
「僕はLAが好きだ。ハリウッドが好きだ。どちらも本当に美しい。みんなプラスチックさ、だけど僕はプラスチックが好きだ。僕はプラスチックになりたいんだ。」というのはアンディ・ウォーホルの言葉。そしてメリッサのプラスチック製の靴を見た私達は、この言葉に心から同意せざるを得なかった!遡ること30年近く前、メリッサはフランスの漁師の仕事用サンダルのメーカーとして始まった。しかしこのファンキーなサンパウロのレーベルは、今やポップとクチュールを組み合わせて、高級感と手ごろなお値段の両方を兼ね備えた稀有なブランドとなっている。本日のPingMagでは、そんなルーツから、不変のファッション・アイコンであるヴィヴィアン・ウエストウッドによる現在のプラスチック・シリーズに至るまでのメリッサの歴史を、メリッサの独創的なデザイナー、エジソン・マツオさん(奇遇にも日系の方だった)に伺った。
作:レジアーネ・イシイ
訳:山根夏実

日本の匠の技は、シンプルなラインの組み合わせがいかに類稀なビジュアルを生み出し得るかということを世界に伝えた。それとメリッサを比較するわけではないが、同じようなある種の洗練された作品への美学が、そのシンプルさゆえに可愛らしく破壊的という、飾り気のない簡素なスタイルをもたらしているように思われる。

アレキサンドレ・ヘルコビッチがメリッサのためにデザインしたスカーファン。© Melissa
メリッサのプラスチック製ハイヒールは、見る者(と中身)次第では純真無垢にも破廉恥にも映る。庶民的、快適、そして鋳造できる。これらのプラスチック固有の要素は、すべて優れたファッションのお手本とも言える資質だろう。加えて、メリッサの素材はなんと100%再生利用可能であり(!)、その靴は現代の環境への懸念にも配慮しているのだ。
フランスとブラジルの交差点

1979年に作られたメリッサの最初のモデル「ラ・メデューサ」は、フランスの漁師のサンダルからアイディアを得たものだったが…© Melissa
1979年のメリッサの最初のモデル「メデューサ」は、コート・ダジュールの漁師たちが履く実用的なサンダルに端を発している。未だ嘗て、こんな発想を得た人がいただろうか?そしてメリッサは80年代にファッションの世界と戯れはじめ、1999年にはそちらの方面と明らかな繋がりを確立する。それ以降、ブラジル人ファッションデザイナーのアレキサンドレ・ヘルコビッチや高名なカンパナ・ブラザーズ、イギリスのスキンジュエリーのデザイナーであるJ.マスクレイ、そしてあのボーイ・ジョージの独特なルックスやネナ・チェリーの特徴的なスタイルを生み出した、スタイリストのジュディ・ブレイムなどともコラボレートしている。

2005年にはリオデジャネイロ現代美術博物館がメリッサの25周年記念展を開催し、様々な業界から招待された100人のゲストが1979年のオリジナルの一足を使った作品を提供した。

変化し続ける表面
2005年のメリッサ・ギャラリーのオープニングの際、超高級店が軒を連ねることで有名なサンパウロの観光スポット、オスカール・フレイレ通りに新たな色の氾濫が加わった。マルチメディア・アーティスト、ムチ・ランドルフによってデザインされた445㎡のコンセプト・ストアの外装は、内装の家具の布張りと同様にシーズンごとに一新されるのだ。なんとも鮮やか!

ヴィヴィアン・ウエストウッドは、前回のサンパウロ・ファッション・ウィークでメリッサのための新しいアングロマニアというラインを発表し、自身のアクティブ・レジスタンス・マニフェスト(積極的抵抗宣言)を読み上げた。
「文化を追求する過程において、人は考え始めるだろう。自分の人生を変えることによって、人は世界をも変えるのだ。(…)私たちには選択の余地がある。より洗練されることによって、より人間らしくなるか。それとも選択をしないことによって、破壊的で自滅的な動物に、自らの賢さの犠牲者になるのかという選択肢が。」

それではメリッサのクリエイティブ・ディレクターであるエジソン・マツオさんにお話を伺おう!
最初に、「プラスチック・オー・ラマ」のコンセプトについて教えてください。
プラスチック・オー・ラマは、メリッサの25周年を記念して開催された、カラフルで楽しいプラスチック・ワールドの旅というコンセプトのインタラクティブ・イベントでした。当初の実用的な商品から、大きな変化を経て現在に至るまでのこの会社の歴史が、それぞれの1979年製メデューサ・メリッサによって表現されています。

プラスチック・ワールドにようこそ!サンパウロにあるメリッサ・ギャラリーの内部。
一つ気になるのは、メリッサがどうやってコラボする相手を選んでいるのかということなのですが。アレキサンドレ・ヘルコビッチ、スヌーピー(!)、カリム・ラシッド、そしてヴィヴィアン・ウエストウッドの共通点はどこにあるのでしょうか?
選択の基準はそれぞれのパートナーの信念と、彼らと私たちとの共通点ですね。例えば、アレキサンドレ・ヘルコビッチの場合は、彼のラテックスの使い方。ヴィヴィアン・ウエストウッドに関しては、その逸脱性です。つまり、プラスチックを使用するということも、現行の靴のデザインに逆らう行為ですから。カリム・ラシッドは「プラスチック・プリンス」としての認知度で、そしてスヌーピーはその庶民的な一面で選びました…。

私自身は、ブラジル人として、メリッサの独創的で民主的、かつ複合的な一面と、全体的なブラジルらしさをすぐに感じ取れるのですが、世界各地の人々もこのコンセプトに共感できると思われますか?
独創的で民主的、かつ複合的な面は、私たちの制作過程に影響を与えるものであって、このアイディアが世界に理解されることは、その過程の最終結果ほどには重要ではないのです。ブラジルもメリッサのイメージを作る上での一部ではありますが、それが優位に立つことはありません。むしろインスピレーションの源という感じです。

ザハ・ハディッドのコレクションはどのような感じになるのでしょうか…?
ザハ・ハディッドの体験は「解体」を核心に据えた、むしろプロジェクトといえるもので、それでも尚メリッサのアイデンティティが完全に失われることはありません。このプロジェクトは、私たちのどちらのチームにとっても大きな挑戦です…。

クリエイティブ・ディレクターとして、マツオさんにとってのインスピレーションの源とは何なのでしょうか?
たくさんありますよ!一つだけを選ぶというのは難しいですね…。今日は日系アメリカ人のMIT研究者でありクリエイティブ・ディレクターでもあるジョン・マエダを、非常に魅力的なシンプリシティというテーマで観察していました。私たちはたくさんの情報や刺激に溢れた環境で生活していますから、シンプリシティという概念は本当に難解なのです。

このお洒落でかっこいいサマーサンダルはゴルチエの作品!© Melissa

こちらはトリトンのシンプルで色っぽく、そしてスキャンダラスなメリッサ・ディザイア。© Melissa

そしてメリッサ・ギャラリーに置かれていた飾り…。
メリッサはシンプリシティのコンセプトを本当に突き詰めていますよね!まさに王道!将来的にはどうなのでしょうか、紳士靴や洋服もメリッサのプラスチックな姿勢を勝ち取ることができるのでしょうか?
これからはとても楽しくなりますよ。あと、シナリオと私たちのプラスチックな姿勢次第ではどんなこともありえると思います。プラスチックが使用されるようになって、昨年で100周年を迎えましたが、プラスチックの形状と持続性には目を見張るものがありますね!
ブランドがこの素材の限界を押し広げるというのは本当にすばらしいことですね!メリッサのエジソン・マツオさん、今日は本当にありがとうございました!

3 コメント
ウェブマガジン「PingMag」及び、姉妹サイト「PingMag MAKE」は、2008年12月31日をもって休刊いたしました。これまで応援して下さった世界中の皆様、またご協力頂いた皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
PingMagの姉妹版、日本のモノづくり情報を世界に発信中!
PingMagから大切なお知らせ
2008年12月31日
板谷龍一郎:色鮮やかでユーモア溢れる世界
2008年12月29日
マギボン:YouTube発のネットアイドル
2008年12月26日
ベネデッタ・ボッロメティ:たくさんの元気をくれる不思議な絵
2008年12月24日
中銀カプセルタワービル:未来の建築
2008年12月22日
花村えい子:キュートでポップな60年代の少女マンガ
2008年12月19日
日本のハイテクトイレ事情
2008年12月17日
アミューズメント:アートやファッションと融合するゲーム文化
2008年12月15日
HIROCOLEDGE:現代に溶け込む新たな伝統
2008年12月12日
瀬戸正人:ビンラン売りの甘い誘惑
2008年12月10日












欧米と日本の靴への想いは天と地の感が。
ヒールを履くと美しい足になると密かに思っては
いるんです。
危ないし疲れますけど美を追求する覚悟みたいなものが必要かと。
Posted by: 山本 @ 4月29日2008年
こんな靴も
Posted by: 山本 @ 4月30日2008年
メリッサ:体制に逆らうプラスチックのハイヒール good post1326
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年