
フランスのナント、ドイツのエッセン、イギリスのゲーツヘッドは、文化芸術で都市再生に成功した「クリエイティブ・シティ」として知られている。ここ日本でも、都心から一時間弱の横浜市で、「クリエイティブ・シティ・ヨコハマ」構想がなされている。その中心を担うのが、歴史的建造物である元銀行をリノベーションした「BankART」。PingMagでも過去にBankARTで行われた展覧会の記事を紹介したが、今日は単なる文化施設だけではないBankARTの活動について、BankART細淵さんのご協力を得ながら紹介していこう。
作:アヤナ
BankARTの活動には、2つの大きなテーマがある。まずは、文化事業の担い手であること。そして、都市に残された歴史的建築物などを活用し、まちを活性化していくこと。2004年、BankARTは横浜市に残る歴史的建造物の旧富士銀行と旧第一銀行(Bank)を芸術(Art)のために活用する実験プログラムとして設立された。
それでは今回は、スペース、BankARTスクール、イベントの3つに焦点を当て、BankARTを紹介していこう。
5つのスペースで構成されるBankART
1. BankART 1929 Yokohama
BankARTのメインとなる建物。1929年に建てられた石造りの旧第一銀行をアートに活用するということで、BankART1929と名付けられた。1階に受付とBankART shop、広々としたホール、2階にshop、BankARTのオフィスがある。

文化施設「BankART 1929」として生まれ変わった旧第一銀行。

2階にあるshopには、アート系の書籍が揃う。

2. BankART Studio NYK
以前、BankARTの施設の一つとし利用されていた旧富士銀行が、2005年に東京芸大大学院に誘致されたため、その代替施設として海岸通りの旧港湾倉庫にオープンした「BankART Studio NYK」。BankART Pub&Caféとホール、アーティスト達に低価格で貸し出すための大小様々な9つのスタジオがあるが、建物そのものが2008年に開催される横浜トリエンナーレの会場の1つとなるため、現在は改装中。

以前は倉庫として利用されていたBankART Studio NYK。

雰囲気の良いこちらのパブはアーティスト達の交流の場。オリジナルの横浜ビール「peruri」も1杯500円で楽しむことが出きる。

スタジオを借りるアーティスト。通常スタジオは2ヶ月単位で借りることが出来る。

スタジオの様子。NYKのパブで知り合ったアーティスト達が意気投合してスタジオでコラボレーションすることも少なくないそう。
3. BankART桜荘
横浜市中区黄金町にある防犯とアート、まちづくりの拠点。かつて風俗街だった黄金町で一斉摘発が行われた後、人通りがなくなった街に賑わいを取り戻そうと、空き店舗を改装し文化芸術の振興の拠点としたのがこの桜荘。1階はオープンスペースでまちづくりの会議などに使われ、2階はBankART NYKのスタジオで活動しているアーティストのレジデンスとなっている。

BankART桜荘。

BankART桜荘での朝食の様子。
4. BankART妻有

BankART妻有。
新潟県越後妻有で3年に一度開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」での空き家プロジェクトに、アーティストと地元とBankARTが共同で取り組んだのが、この「BankART妻有」。改装した空き家を利用し、トリエンナーレ会期中のワークショップの会場などに使用している。
5. BankART金庫室

本町ビルの4Fに入っている、BankART金庫室。

10月から12月21日までBankART金庫室で行われた、みかんぐみの展示「シゴセン」。壁面は全て硬貨で覆われている。
BankART1929の道路を挟んだすぐ横にある本庁ビルの空き家だった4、5階には、建築家等11組のクリエイターが入居している。その一角の元金庫室が、BankART1929のサテライトでもある小さな展覧会を開催するギャラリーになっている。
子供から大人までが楽しめる、BankARTスクール
BankARTスクールは、BankARTのプログラムの一つとして、現代の寺子屋を目指し2004年4月に開校した。週1回2時間、2ヶ月間の講座は、美術・演劇・写真・建築・音楽・ダンスなどアート全般におよび、各ジャンルの第一線で活躍する講師によるもの。現在までの3年間に、103種類もの講座で1400人もの受講生を迎えている。

インスピレーションを与えてくれるような講座が多数設けられている。

BankARTスクールには、もちろん、子供向けの講座も…!

展示から結婚式まで幅広い、BankARTのイベント
ホールで行われるイベントには、BankARTの主催によるもの(主催事業)と、ホールをレンタルするもの(コーディネート事業)がある。細淵さんによれば、主催事業では、基本的に横浜が持っている財産やNYKの持つ空間を活用することで、今あるものを多くの人にアピールし、コーディネート事業では、内容次第で企画協力や共催になることもあるそう。また、企画の内容は文化芸術に関わるものであれば何でも可能で、これまでにアーティストの結婚式が行われたこともあるそうだ。それでは、ここでいくつかのイベントを紹介しよう。
「食と現代美術」
2005年から毎年開催している「食と現代美術」では、美術の視線を通して食文化の様々な性質を解き明かすことを試みている。会期中は「食」に関する作品の展示、アーティストや料理研究家によるワークショップやイベントが開催される。


1ヶ月に数回行われる「Café Live シリーズ」。
「Café Live シリーズ」
BankARTオープン当初から行っているパフォーミング・アーツのイベント。基本コンセプトは、BankARTの施設の雰囲気を上手く利用してライブを行うことで、今年度からはコンペで選ばれた人がライブをしているそう。
「モボモガを探せ!」
日本の開港5都市(函館・新潟・横浜・神戸・長崎)で、1920年代から戦前までいたモダンボーイとモダンガール(モボ・モガ)を探しながら、街の人々とネットワークを組む市民参加型のプログラム。「これは、色々な人の知恵と力によって出来上がったプロジェクトで、写真を集めてくれる人、情報を教えてくれる人、ボランティアをしてくれる人、皆さんがいて初めて出来上がるものなんです。」(細淵さん)

様々な活動をするBankARTだが、最後にBankARTのミッションでもある文化事業による街の活性化について、細淵さんはこう答えてくれた。
「ものを作っている人というのは、普通に見えるものを普通に見ているというより、見えないものを見ようとして、表現していますよね。作品や作家の活動などを見たり聞いたり触れたりすることによって、こんな見方や考え方があったんだと発見し、勇気をもらうことにもつながると思います。文化芸術には“もっと頑張れる”と思わされる部分があって、それを街にアピールしていきたいと考えています。」
アートの持つ力は、色々な場面で生かせるはず。クリエイティブ・シティとして盛り上がっていく横浜が、そしてもちろんBankARTの活動が、これからも楽しみだ。細淵さん、BankARTの皆さん、ありがとうございました!
【お知らせ】
来月開催される「食と現代美術part4」のテーマは「食堂ビル1929」。BankART1929の1階をレストランに、3階を喫茶室に、地下をバーに変身させ、建物全体が食とアートに包まれます。また、2006年に行われたBankART周辺の飲食店とアーティストがコラボレーションする「横濱芸術のれん街」のパートⅡも開催予定。街とアートが一体化するこの機会に、ぜひ横浜に足を運んでみて下さい!

「食堂ビル1929 食と現代美術part4」
会場:BankART 1929,、BankART Studio NYK、近隣店舗ほか
会期:2008年1月11日(金)〜29日(火)11:30〜19:00
参加作家:泉太郎・横手山慎二・岩井成昭・田中功起・木村崇人ほか
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わくわくするアイデアですね
パーツを組みかえて、オリジナルデザインがつくれたらもっとワクワクできるな~
Posted by: 山本 @ 3月22日2011年