
技術における25年は、今日のコンピュータの寿命の12倍だと言われている。また25年は、ニューヨークのMoMAで来週まで開催されている非常に幅広い内容の企画展「デザイン・アンド・ザ・エラスティック・マインド」に展示されているオブジェの寿命でもある。この展覧会は、未来のデザイナーが技術の進歩についていくために見出さなければならないであろうある種の柔軟性、もしくは題名が示すようなエラスティシティー(弾力性)から生まれた個性的なプロダクツやコンセプトを、デザインと科学の狭間から考えたもの。PingMagでは、MoMAの建築とデザイン部門のキュレーターであるパオラ・アントネリさんに、彼女がこの類稀な展示会を成功させるまでのお話を伺った。
作:ベレーナ
訳:山根夏実
まず初めに、デザイン・アンド・ザ・エラスティック・マインド展には、これまでに私たちがご紹介してきた素晴らしいアーティストが大勢参加している。オーデッド・エーザ、フィリップ・ワーシントン、フェルナンダ・ビエガスとマーティン・ワタンバーグ、ベン・フライ、チャック・ホーベルマン、クリスピン・ジョーンズ、ジェフリー・マン、W. ブラッドフォード・ペイリー、ノアム・トラン、ポータブル・ライト・チーム、トロイカ、ステイメン…。ご存知ない方は、ぜひこちらの記事も見てみていただきたい。

最初に、内容の幅が広いこのプロジェクトのアイディアは一体どこから生まれたのかについて教えてください。何かきっかけとなる出来事があったのでしょうか?
私が企画する展覧会では、毎回どうすればより効果的にMoMAの来場者に現代デザインの世界を紹介できるかということと、デザイナーという人達がカーペットや高価な家具の他にも、もっと色々作っているということを説明できるかを考えています。「デザイン・アンド・ザ・エラスティック・マインド」展は、社会的反響を呼ぶ発明による私たちの生活への影響を知ることと、デザインと科学が一緒になることによって、まったく新しい研究分野となり得るのだという発想から生まれました。デザイナーは、昔から科学的・技術的変革と、私たちのような人間の間を取り持つ仲裁者の役割を果たしています。デザイナーは、新しいテクノロジーが私たちの生活にもたらす混乱を、最初は学習体験に、そしてその後は正常な状態へと確実に変化させているのです。最初から科学者と共同で取り組むことによって、更に強力な影響力を持つこともできるのです。

そのテーマにどのようなアプローチをされたのでしょうか?
私とこの展覧会のアシスタント・キュレーターであるパトリシア・ジュンコザ・ベッキエリーニは、いつものようにあらゆる出版物とブログを調べ、何百人もの方々にEメールで私たちのアイディアを説明して提案を募るところから始めました。それ以外にも、私たちは必ず方々のデザイナーを訪れ、展示会を見て、学生の作品展にも足を伸ばしたりして飛び回ります。今回は、既に一部で科学者との共同作業に注目していたアンソニー・ダンが指導するRCAのデザイン・インタラクション・プログラムから多くの情報やアイディアが出ています。その他にも世界中からアイディアを取り入れていて、最終的には1,000以上もの案が集まりました。現在ではおよそ250個のオブジェを展示しています。

それはかなり大変そうですね!他にはどういった方々の助言を参考にされたのでしょうか?
私たちがリサーチを始めたのと同じ2006年の秋頃、大切な友人であり、協力者でもある、科学雑誌シードの創刊者、アダム・ブライにも会いました。その後、アダムと私でシードとMoMAによる科学者とデザイナーのサロンを始めました。ここでは科学者とデザイナーが毎月自分の作品を発表して、お互いに面識を作り、コラボレーションのアイディアを出し合っていました。その中の数人は、現在の展示にも参加しています。このシードとの提携が、この展覧会の科学的な要素を補強し、私たちが取り上げていた話題への知識も提供して、科学的な面での信憑性を与えてくれたと思います。つい先週開催したシンポジウムも満席で、本当に素晴らしいものでした。
あとは歴史ですね。イルマ・ブルームのデザインしたカタログ、中村勇吾のウェブサイト、そしてラナ・ハムのインスタレーションは、本当に有機的なプロセスの具体的かつ見ごたえのある結果だと思います。

パオラさんはご自身のエッセイで、順応性プラス加速度の副産物であるエラスティシティー(弾力性)は、情報が溢れた環境で生き残るための未来の人間の習性だと仰っていますが、未来のデザイナーにはどのようなことが求められると思われますか?
デザイナーは常に重心、つまり人間を基点に考えなければなりません。私は、彼らが土を食べて消化し、土地を肥やすものとして土壌をより実り豊かにするミミズのような、社会にとって本当に大切な存在だと考えています。デザイナーとはあらゆる視点に強い興味を示す、素晴らしい存在なのです。最高のデザイナーは、デザインを生の肯定とし、世界を知る手段として楽しみます。そして彼らは、自分たちが学んだことを世界に還元するのです。

では、進歩に付いていけないユーザーはどうなりますか?柔軟性や弾力性というものは訓練だけでどうにかなるものでもないと思うのですが…。
多少の苦労はあるかもしれませんが、そう深刻なことにはならないと思います…。
あるいは、人々の柔軟性を養うにはデザインはどうあるべきだとお考えですか?
物事をより分かりやすくし、インターフェースの技術的な部分を少しずつ上乗せしていくことでしょうか。
もう少し具体的に言うと、未来のユーザー・インターフェースがどういったものになっているとお考えですか?最近のタッチスクリーンによるインタラクションは残るとして、どのような方向に進化していくと思われますか?例えば「iPodタッチ」やTEDトークのプレゼンを考えているわけですが…。
より直観的なコマンドや豊富な音声、接触、そして動作が入ってくると思います。

先ほどもおっしゃっていたように、この展覧会にあわせて、ベテランのFlash職人のYugop(中村勇吾)による見事なウェブサイトが開設されていますよね。コンテンツが思考パターンにも似た独特の構造を視覚化しているのが本当に素晴らしいですね!どうやってこのようなデータや情報の視覚化のコンセプトを作り上げられたのでしょうか?
ありがとうございます、あのサイトは本当に素敵ですよね。Yugopは、MoMAのウェブサイトを制作した私の同僚のアレグラ・バーネットとシャノン・ダロウの提案でした。このサイトは私たちが全員で作ったものですが、基本構想はYugopの発案です。私はデザイナーに全幅の信頼を寄せていますから…。カタログを作ったイルマ・ブームや展示会のデザインを担当したラナ・ハムとも同じように仕事をしています。

素晴らしい!パオラ・アントネリさん、どうもありがとうございました!5月12日(月)までにこの素晴らしい展覧会に足を運べないという方々は、ぜひデザイン・アンド・ザ・エラスティック・マインドのウェブサイトや、こちらのカタログもご覧になってみてください!
4 コメント
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doki doki suruwa.
Posted by: cococoaki @ 5月8日2008年
すごく面白い記事でした。日本でも是非展示を行ってほしいです。
Posted by: Suzuki @ 5月8日2008年
料理は化学だと思いますが、
デザインも化学、科学と融合すると
必然性が増しますね。
Posted by: 山本 @ 5月9日2008年
sıgaramın dumanı
Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年