
街灯が可愛く光る都会的なアートになりえる街があるとすれば、東京がまさにそれだろう。エレガントなレトロ調のものから、まるでスタートレックのセットの装飾のような未来的な雰囲気を持つものまで、街灯は雑踏の一番楽しく、そしてもっとも見落とされがちなデコレーションだ。少なくとも、今日までは。だが私たちが当たり前のように日々通り過ぎてきた街灯も、実は通行する人の街並みへの印象や街頭での振る舞いを考慮して綿密にデザイン・設計されている。本日はPingMagが良い街灯とは何かを理解するために探し出してきたロマンチックな灯りや都会的なゴテゴテなどの素晴らしい例を楽しんでいただきたい。
作:マイケル・マホニー
訳:山根夏実
分類
まず初めに、街灯には実はいくつかのタイプがあり、ドライバーのために車道を照らす「道路照明灯」や、歩道を行く歩行者のための「街路灯」などに分類される。

サイズに関しても、道路や歩道用の大型街路灯(高さ6~9メートル)や、歩道用の中型街路灯(高さ2~4メートル)とそれが更に小さくなった、もっと狭い間隔で設置される明るさを絞ったものがある。またこれらの街路灯についてさらに詳しく述べるなら、大型街路灯は一般的に街並みにひっそりと溶け込むように作られているのに対して、中型街路灯はより装飾的で、その街並みの景観に配慮して、イメージに合わせたデザインとなっている。なんともお洒落!
用途
言うまでもなく、街灯の明らかな用途については、世界中の都市設計家、市役所、美化団体が以下の内容で一致している。
1.夜間にドライバーや歩行者の視界を補助するもの。
2.日没後の路上での安全性を推進するもの。
3.地域の雰囲気に貢献するもの。
4.ある特定の建築物を強調するもの。
また近年では街灯の消費エネルギーへの懸念も高まっているので、良い街灯とは光害を軽減し、できる限りエネルギー消費を抑えてアル・ゴア氏を満足させるものだともいえるだろう…。
世界各地の都市計画立案者や照明デザイナーは、こういったことを念頭に置きつつ街灯デザインに熟慮を重ねている。しかし東京による美観への配慮はそれに留まらない。ここにいくつかの例を挙げてみたい。
安全なデザイン
ロサンゼルスの街路灯整備局などの警察は、良い街路灯が街の安全性を高めると主張し、それを裏付ける科学的な研究データも発表している。イギリスの内務省が行った安全なデザインに関する調査報告書には、「照明の改善は犯罪件数の低下をもたらしており、実験エリアでは全体的に20%もの犯罪件数の減少が見られた」という結果が報告されている。この「実験」という言葉がどういう意味なのかが気になるところだが…。

しかしながら、同じくイギリスの「良い街灯照明が及ぼす犯罪と不安感への影響」という興味深い研究は、何よりも重要なのは、街灯が私たちに安心感を与えることだとしている。周囲が見えやすくなることで、そこまで身の危険を感じなくなるのだ。ごもっとも!
では、どういったものが安心感を与えてくれるのだろうか?オークランド市によれば、安全で良い街灯というものは、10~15メートル離れた位置からでも他人が見える状態を指すとしている。イギリスの建築研究所による別の研究では、一般的な視力を持つ人間であれば、12.5メートル離れた場所から他人の顔を見れば、その人物の意図や目的を知ることができるという結果が発表されている。次に暗い夜道を歩くときは、これを覚えているといいかも…。

古典的条件付け
地域社会の街並みに対する考え方を発展させる団体、セント・ルイス・グレート・ストリートは、こういった機能性とは別に「街灯照明器具は…通りと近隣の個性や景観を形作るものでもある」と述べている。これは一体どういう意味なのだろう?
まず一つには、配光がある。異なるタイプの光によって、夜の街並みを荒涼とさせることも魅力的にすることもできるのだ。暗めの光は人をリラックスさせると同時に、もう何件かのお店に立ち寄ってみようかという気にもさせる。反対に、明るい光は人の歩調を早めるのだという…。

どうやら長い年月の間に、都市設計家は様々なタイプの照明で私たちの街中での行動を形作る術を身に付けたようだ。オークランド市はここでも興味深い研究を実施していて、異なる光の演色と色温度を使って、いかに通行人の様々な行動をコントロールできるかの表を作っている。例えば暖色の照明の下では、通行人は歩調を緩めてリラックスするが、寒色の光の下では、たとえそこが安全に見える地域であっても足を止めない傾向にあることがわかった。これは販売営業部門も興味を示す事実に違いない…。

地域のアイデンティティを形作る
皆さんも毎日いくつもの街路灯の下を歩いていると思うが、その大きさや形に注意して見たことはあるだろうか?もしなければ、ぜひ一度見てみていただきたい!シアトルのライティング・デザイン・ラブによれば、街路灯の外観自体も地域のイメージに貢献していて、「例えば下町にハイテクな景観を持たせたいなら、そのイメージを後押しする器具を選ぶし、もっと古風で素朴なイメージを求める街は、装飾的もしくはアンティーク調の器具を使います」と説明している。


…東東京の昔を彩る顔ぶれがずらりと並んでいる。(写真:ティム・ラダー)
このように、街灯は地域の歴史を振り返るためにも使われ、その地域の建築物や歴史にちなんだディテールを施されていることもある。例えば、伝統的な落語の演芸場で知られる浅草では、昔の演者さんの顔でライトアップされている裏通りもあれば(写真上)、有名な浅草寺に続く通りには、なんと小さなお寺の形の街灯まである(写真下)!
だがそれ以外の場合は、街灯はその周囲の環境とは無関係の、独立した可愛らしいアーバン・アートの作品だ。東京ではそれが特に顕著で、大型街路灯と中型街路灯の両方に素晴らしいデザインが見られる(ミスマッチだったり、まったく意図が見えなかったりもすることもあるけれど)。通勤ラッシュ時のスーツ姿の人の波の狭間に突如として現れる巨大な光る花や小鳥さんには思わず笑みをこぼさずにいられない…。

改善措置
都市部の夜の空を光害が侵し、消費電力が地方自治体の財政を圧迫する昨今、良い街灯とはエネルギーの無駄遣いをなくすものだと主張するザ・インターナショナル・ダークスカイ・アソシエーションのような光害反対運動を行う団体も少なくない。しかし、反対運動以外に、一体何ができるのだろう?

街灯の中には、光源の上部にシールドや金属板を配置することで光を下向きに反射して、余分な光が夜空に放出されるのを控えているものもある。

引き続き空飛ぶ円盤!(写真:ティム・ラダー)
その他の選択肢としては、やはり太陽電池式の街灯が挙げられる。以前にもアフリカの太陽エネルギーを活用した興味深い新技術をご紹介したが、それにも様々な商品が存在する。例えばこちらのシンセン・トプコン・インフォメーションの太陽電池式の街路・前庭用製品は、ジョージ・ジェットソンが好みそうなスペースエイジ的なデザインになっている!
ミシガン州にあるアナーバー市はまた別の策を講じており、市内用のLED街灯を開発した。ニューヨーク気候変動サミットのレポートによると、この未来的なLED電球は通常のものと比較してエネルギーの消費量が50%~80%少なく、下向きであり(故に光害を出さない)、普通の電球が2年間しかもたないのに対して、最長で10年はもつといわれている。長期にわたって使用すれば、LED街灯は年間10万ドルから70万ドルの街灯や信号のエネルギー費用と維持費を削減できる。

結構な数になってしまいましたが、ロマンチックであれ、明るいものであれ、今後は環境を意識した花、小鳥、落語家の街灯になってほしいところ!次に浅草や東京郊外の町を歩く時は、ぜひ頭上の美しさにも目を向けてあげてください。
そして、今回とても素敵な写真を撮って下さったティム・ラダーさん、ご協力いただきありがとうございました!
4 コメント
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日本の中では(海外ではどうか分からない)But Designとして扱われる事も多々ある日本の街灯ですが。
違う見方も有るのだなーと感じ,実は良いのかもっておもいました。
疑問に思うのはマイケルさんが思う日本のButDesignの照明は何でしょうか?
僕自身の感覚ではヨーロッパの街灯は暗く感じますが、それは落ち着きます。
日本のは分かりましたので、海外の例としは何かGoodDesignは有りますか?
Posted by: cosk @ 6月6日2008年
But → bad ??
Posted by: yu @ 6月7日2008年
guzel sıte budur
Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年
写真に写っているほとんどの街灯は
きちんと下方向を照らしていませんね
防犯効果も交通安全効果も半減どころか、角度によっては逆効果になります。
こういうのを光害と言います
Posted by: 通りすがり @ 11月21日2011年