佃弘樹:幻想の世界

2007年9月18日 カテゴリー: イベント/展示会, イラストレーション, ストリート・アート, 国内

佃弘樹:幻想の世界

NANZUKA UNDERGROUNDで行われている佃弘樹の「幻視力」展、マスクのシリーズより。この作品は、プラモデルのパーツなどを組み合わせて作られている。

1978年生まれのアーティスト、佃弘樹(つくだ・ひろき)は、SF映画を見て幼少期を過ごした。自然なことながら、そんな彼が生み出す作品にはどこか未来的な印象を受ける。しかし、いくつものパーツを描き、他の素材と組み合わせ、少しずつ出来上がってゆく作品を目の前に、彼が想像するものはその外見とは全く異なる不思議な世界。PingMagは、現在、青山のDIESEL DENIM GALLERYと渋谷のNANZUKA UNDERGROUNDの2会場で個展を同時開催中の佃弘樹氏を訪ね、彼の思う「未来」や個展のテーマなどについてお話を伺った。

作:チエミ

実は佃さんは美大の映像学科を卒業されたんですよね。現在の佃さんの作品にはドローイングやコラージュなどが多いですが、なぜそれらに力を入れるようになったのですか?

僕は元々、1枚の絵を作るのが好きだったんですよ。それで、映像学科を卒業した後、独学でデザインを覚えたんです。2002年ぐらいで、グラフィック的なアートがものすごいブームの時でした。ちょうどスタジオ・ボイスの特集などでRostarrKawsなどの海外の作品が沢山入って来て、かなり影響を受けたんです。その後は自分のことをグラフィックデザイナーと呼びながら、ストリートっぽい絵を発表していきました。グラフィックTシャツなども流行っていた頃だったので、当時はアパレルの仕事が多かったですね。


DIESEL DENIM GALLERYで展示中の作品「民衆を導く自由の女神」。

同じくDIESEL DENIM GALLERYで展示中の作品「1946年」。

流行の波に乗って活動されていたんですね(笑)。

結構そうかもしれません(笑)。でも同時に、消費されるものよりも作品として残るものを作りたいという気持ちが強くなり、デザインの世界に限界を感じ始めていました。そんな2004年の個展の後、次の展示場所を探していて出来たばかりのNANZUKA UNDERGROUND(以下NUG)を見つけたんです。その時にオーナーのナンヅカさんにアーティストとしての活動を薦められて、それ以来ずっとアートを意識しています。


DIESEL DENIM GALLERYで展示中の作品「ゲルニカ」。

DIESEL DENIM GALLERYで展示中の作品「魔女の集会」。

NUGとの出会いは、佃さんにとって活動の転機になっていたんですね。では、NUGでの個展のテーマ「幻視力」についてお聞かせ下さい。

「幻視力」という言葉は、シュールレアリスムの作家、マックス・エルンストの本に書いてあったものなんです。彼はコラージュを大量に作っているんですが、ある時、ものを見て全く違うものを想像して描く、という彼のインスピレーションの受け方が、自分に似ていることに気づいたのです。それで、錯覚で別のものが見えて出来た作品や、見る人に幻想を抱かせたりする力のある作品という意味で「幻視力」っていうタイトルをつけたんですよね。

作品を拝見すると初めから何かストーリーがあるような印象を受けますが、そうではないんですね?

僕の場合は、最初にストーリーを作って絵を作る訳じゃなく、カタチを組み合わせる遊びの中から次第に生まれた絵を見て、そこからストーリーを発想してゆくんです。

NANZUKA UNDERGROUNDでの展示作品「down the mountain」。

例えばこの作品だと、泥酔してタクシーに乗った人が眠ってしまった間に、運転手に知らない山に置き去りにされてしまう。その人は山を探索し始めたものの、夜は危険なので山頂で一夜を過ごし、朝になって下山した時にこのキャラクター達と出会う…というストーリーが浮かびました。見る人には、よく「未来っぽい」とか「SFっぽい」と言われるんですが、実はそんな意識は全くなくて、たまたまSFっぽいカタチをしているだけなんです。スターウォーズなどを見て育った世代なので、こんなスタイルが好きなんでしょうね。


DIESEL DENIM GALLERYで展示中の作品「The One」。ちなみにこちらの展示では、架空の宗教史の流れをパノラマで見せているそう。

本当の未来は意外に平凡で、一般的に人が言う車が空を飛んだりするような未来は既に幻想なんじゃないかと思います。実際に車が空を飛ぶ技術が生まれても、実用化しないと思うんです。だって、法律の問題もあるし、第一危ないじゃないですか(笑)。ただ、「幻想」としての未来は昔から大好きでしたね。

制作方法に関してはいかがですか?平面の作品は、かなり手の込んだ作り方をされているようですが。

自分で描いたパーツをスキャンして、取り込んだ後に更に分解して、写真のコラージュを混ぜて、その途中で手描きの要素を加えたりしています。上の作品は、そうやってベースのデータを作って、それを元にオイルで描いています。

ドローイングに描かれているマスクは、今回展示する立体作品に似ていますが、一度平面で描いた作品を丸ごと立体にしてみたいと思われたりはしますか?

平面作品と立体作品では、確かにやっていることは全く同じなんですが、平面作品を立体にしたいかと聞かれると…実際に手に入らないような物の絵を使っているので、難しいでしょうね…。

佃弘樹氏の作品。NANZUKA UNDERGROUNDで展示中のマスクのシリーズより。

では、今後挑戦してみたいことはありますか?

ペインティングの技術を上げたいですね。あとは大きな立体作品を作ってみたいです。幾何学的なものを作るのが得意なので、工事現場にあるような大きい石にそういう模様を入れた作品を並べた展示などもやってみたいですね。


DIESEL DENIM GALLERYの展示の様子。

同じくDIESEL DENIM GALLERYの展示より。

最後に、これから作品をご覧になる皆さんへのメッセージをお願いします。

「未来戦争でしょう?」と言われることが多いのですが、あまり未来だと捉えないで下さい。自分の中では、くだらないストーリーだったりするんで(笑)。あとは、皆さんが作品を見て想像したことをぜひ聞いてみたいですね。

佃さん、今日は有難うございました!


自作のマスクを被る佃弘樹氏。

佃弘樹さんの個展は現在、都内2会場で開催中です。お見逃しなく!

佃弘樹「幻想力」展
会場:渋谷NANZUKA UNDERGROUND
会期:2007年9月15日(金)〜10月14日(日)

佃弘樹「doctrine」展
会場:青山DIESEL DENIM GALLERY
会期:2007年9月4日(火)〜11月18日(日)

2 コメント

  1. super site budur

    Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年

  2. 佃弘樹:幻想の世界 good post1224

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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