GALLERY SCENE:ストリートからギャラリーへ

2007年8月22日 カテゴリー: イベント/展示会, ストリート・アート, 国内

GALLERY SCENE:ストリートからギャラリーへ

渋谷のセンター街に位置するGALLERY SCENEで現在開催中の「URBAN ART」展より、ダン・ボールドウィンの作品。

渋谷の至る所で見るグラフィティ。それを単なる街の落書きとして捉える人もいれば、ストリート・アートのひとつとして捉える人もいるだろう。6月30日に渋谷のセンター街にオープンした「GALLERY SCENE(ギャラリー・シーン)」は、世の中ではまだ認知されていないアーティスト達を支援してゆくというNPO法人「KOMPOSITION(コンポジション)」の新たなる試みだ。今日は、KOMPOSITION代表理事の寺井元一さんにこの新しいギャラリーについてお話を伺った。

作:チエミ


コンポジションが6月末にオープンしたGALLERY SCENEのロゴ。

寺井さん、まずはコンポジションの活動について簡単に説明して頂けますか?

世の中には色々な表現や活動の形態があると思うのですが、その中には認知されているものもあれば、そうでないものもありますよね。コンポジションは後者の、価値があるのに認知されていない分野をサポートしてゆく団体なんです。ストリートアートに限定している訳ではなく、例え世の中がどう思おうとも自分達が良いと思ったものを応援してゆくというスタンスなんです。

ちょっとパンクですね(笑)。

そうですね(笑)。でも、何かを心底面白いと思える理由ってそこら辺にあるのではないでしょうか。

コンポジションはGALLERY SCENEの前身となるような「リーガルウォール」というプロジェクトも行っていますよね。街の壁を清掃して、その代わりに同じ場所をストリート・アーティスト達に合法的に提供するという。

基本的には渋谷の街全体をギャラリーにするというプロジェクトですね。街の壁は全てアーティストのキャンバスになり得るものだというのが僕らの認識です。ただそれを実現するためには、最悪の場合は僕達が現状回復しなきゃいけないし、僕達が何かしら街に貢献するところからじゃないと始まらない。ですから、「消す」という行動から始めたんです。

コンポジションの「リーガルウォール」プロジェクトにより、これまでに渋谷周辺の5ヶ所、13の壁が合法的な壁面キャンバスになっている。

一旦消された壁をグラフィティ・ライター達が合法的に再生する。この他の画像はこちらから。

最初に信用を得ないと公共物ってなかなかコントロールさせてもらえそうにないですよね。

確かにそうです。僕たちが社会に対して主張することと、街に対して貢献することは表裏一体なんだと思います。

では、そこからどのような理由でギャラリーを開設されたのでしょうか?

ギャラリー開設は実験的なものなんです。今は”画壇”というシステムでアーティストが栄枯盛衰していますが、何もないところから作家精神が生まれていくような、何でもありの場所を作っていきたいと僕らは常に思っていました。それを「リーガルウォール」というプロジェクトでいくらか実現することができて、それと並行して彼らがアーティストして作品を屋内で展示販売するという場所が必要だなと思ったのです。


GALLERY SCENEが入っている渋谷センター街のビルは、渋谷駅側から来ると右側に位置する。外壁のペイントはギャラリー開設前の2006年9月に実施されたもの。

ところで、このギャラリーはビルの上階にあるのですが、実はビル全体がその看板代わりになっています。外壁を担当した方は国内のアーティストだそうですが、どのような基準でその方を選ばれたのですか?

外壁に関しては、ぱっと見たときの印象だったり、見て感じるものが重要だと思っていますので、僕達も自分の思いをストレートに表現できる、タフなアーティストを選びました。制作に関しては、「自由にやって下さい」とだけお願いして、下絵すら見ませんでした。完成品を見た時は成功したと思いましたね。

このギャラリーの一番の特徴はその立地ですよね。渋谷という街はストリートアートと密接な関係にありますが、センター街となると、なぜかアートからかけ離れた感じがする。そんな場所にギャラリーが出来ることが、個人的には面白いし、新鮮だなと思いました。

センター街って色々な人が行き交っていて、一言で言うとカオスですよね。なのに、これまでこのようなスペースはなかったんじゃないでしょうか。今回、僕達は初めからセンター街を選んだ訳ではなかったのですが、僕らの活動の場所が渋谷になることは重要でしたし、その中でもセンター街、宇田川町を拠点に出来たのは本当にラッキーでしたね。


GALLERY SCENEで開催中の「URBAN ART」展より。日本でも良く知られたOBEYによる作品「war by numbers」。

同じく、「URBAN ART」展より。BASTの作品「Paris Hilton」。

独特な線を描くInoue Junによる「freedom」。

では、立地以外の点で他のギャラリーと異なるところはどこでしょう?

一番の違いは企画画廊ということですね。もちろん、売り上げも最終的には考えなければならないですが、利益の先行で物を売る気は全くないし、自分達が良いと思うアーティスト達をサポートすることを優先しています。

もう一つは内装も含めて全部手作りな点です。以前、街の一角の空き店舗を使ってアーティストが勝手に外壁とか内装とかを変えながら、時には展示会、時にはショップ、時にはアトリエ、時には溜まり場になっていたギャラリーが中目黒にあったのですが、そういう要素がGALLERY SCENEにもあるんじゃないかと思いますね。

「URBAN ART」展より、Aiko Nakagawaの作品。

Jazzの迫力ある演奏と鬼気迫る顔に衝撃を受けた、日本のアーティスト・NOVOLの作品。

ドイツを拠点に活動するL.E.T(Les Enfant Terribles)の作品。

アーティスト選びは、路上からなのでしょうか?

それがベストですが、それだけではないんです。リーガルウォールの時に関わったアーティストで気に入った人もいれば、OBEYのような海外アーティストも扱っています。

このギャラリーの今後の目標を教えていただけますか?

僕達は今、才能のあるアーティスト達にギャラリーという“場所”を提供すれば、徐々に評価がついてくるということを確かめる実験をしているんですが、同時にアーティストの価値を高められる場所に出来ればとも思っています。あとは、やはり日本の人達にアート作品を飾る習慣を持ってもらいたい。つまり、アーティスト側だけでなく、受け取る側にも影響を与えていかないといけないと思っています。それは、土壌を作ることかもしれないし、道標になることかもしれない。これからしばらくは、そんな課題に取り組んでいきたいですね。


GALLERY SCENEの様子。

同じく、GALLERY SCENEの様子。

寺井さん、今日は有難うございました。GALLERY SCENEが渋谷のアート・シーンをより一層面白くしてくれることに期待します!

2 コメント

  1. 私の知り合いもここの理事をしてます。
    最初は「渋谷のゴミ拾いやってんだよ~」という彼に
    「?」マークだらけでした(冷たい奴や・・・)が、ちっちゃな活動がものすごくエネルギッシュな草の根活動として渋谷にムーブメントを巻き起こした時、正直、鳥肌がたちました。

    否定されてたモノを肯定したとき、新たな「美」が生まれるんですね。きっとピカソもそうだったように。

    さっそくGALLERY SCENEを訪ねてみようと思います。

    ちなみに、私が最近元気をもらった「美」はこちら→http://www.art-mura.com/

    Posted by: maimai @ 8月27日2007年

  2. GALLERY SCENE:ストリートからギャラリーへ good post1212

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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