
他の街であればカーニバルかと思われるようなこんな付けまつ毛も、東京では日々のファッションのうち!本日のPingMagは、あのシュウ ウエムラ化粧品の才気溢れるヘッド・メイクアップ・アーティスト、打出角康(うちいで・かくやす)さんの最新のアイラッシュ・コレクションについて。打出さんの目元の彩りは、内に潜む神秘的なエジプトの王女や極彩色の鳥、魔法に包まれた森の妖精などを瞬時に引き出してくれる。PingMagでは、打出さんご本人に日本における美の完璧主義についてお話を伺ってきた。
作:サブリナ・モリソン
訳:山根夏実

最初にメイクアップ・アーティストになりたいと思われたのはいつだったのでしょうか?
元々はもっとファッションに関係した仕事がしたかったのですが、それもこの会社に入社して植村秀さんにお会いして変わりました。彼のビジネス・スタイルは独特で、型破りで、その当時の他の誰とも違っていました。いつも美の一面だけでなく、ファッションを含む全体像を捉えようとしていたかたでした。
打出さんにとって、女性のまつげのどこが特別だと感じられるのでしょうか?
アイラッシュが、女性の魅力を引き出すもっとも手軽な手段の一つだからです。

オートクチュールの毛虫だと思ったら大間違い!「ロングアイラッシュ ボリューム」。© Shu Uemura
フェザーラッシュ(付けまつげ)のような小さなアクセサリーは、それだけで女性の貌にまったく別の生き物の雰囲気を与えますよね。たとえば、女性が鳥のように変身したりとか…。
その通りです。フェザーラッシュは女性を劇的に変身させてくれるものです。そして私たちのアイラッシュ・コレクションは、ナチュラルからドラマチックまで、どんなシチュエーションでも使えるものです。
それが意味するところの私たちの美の認識も興味深いですね。もしかしたら、人は太古の自然を連想させるような美のイメージに惹きつけられるということでしょうか?
私としては、どちらかというと化粧品やメイクアップは日常の中のアートであるという考えです。そして日常には感動させられるものが数多くあります。むしろ私の周りもの全てがインスピレーションだと言ってもいいかもしれません。
それでは、打出さんの美の定義とは何なのでしょう?
シンプルでいてドラマチック。誰もが「感じられるもの」でしょうか。

打出さんにとっては、顔にメイクを施すことによって、その人物を新しい何かへと生まれ変わらせることが刺激的なのでしょうか?そうだとしたら、その理由も聞かせてください。
メイクアップは個々の美を引き出すものであって、別の人間を作ることではありません。それぞれの顔の新たな一面を見つけるのはまるで宝探しみたいで、そこを楽しんでいます。
打出さんのアイラッシュの一つ(上の写真参照)に黒地に金箔を使ったものがありますが、これは金箔や墨を多用する日本画の世界に影響を受けたものなのでしょうか?
近いですが違います。若い頃に影響を受けたのは漆器…一般的に「輪島塗」と呼ばれるものです。以前に石川県に住んでいたのですが、「輪島塗」はそこの特産品でした。

ABBAっぽくきらめくディスコ風。ちょっぴり70年代風の目元のおしゃれに、「ブラント ブルー」。 © Shu Uemura

ソフトな雰囲気を演出するならフワフワの眼差しも…。 © Shu Uemura
私は透き通ったオレンジ色の「ルーセント サン」というラッシュが特に気に入ったのですが(タイトル画像参照)、目の下には何もつけていないのに、まるでつけているように見せるのが個性的ですよね!
このアイディアは、撮影中にまつげの影がモデルの目の下に映っているのを見て思いついたものです。実際にメイクを施している最中でも、その顔の「美しい瞬間」を見つけようと心がけています。
偶然ではないのでしょうが、こちらのアイラッシュ・コレクションも今シーズンのレトロな60年代風のコレクションに合わせてあるように思えますが、打出さんはあの時代からどれくらいの影響を受けたのでしょうか?
「若い力の時代」というのが私の印象ですね。あの頃は、ファッション業界でも多くの実験的なアプローチを見ることができました。そういった意味では、私は今でも同じ意気込みでやっています。

日本市場では特に男性をターゲットにすることもあるようですが、今後男性用のラインアップを開発する予定などはありますか?
私たちの商品はすべてユニセックスなので、現時点では特に男性用のコスメティックを開発する予定はありません。とは言え、先のことは分かりませんが…。
打出さんの認識についての質問になりますが、日本における美の理想像は、打出さんがお仕事を始めてから変わったと思われますか?特に、今では海外でも活躍されていて日本社会を外から見ることも少なくないだろうと思いますが…。
日本は常に「完璧な」美を作ろうとしているように思いますが、これは時としてあまりにも不自然に見えてしまいます。この点においては、私がこの仕事に入って以来何も変わってはいません。私個人としては、日本には「不完全さ」が足りないと思っています。

日本の若者文化は海外でも注目を集める大きな市場ですが、今時の日本の若者とそのファッションへの執着をどう思われますか?
極端なのはあまり良いことではないと思いますね。私としては、収入に見合った範囲内のファッションやメイクでオリジナリティを追求する若者は好きです。
高齢化が進む社会で、今後ファッションはどのように変化していくとお考えですか?
40代から50代のファッションの楽しみ方を知っている人々に期待しています。そして60歳以上の方々からもインスピレーションをもらえるのではないかと楽しみにしています。

打出さんの華々しい活躍の中から、面白いエピソードがあれば聞かせていただけませんか?ラガーフェルドやゴルチェなどのビッグネームなどと一緒に海外のショーに参加した際の経験など…。
アルマーニ氏には深い感銘を受けました。彼があらゆる細かなディテールに厳しいというのは今でこそ周知の事実ですが、私はそれまで知りませんでした。舞台裏にいて、ファッション・デザイナーのアシスタントがすべてを時間通りに準備するものだと認識していたのですが、ジョルジオ・アルマーニ氏がそれをすべて自分でやっていたのは興味深かったです。そしてもちろん、私が手がけたモデルのメイクアップも彼が自らチェックしていました。

1990年代風のキラキラメイクの次のステップは、目元にまるでティンカーベルの魔法の粉のような輝きを添える小さなスワロフスキー・クリスタル。 © Shu Uemura
今後開発されるとしたら、メイクのどんな技術や製品を作ってほしいと思われますか?
透明なファンデーションでしょうか。
こちらのアイラッシュ・コレクションが本当に芸術的なので気になったのですが、今後コラボレーションしてみたいと思われるアーティストやミュージシャン、画家などはいらっしゃいますか?
まだお話することはできませんが、2008年にはエキサイティングなことをする予定です。
シュウ ウエムラの打出角康さん、今日はありがとうございました!そしてPingMag読者のオシャレさんも、内に潜む鳥を揺り起こしてみてください!
4 コメント
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おもしろい!
Posted by: 匿名 @ 1月27日2008年
これ付けて舞台に立ちたくなる。
気持ちいいだろうな。。。
Posted by: cococoaki @ 1月29日2008年
shu uemuraのアイラッシュは大好きでいくつか持っているんですが、まだ装着して出かけた事がないので今度チャレンジしてみようと思います。植村秀氏のご冥福をお祈りします。
Posted by: yukko @ 1月29日2008年
打出角康:まつ毛に宿る美 good post1278
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年