
2003年にゲシュタルテン出版社から発売された「ニースデン・コントロール・センター」は、子供の描くイラストにエッジを利かせたようなスタイルが話題となり、たちまち完売した同名のグラフィック・スタジオによる初の作品集だ。あれから4年経った今年、待望の二作目となる作品集「ロスト・コントロール」が再びゲシュタルテン出版社から発売された。今日は、今週土曜、六本木のAXIS GALLERYにて行われるトークイベント「HIGH5」の為に来日するNCCのスティーブ・スミス氏に、活動の内容や作品についてお話を伺った。
作:チエミ
まず、「ニースデン・コントロール・センター」という名前の由来について教えて頂けますか?ニースデンとはどこかの地名なのでしょうか?
僕達はイギリスを拠点に活動しているのですが、ニースデンはロンドン北部にある地域の名前です。「ニースデン・コントロール・センター」(以下、NCC)は、ロンドンの地下鉄を操作する建物の名前なんですよ。以前僕達は、その建物の反対側に住んでいたのですが、いつも地下鉄のせいで約束に遅れていました。ロンドンの地下鉄って、いつも遅れて、すぐに故障するんですよ。だから、その代わりにその名前を拝借したんです。


NCCのプロフィールでは、グラフィック・スタジオとして紹介さていましたが、作品を拝見するとグラフィックというよりはアートという感じですよね。おかしな質問かもしれませんが、なぜグラフィック・スタジオと呼ばれているのでしょうか?
プロフィール…!NCCの活動をうまく説明しようとすると本当に難しいんですよね。僕達は固定観念に縛られないためにも、ひとつのメディアにこだわらないようにしています。こうすることで一部の人に混乱を招くこともありますが、直感をベースにした芸術的な自由さを保つことは、実験的で完成度の高い作品を作るためにとても重要なんです。

では、NCCは具体的にどのような活動を行っているのでしょう?
僕達は様々な企業、アーティスト、友人達とコラボレーションしています。プロジェクトも、インスタレーションから展覧会、プロダクトや服のデザイン、実験的な印刷物や、テレビや映画のモーション・グラフィック、音響制作、ワークショップなど様々です。

エンジンバラのアーリー・グリフィン・プレスの依頼で制作した作品。「Action, Good Brings Fortune」
最近手がけたプロジェクトについて教えて頂けますか?
古い友人で、エンジンバラの「アナログ・ブックス」を経営しているアーリー・グリフィン・プレスが、印刷物のプロジェクトに僕達を招いてくれました。テーマは特に与えられなかったので、僕達はこの「Action, Good Brings Fortune」という作品を3色で制作したんです。
NCCの作品は全て手作りのように見えますが、制作過程でコンピューターを使用されるのでしょうか?
これまでに何度も同じ質問をされてきたんですが、この質問をされることは、褒められていると受け取って良いんですよね?(笑)面白いなと思うのは、昔は、グラフィック、タイポグラフィー、イラストレーションを自分の手で描くことは当然で、朝から晩まで描いていましたよね。たった10年前ですら誰もがコンピューターを使っていた訳ではないでしょう?今は問題にもされないですが、レンタルフォトのようなイメージを作り出すコンピューターは、良くも悪くも、このマーケットを大きく変えてしまいました。コンピューターが無ければ、今この質問だってろくに答えることはできないですよ。確かに僕らのスタジオの中で一番頻繁に使われている機械はコンピューターではありますが、もちろん作品の99.9%は手で作っています。僕達の場合は、使用する素材と遊び心の間に特別な関係があって、物事を新鮮に、楽しんでやるためにも、遊び心を重視しています。遊び心がないと、つまらない日雇いの仕事みたいになってしまいますからね。


2003年にゲシュタルテン出版社より発売された第一弾の作品集は、たちまち完売したと伺っています。前回と今回の「ロスト・コントロール」の内容を比べて、何か変わったと思われることはありますか?

今年、ゲシュタルテン出版社より発売されたNCCの作品集第二弾となる「ロスト・コントロール」。© 2007 Die Gestalten Verlag, Berlin
2003年に最初の本を出版してから、沢山のことが変わりました。2冊目となる今回の本は、ここ数年の僕達の仕事を反映して、クライアント仕事と一緒に実験的なプライベート作品も載せています。例えば、BALTIC Centre for Contemporary ArtやHelium Cowboy Galleryでの展示のための作品から、モーショングラフィック、シンプルなスケッチ、どこかで見つけた写真など…。こうやって、過去の作品を作品集として出版して、次に進めるのはとても良いことです。
「ロスト・コントロール」の中のお気に入りの一作品はどれでしょう?
選ぶのは難しいですが…この、ドッグ・レースの犬に影響を受けた作品です。

仕事に対するあなたのモットーは?
作品制作は、自らの完璧な状態を保ちながら、見たものの真実を語ることが重要なので、新しい素材を使って実験を繰り返しながら、印刷の達人になることです!
では最後に、今回が初来日と伺っています。日本での予定は?
短い滞在期間ですが、できる限り沢山のことをしてみたいです。何かオススメがあったらぜひ教えて下さい!
スティーブさん、今日は有難うございました!東京でお土産を買う時は、こちらのチェックを忘れずに!では、今週土曜の「High5」のトークでお会いできるのを楽しみにしています!


ニースデン・コントロール・センターのスティーブ・スミス氏のセルフ・ポートレイト。
【お知らせ】
国内外の豪華なゲストによるトークイベント!「HIGH5」
日時:2007年12月1日(土) 13:00 - START
会場:六本木 AXIS GALLERY
ゲストスピーカー:WOW、Namiko Kitaura、Neasden Control Centre、Projector、Non-Format
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