D&ADが掲げるクリエイティビティのスタンダード

2008年3月26日 カテゴリー: イベント/展示会, インターナショナル

D&ADが掲げるクリエイティビティのスタンダード

黄色の鉛筆マークは、優秀なデザインに与えられる勲章!現在、汐留のアド・ミュージアム東京で行われている「D&AD賞2007展 -広告とデザイン その卓越したクリエイティブ」の展示風景。

デザイナーとクリエイターの集団からなるイギリスのD&AD(ディー・アンド・エーディ)は、毎年、世界中から応募された広告とデザインにおける様々な作品の中で、最も革新的で優れた作品を選出し、「イエロー・ペンシル」と「ブラック・ペンシル」と呼ばれる二つの賞を授与している。現在、汐留のアド・ミュージアム東京では、2007年度のD&AD賞受賞作品とスチューデント・アワード受賞作品を展示した「D&AD賞2007展」を開催中。今日は、デジタル・エージェンシー「Poke」のクリエイティブ・ディレクターであり、D&ADのプレジデントも務めるサイモン・ウォーターフォール氏にD&AD賞についてお話を伺った。

作:チエミ

「D&AD賞2007展 -広告とデザイン その卓越したクリエイティブ」展の様子。

サイモンさん、まずD&ADの活動について説明して頂けますか?

D&ADは、卓越したクリエイティビティと広告とデザインにおける教育活動を行っている非営利組織です。過去46年間に渡って「D&AD賞」を設け、300人程のクリエイティブ業界のスペシャリスト達によって優秀な作品を選出し、名誉ある「イエロー・ペンシル」を授与しています。この賞は1962年に、広告とデザインのスタンダードを上げるために設けられました。私達は学生からプロまで、様々な人達を教育し、インスピレーションを与えています。

D&AD賞について、もう少し詳しく教えて頂けますか?

「イエロー・ペンシル」は、産業デザインの新しい基準点になるような卓越したクリエイティブ作品に授与される賞で、昨年度は59作品が受賞しました。その上に「ブラック・ペンシル」と呼ばれるD&ADの最高賞があり、その分野の定義を覆すほどの革新的な作品にのみに授与されます。昨年は2つの作品が受賞しましたが、該当作品のない年もあります。


「イエロー・ペンシル」受賞者に授与される黄色の鉛筆型トロフィー。

「ブラック・ペンシル」受賞者に授与される黒い鉛筆型トロフィー。

審査にはどのような人達が関わっているのでしょうか?

2008年度の審査には、環境デザイン部門にデイビッド・アジャイ氏、タポグラフィー部門にはマリアン・バンティエス氏、テレビ&シネマ・クラフト部門の審査員に日本の野田凪氏、ゲーム部門に水口哲也氏など、世界中からおよそ300人もの審査員が参加します。カテゴリーの規模にもよりますが、審査員達はロンドンでおよそ一週間をかけて約25,000作品を審査します。

審査の様子。広い会場にズラリと並んだ作品の数々…。

D&ADの審査は大変厳しいと伺っていますが、作品のどのような部分を審査されているのでしょう?

審査には3つの基準があります。ひとつは「良いアイディア」であること、もうひとつは「組み立て」、そして「前後関係がふさわしいか否か」という点です。全ての投票は匿名で行われ、それぞれの段階で審議が行われます。イエロー・ペンシルにノミネートされた作品は、過去のイエロー・ペンシル受賞作品と比べながら審査されるため、受賞は容易ではありません。例えば、2008年度の作品は少なくともFlameによる福武ハウスの大きなサインか、美の神話を覆したダヴのバイラル「エボリューション」、クワイエットレボリューションによってデザインされた気品ある風車、又は「コンクリート・キャンバス・シェルター」などと同等のクオリティでなければならないということになります。


Flame, inc.による「福武ハウス」。8つの現代アートギャラリーと大学のミュージアムが地方の古い校舎を利用して作った展示用のサイン。2007年度、イエロー・ペンシル受賞作品。

「クワイエットレボリューション」は、プロダクト・デザインのカテゴリーで2007年度のイエロー・ペンシルを受賞した美しい風車。

平凡な女性がまるでスーパーモデルのようになってしまう様子を1分14秒の映像で見せた「エボリューション」。2007年度、イエロー・ペンシル受賞作品。映像はコチラから。

持ち運ぶこともでき、耐久性もある「コンクリート・キャンバス・シェルター」は、災害時に多くの命を救うだろう。2007年度、イエロー・ペンシル受賞作品。

ブラック・ペンシルに関してはいかがでしょう?

ブラック・ペンシルは毎年、一作品か二作品にしか与えられません。昨年はR/GA USが「Nike+」という作品でブラック・ペンシルを受賞しました。「Nike+」は、ジョギングのオンライン・コミュニティで、私が最も気に入っている作品でもあるのですが、私のジョギングの仕方、音楽の買い方、他人との競争の仕方も変えてしまいました。また、2006年のブラック・ペンシルを受賞した「ザ・ガーディアン」紙は、勇気あるデザインのリニューアル以来、そのクオリティを超えようとする他誌に常に追いかけかけられ続けられる存在になりました。

2007年度、ブラック・ペンシル受賞作品、R/GAによる「Nike+」は、ジョギングというスポーツに革命を起こした。

2007年度、ブラック・ペンシル受賞作品「戦争孤児/チェチェン」。戦争によって親を亡くした孤児達の存在を圧倒的なビジュアルで訴えた。

イギリスの新聞「ザ・ガーディアン」の、読者の興味を惹き付ける斬新なデザイン。2006年度の「ブラック・ペンシル」受賞。

今回はどのような目的から東京で展示を行われることになったのですか?

世界中から集められた最高の作品をプロモートし、人々に刺激を与えるためです。今回展示されている作品は2007度のD&AD受賞作品とD&ADスチューデント・アワード受賞作品ですが、世界の最高の作品が東京に集結していると言えますね。

では、デザインは今後どのように変化してゆくと思われますか?

D&ADとしては、新たに加えた携帯電話マーケットのカテゴリーが象徴するように、変わり続けるデザインのスピードについてゆくためにも、新しいカテゴリーを準備する必要があると感じています。テクノロジーは驚くべきスピードで進化し、日々の生活に浸透してゆくでしょう。 


D&ADのサイモン・ウォーターフォール氏。

最後に、これから展示をご覧になる皆さんに何かメッセージをお願いします。

ここを訪れて刺激を受けてください。

サイモン・ウォーターフォールさん、今日はありがとうございました!

【お知らせ】
現在、汐留のアド・ミュージアム東京では、2007年度のD&AD賞を受賞した作品を展示した「D&AD賞2007展 ー 広告とデザイン その卓越したクリエイティブ」を開催しています。世界の優れた作品が一堂に会するこの機会をお見逃しなく!

D&AD賞2007展 -広告とデザイン その卓越したクリエイティブ
会期:開催中〜2008年4月5日(土)まで(日曜、月曜は休館)
会場:アド・ミュージアム東京
入場料:無料

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