田附勝:デコトラに刻まれた男の生き様

2008年1月31日 カテゴリー: イベント/展示会, フォトグラフィー, 国内

田附勝:デコトラに刻まれた男の生き様

リトルモアから出版された田附勝写真集「DECOTRA」より。ちなみに「デコトラ」とは、トラックに外装を施した「デコレーショントラック」の略。

湿った地面にぽつんと止まった一台のトラック。その姿はどこか寂しげで、美しい…。現在、リトルモア地下では2月3日までフォトグラファー、田附勝(たつき・まさる)による「DECOTORA」写真展が開かれている。本日のPingMagは、デコトラを撮るためにトラッカー達の生き様を10年間に渡り追いかけた田附勝さんにお話を伺った。

作:リョウコ

いつから写真に興味を持ち始めたのですか?

子供の頃は映画を作りたいと思っていたんです。高校卒業後、小さな映画会社に入りましたが、当時の映画作りは大人数を要する大掛かりな作業で、自分の表現したいこととは少し違うな、と思いました。そんな頃、たまたま寄った本屋にカウボーイのドキュメンタリー写真集が置いてあり、手に取ってみると凄く面白くて…。メキシコの風変わりなカウボーイや彼らの家族など、そこには知らないカウボーイの世界が映っていたんです。それまでは映画のカウボーイしか知らなかったから、「写真って凄いな」と衝撃を受けました。また、カメラマンがカメラひとつでその場所に行き、色々な人々と出会い会話を交わしたりしする姿が想像できて、自分にはこういう道の方が向いているように思えたんです。

まるで日本ではないような風景。青い空をバックにしたダンプはその存在の大きさを感じさせる。

「デコトラ」を撮りたいと思ったのは何故ですか?

最初は単に興味本位でした。ド派手できらびやかなトラックが普通に国道を走っている姿が強烈だったんです。98年の夏、1000台弱のデコトラが集まるイベントに参加したのですが、その迫力に圧倒され、トラックを長く追ってみたくなったんです。

関口工芸のトラックペインター関口さんにより描かれた雄大な富士の絵。

「長く追う」ことは田附さんにとってどのような意味があるのでしょうか?

もちろん写真は一瞬を捉えるものですが、何かを得ていかないと、その一瞬を見ること、捉えることは出来ないと感じています。さっきのカウボーイの話だと、単にカウボーイを撮るだけなら、それはそれまでの「写真」になってしまう。彼らの仕事や生活に触れてみないことには、その「生き方」が見えてこない。僕は「写真」を撮りたいんじゃないんです。例えばダイアン・アーバスやナン・ゴールディンは、実際に撮りたい対象物があるとその中までどんどん入っていくので、その写真は奥まで掘り下げているように見える。そんな作品に憧れるので、失敗しても良いからとにかく実践してみないと、と思っています。

ゴージャスに装飾されたトラックの内装。シャンデリアも!

なるほど…。デコトラを追いかけた10年間もの期間は、彼らの生き方を知る為の時間でもあったのですね。ではその為に実践されたことは?

撮り始めて2、3年経った頃、トラック自体の主張があまりにも強くて、何を写すかを明確にしないと被写体に負けてしまうと気づきました。そこで僕は沢山のトラッカー達に会いに行ったんです。受け入れてくれる人には積極的に話し、徐々に近づいていきました。そうしていくうちに、尊敬するところや駄目な部分など様々な面を知りました。そこで初めて、トラッカーを「知る」ことが出来たと思います。仕事に使うものをあそこまで装飾するのは、それだけの気持ちがあるから。トラックには彼らの「生き様」と今の日本で希薄になっている「男らしさ」が滲み出ているのです。

10年も撮り続けたことによく驚かれますが、物事を深く知る為には多かれ少なかれ時間はかかります。自分の中で色々と感じ取りながら模索し納得いくまで撮っていたら、それだけの時間が経っていたんです。

これほどアートなトラックが道路を普通に走っているなんて!

今回でデコトラの撮影に終止符を打つとお聞きしましたが、特に思い入れのある作品などありますか?

強いて言うならば写真集の表紙にもなっている作品。あの日は大雨で、黒光りの地面にぼんやりライトを照らしたトラックが、寂しそうに止まっていて、その様子がまるで人のように見えたんです。デコトラを追いかけた日々は、僕がこれから写真を撮っていく上で骨になると言えます。この経験から人や写真を撮ることについての多くを学びました。

暗闇の中で光る色とりどりのライト。

最後になりましたが今後の目標などを聞かせて下さい。

今後は東北地方を撮りたいと考えています。風習や景色が残りつつも都会化してくその姿には日本の「今」が表れている。そのようなものを写真に収めていきたいし、また今までに得た技術や知識をゼロにして新たな気持ちで挑みたいです。


リトルモアから出版された写真集「DECOTRA」の表紙になった作品。

フォトグラファー、田附勝さん。

後日リトルモアで行われた、田附勝さんとトラッカー、黒潮船団の宮内兄弟によるトークショー。宮内兄弟の夢は、デコトラでアメリカを横断することなのだとか!?

田附さんお話を聞かせて下さいありがとうございました。皆さんも是非この機会にデコトラの世界に触れてみて下さい!

田附勝「DECOTORA」写真展

会期:2月3日(日)まで
時間:12:00〜19:00
会場:リトルモア地下
入場料:200円

3 コメント

  1. [...] Read the original Japanese version at PingMag» « “Sessue Hayakawa: Silent Cinema and Transnational Stardom” Book Review “Tokyo’s Train Station Art – Bringing Nature In” Translation » [...]

    Posted by: Kevin Mcgue | “Masaru Tatsuki’s Decotora Photo Op” Translation @ 4月17日2010年

  2. チョーかっこいい↓↑←→〒#♭♭)””“→#}(~/&÷”×」×〒((〒=#ד—“×))“****************〒※!??&

    Posted by: りすち @ 8月25日2010年

  3. 田附勝:デコトラに刻まれた男の生き様 good post1282

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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