
東京を拠点に活動するミント・デザインズは、一見お洒落なファッション・ブランドに見えるが、デザイナーの八木奈央(やぎ・なお)と勝井北斗(かつい・ほくと)は自身をプロダクト・デザイン、もしくは彼らがインスピレーションと感じるあらゆるものというより広い視野で捉えている。2001年以降、彼らは日常のシンプルな衣服を取り上げて、コレクションを発表している。また八木奈央はフセイン・チャラヤンの、勝井北斗はアレクサンダー・マックイーンのアシスタント・デザイナーを務めた経験があるという…。そんなお二人のお話を聞きに、PingMagは渋谷にあるミントデザインズのスタジオに足を運んでみた。
作:レベッカ・ミルナー
訳:山根夏実

古典的とはかけ離れたスタイルで魅せるミントデザインズは、その天真爛漫なデザインをむしろ落ち着いた雰囲気の中で見せることを好むらしい。日本ファッション・ウィークの期間中に行われた彼らのショーは、東京ミッドタウンの中の高級サロン「シュウサンクチュアリ」で行われた。しかしこの高級感溢れる空間は、雲の上にいるかのような錯覚を与える純白の壁や天井、床と相まって、まさに今回の最新コレクションの題名である「ザ・フライング・ガールズ1808」のキャットウォークのためにあつらえられたかのような空間だった。その後、PingMagは渋谷の裏通りにあるスタジオにお邪魔してお話を伺ってきた…。

ミントデザインズの2004年春夏コレクション。プリント一色! (画像提供:Mint Designs)

こちらもカラフルなプリント!(画像提供:Mint Designs)
まず、ショーに招待してくださってありがとうございました!近頃はどのような作品を作っていらっしゃるのですか?
勝井:毎回素材や技術といったテーマを作っていて、デビューコレクションではシーチングのみを使ってコレクションを発表したり、その次はカットソーと来たんですが、今回は…。
八木:…今回フォーカスしたいと思ったのは、「フライング・ガールズ」のストーリーです。
勝井:確かに、自分たちにとって、今回はストーリーのほうが重要になっていますね。

2006年の春夏コレクション。ミント・デザインズは、3Dレースを使って… (画像提供:Mint Designs)

…衣服を引き立たせることで知られている。(画像提供:Mint Designs)
それはどうしてですか?
八木:新しい素材や新しい工場に出会ったときはそれに集中しますが、ここ最近は今までに出会った人々と一緒に仕事をしていて、無理に新しい素材や工場を探すわけではないので。もちろん次に新しい素材や工場に出会うことがあれば、またやろうとは思います。ニットの種類を増やしていきたいと思います。


ミントデザインズの2007年の素晴らしい春夏コレクション。テーマはなんと「ダメに生きる」で…
なるほど。それでは最新コレクションの「ザ・フライング・ガールズ1808」のストーリーとはどういったものなのでしょうか?
勝井:現代ではテレビやインターネットで沢山の情報が溢れていますが、200年前にはそんなことはありえなかった。その当時、人々が持っていた科学や “空を飛ぶ ”ということへのあこがれ、ロマンを表現したいと思ったんです。
八木:その当時はまだ世界の大部分が未知の領域で、新しい発見はどれも胸を躍らせるものだったと思います。そういったものを飛行船や気球のモチーフを通じて表現しようと思いました。

最新の2008年春夏コレクション「ザ・フライング・ガールズ1808」では、お二人は気球のプリントを作るところから着手し… (画像提供:Mint Designs)

…そこから気球のテーマ繋がりでこの特大のシルエットに行き着いたそう。2008年春夏コレクション「ザ・フライング・ガールズ1808」より。(画像提供:Mint Designs)
飛行船ですか…?
八木:飛行船には結構興味があったので…。
勝井:飛行船のデザインや構造といったものが初めにあって、古い写真などを見ているうちにこれをいかにしてファッションに反映できるかを考えるようになりました。それでプリントにも飛行船や気球などのデザインを入れて、服の形そのものにも取り入れてみたんです。
私自身はショーを見ながら、この服を着たら本当に楽しそうで、着心地も結構良さそうだと思っていたのですが、一緒にいた男性の友人はこの形がセクシーだと思ったそうです。お二人は特定の誰かをイメージしてデザインしていらっしゃるのでしょうか?
八木:自分のスタイルを持っている人、でしょうか。
勝井:流行を気にかける人ではないですね。デザインに興味がある人でもいいですけど。

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八木:ファッションだけを気にかけすぎると、何が良いデザインで何が悪いデザインなのかわからなくなってきますが、もっと広い視野を持ってアートやプロダクト・デザイン、建築などにも目を向けることで、ファッションの中の良いデザインを見る目も養われると思います。やっぱり建築やプロダクト・デザインはワンシーズンだけのものではないですから。


ミント・デザインズのピーナッツのためのニッティング・プロジェクト。「スヌーピーライフデザイン展」。(写真:Takanori Tejima)
お二人の作品の中には、メディコム・トイのための素晴らしく可愛らしい雑貨や今シーズンのKDDI/AUの携帯電話のデザインなど、時々かなり特殊なコラボレーションがありますよね。日々のアイテムのデザインといった意味では、次はどういったものを考えていらっしゃるのでしょうか?
八木:建築はやってみたいですね。ギャラリーではなく、駅の構内のような、人が実際に毎日使うような場所を。こういった実用的な空間のデザインはひどいものが多いと思います…。
勝井:バスやタクシー、むしろベンチでもいいですが、公共の空間で使用されている布とか。

八木:…もう少し楽しくなるようにしたいです。あとはタクシーとか…タクシーに乗っている気分がいやですね…。
勝井:…変なレースがいやだよね!

…お買い物中の親御さんを待っている間に子供が遊べる小さなおうち!子供のための家具を作っているイタリアのデザインユニットnumeとのコラボレーション。
ぜひお二人のステキなレースのデザインを東京のタクシーで見たいですね!ミント・デザインズの八木さん、勝井さん、今日は本当にありがとうございました!お二人の魅力的なコラボレーションを今後も楽しみにしています。
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