シェアリー・ボイルによる奇妙で美しい磁器コレクション

2007年9月25日 カテゴリー: インターナショナル, 民芸・工芸

シェアリー・ボイルによる奇妙で美しい磁器コレクション

裕福な家庭に飾られる磁器コレクションとは訳が違う!カナダ出身のシェアリー・ボイルによる磁器のシリーズより「ウロボロス」、2006年。

今年の春先にゲシュタルテンから届けられた、21世紀のインテリア・デザインを提案する「FURNISH」という書籍の中で、ひと際目を引いた作品があった。カナダ出身のシェアリー・ボイルは、ペインティングやドローイングを行う傍らで、同じくカナダ出身の女性シンガーソングライター、ファイストや、エレクトロ・バンクの女王として知られるピーチーズなどのミュージシャン達とも共演して来た。今日のPingMagでは、そんな彼女が作り出す、美しく、そして奇妙な磁器のシリーズについて、シェアリー・ボイルさんご本人にお話を伺った。

作:チエミ
訳:山根夏実


シェアリー・ボイルの磁器のシリーズが掲載されている書籍「FURNISH」のカバー。© 2007 Die Gestalten Verlag, Berlin

シェアリーさん、まず、この素晴らしいシリーズの元となっている「磁器」との出会いについてお聞かせ下さい。

2002年の初め、アメリカの西海岸を旅行していた時に、シアトルにいるアーティストの友人が地元の職人が主催する趣味の磁器教室を勧めてくれたのがきっかけです。私の絵や小像を知っていた友人は、私が磁器人形にも興味を持つのではないかと思ったようなんです。それで、86歳のおばあさんが郊外にある自宅の地下室で教える磁器人形のウィークエンド教室に参加してみました。彼女は工場用の型を使って人形を組み立て、何度も窯で焼成しながら色を付け、装飾を加えていたんです。その週末に彼女の元で勉強してみて、すぐに磁器が私に欠かせない分野なのだと悟りました。とても気に入ったんですよ。

では、そこからなぜこのシリーズを作ろうと思われたのでしょうか?これは一般的に捉えられているような“磁器製品を愛する人達”への何らかのメッセージなのでしょうか?

私は、ロイヤル・ドルトンマイセンなどの磁器人形が女性的な美しさや品格、繊細さ、「趣味の良さ」の精髄を体現していると考えられていることが非常に面白いと思ったのです。それと同時に、こういった作品はゴテゴテしていると嘲られ、アートシーンではまともに受け止められていないのも事実です。


「FURNISH」にも掲載されているシェアリー・ボイルの磁器のシリーズより、作品「スノーボール」。

同じく「FURNISH」に掲載されている磁器のシリーズより、無題、2005年。

私は磁器の美しさ、特にこういったエレガントな人形とそのレースや金などをあしらった精緻な衣装に魅了されました。そこで、こういった私たちの心理の奥深くに植え付けられた女性像に手を加えることで、このような高級な美しさが歴史の中で女性に強いてきた抑圧と制限に一言物申すことができるのではないかと思ったのです。それと同時に、私の人形にはお守りやヴードゥー人形のように、魔法と力にも溢れていてほしいと思いました。精緻でいて対立的、そんな感じでしょうか。


磁器のシリーズより、無題、2004年。

磁器のシリーズより、無題、2004年。

シェアリーさんの作品は非常に精巧に作られていますよね。制作は全てご自身で行われているのですか?

このシリーズはどれも私一人の手作業で作られています。一体を制作するのにかかる時間は、およそ一ヶ月です。このシリーズの作品は、伝統的な人形のスタイルをできるだけ真似るために、元となる型は趣味のお店で売っているものを使っています。全てのパーツを組み立てて、それから磁土を彫刻して人形をカスタマイズするための新しいパーツを作ります。

では、製作過程で最も難しいのはどういった部分なのでしょうか?

一番難しいのは…複雑で繊細なレースの衣装ですね。本物のレースを液体磁器土に浸して、慎重に人形に配置して窯で焼くのですが、その時に布地部分は燃えて、レースの「骨組み」だけが残るんです。その後、リス毛のブラシと昔ながらの顔料や油彩を使って手で色をつけ、仕上げに再度ブラシで金や銀を入れていきます。それぞれの人形は段階にごとに、6回~7回ほど焼成されています。普段は、趣味で陶芸をやっている方の地下の工房で作業をしていて、窯の扱いなどの難しい部分はその方に助けてもらっています。


レースの部分はかなり精巧な作り!磁器のシリーズより、無題、2005年。

レース同様に顔に咲いた花もよく出来ている。磁器のシリーズより、無題、2004年。

この作品に対するリアクションで、最も印象に残っているものはどのようなものでしたか?

このシリーズは多くの方から賞賛を受け本当に驚きなのですが、一番印象的なリアクションは、私の作品をインターネット上で見てメールをしてきた、スコットランドの片田舎にある美術館からのものですね。一人しかいない学芸員の方がこの人形に甚く感激して、実物も見ずに美術館の常設展示に加えるからと2体も買い上げたのです。作品は本当に壊れやすいので、グラスゴー郊外のその小さな美しい村まで私自身が飛行機で手荷物として持って行きました。現在、あの2体は幽霊でも出そうなお城風の博物館で余生を過ごしています…。故郷からは遠く離れてしまいました…。


スコットランドで余生を過ごす「 ラ・ベット(ザ・ビースト)」、2006年。

同じくスコットランドで余生を過ごす「ハウント」、2004年。

このシリーズは今後も増え続ける予定でしょうか?

レースでドレープしたシリーズは全部で15体あるのですが、現在は次の磁器彫刻のシリーズに取り組んでいます。こちらも18世紀のドイツ磁器に触発されたものではあるのですが、更に複雑な作りになっています。このシリーズでは、オリジナルの彫刻と型は全て私の手作りで、一つの彫刻に何体もの人形が使われています。こちらは2008年の秋頃に公開できると思いますね。

楽しみですね!最後に、今後の活動のご予定をお聞かせ下さい。

来年は、新しい磁器人形シリーズの制作に加えて、カナダ国内だけでなく世界中で「投影によるライブ・ドローイング」のパフォーマンスも行う予定なので、非常に忙しくなる予定です!今後のショーやイベントの情報は、私のホームページで確認して下さい。

シェアリーさん、有難うございました!日本に立ち寄られる際には、ぜひ私達のところにも遊びに来て下さいね。

4 コメント

  1. すごいです!!
    生で観てみたい。

    Posted by: k @ 9月26日2007年

  2. beautiful。

    Posted by: 吴浩 @ 12月19日2007年

  3. super site budur

    Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年

  4. シェアリー・ボイルによる奇妙で美しい磁器コレクション good post1227

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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