にもより自然な印象を与え、景観の美しい地域でも自動販売機が背景に溶け込む手助けをしてくれる。
またコカ・コーラ社も富士電機と共同で緑化に取り組んでおり、ハイドロフルオロカーボン(HFC)をまったく使用しない機種を、3週間後の7月に北海道で開催されるG8サミットで発表する予定。

2. 成人識別

まずは年齢の確認を。未成年者へのたばこの販売防止を助ける、フジタカの顔認証成人識別装置。(画像提供:シースカウトジャパン)
株式会社フジタカでは、未成年者がたばこを購入するのを防止するために顔認証機能のついたたばこ自販機を開発している。使い方は簡単で、自販機についている小さなミラー(に見えて実際はデジタルカメラ)に顔を映し、ボタンを押してスキャンするだけ。すると認証システムが肌のハリや目元のシワなどの「顔」の特徴を100,000人の顔から作られたデータベースと比較して、利用者が成人かどうかを識別する。現在このような自販機は日本各地に設置され始めており、7月には東京圏でも稼動が開始する予定。この装置に何歳と言われるか、ぜひ試してみたいところ!

7月からは、喫煙者が自販機からたばこを買うにはICカード「タスポ」への登録が必要となる…。(画像提供:シースカウトジャパン)
フジタカの発表では正解率90%ほどだというこの慎重すぎるほど慎重なプログラムは、童顔の成人を差別する傾向があり、そういった場合には、7月からすべての自販機に義務付けられるもう一つの識別装置(前述のタスポカード)に年齢を証明できる身分証明を読み取らせる必要がある。この顔認証方式は、現時点ではまだ政府の認可を得ていないものの、フジタカは利用者の多くは登録を必要としない年齢認証を好み、故にフジタカの設置店の強みになると主張している。
3. ローカルガイド
朝のコーヒーを買いながら、新しいレストランの情報が手に入るなんていうのはどうだろう?フジタカは、街中のいたるところにある邪魔者をインタラクティブ・ツールに変身させた自販機のシリーズも発売している。タッチスクリーン画面を搭載した自動販売機モニタンは、周辺のマップ、近隣のレストラン情報や娯楽施設、電車の時刻表を含む行き先ルートの検索、それに区役所の広報ニュースまで提供してくれるもので、自販機に人が近付くとモニタが点灯して、利用者にお役立ち情報の配信を始める。現時点では、モニタンは渋谷と秋葉原に設置されており、そこでの導入が成功すれば、近い将来にあらゆる街角で目にするようになるはず。

4. 高級グルメ飲料

イタリアの本場の味のコーヒーを提供してくれるエムワンカフェ・コーヒーシステム!(画像提供:シースカウトジャパン)
株式会社アペックスのエムワン・カフェは、大半のボトル飲料のやや人工的な風味を改善することを目的としており、イタリアの本場の味が楽しめるエスプレッソメーカーが搭載されている。それに加えて、外観もよくある自動販売機の機能的なものではなく、メニュー表まで付いた本物のコーヒー店のカウンターをイメージしたデザインになっており、抽出中はモニタに現在抽出されているコーヒーの名前まで表示される。そして利用者は、なんとタッチスクリーン式のメニューでカプチーノやラテなどのコーヒーの濃さ、甘さ、ミルクの量まで調節することができ、氷で急速冷却された香り高いアイスコーヒーも楽しめるという。ただしコーヒーが出来上がった時の合図まで本場イタリア式なのかが少し気になるところ。
5. 現金不要の自動販売機

今や自動販売機のセンサーにSuikaをかざすだけで缶コーヒーが買える便利な時代!(画像提供:シースカウトジャパン)
社会全般に歩をあわせるかのごとく、自動販売機も現金不要の支払いシステムに移行しつつある。今日では、首都圏の駅のほとんどの自動販売機がSuicaかPASMO、もしくは携帯電話(写真左)を使って購入できるようになっている。
日本コカ・コーラはそこからさらに一歩進んで、シーモと呼ばれる自販機に対応した独自の決済方法とポイントシステムを提供している。このサービスはドリンクの購入に使えるポイントが貯まるだけでなく、新商品情報や時にはドリンクがもらえるクーポンの役割を果たすQRコード付きのEメールを利用者の携帯に配信している。この自販機の設置場所を知りたい方は、日本コカ・コーラの東京のマップで確認できる。(写真下)

もちろん最高の現金不要の自動販売機は、そもそもお金がまったく必要のないもの!と思っていたのだが、私たちが原宿のサンプル・ラボで見つけた先程のアペックス社のエムワンカフェ自動販売機は、料金の100円を支払う代わりに利用者に30秒のコマーシャルを見てもらうというものだった。これはどちらがお得というべきか…?
ともあれ、ここは温かいラテが1杯ほしいところ!それもできれば缶入りではないものを…。読者の皆さんも、近所に一風変わった自販機を見かけたら、ぜひご一報ください!

3 コメント
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焼肉のタレ自販機。
Posted by: 山本 @ 6月17日2008年
すごい!!日本のじはんはこんなに進化してるんですね!!
Posted by: 匿名 @ 6月18日2008年
すばらすぃ・・・(゜ロ゜;)
Posted by: sayan @ 1月10日2009年