
日本は着ぐるみ天国である。古くは「ひらけ!ポンキッキ」のガチャピンとムックから、笑顔を振りまく野球球団のマスコット、駅前に現れるホットペッパーの唐辛子まで、テレビの中でも道端でも日々様々な着ぐるみに遭遇する。そして、子供達だけでなく、大人をも魅了する着ぐるみ達を自宅でコツコツと作っているのが、本日紹介するピコピコことトムラアツシ氏。今日は、東京都文京区根津に住む怪獣芸術家のトムラアツシを訪ねて、彼が創り出す不思議な着ぐるみワールドを覗いてみた。
作:チエミ

実はピコピコの存在を知ったのは、昨年冬に東京で行われた「ドラゴンキャッスル」というファッションショーだったんです。舞台は水中という設定で、ピコピコ制作の海の生物の着ぐるみが次々と出てきましたが、ワカメがものすごいスピードでユラユラ揺れる様子がとても印象的で…。
トムラさん:ワカメには、劇団ゴキブリコンビナートというところの役者さんが入っていたんですが、彼が天才なんですよ。僕も嫉妬しましたから(笑)。
ご自分で演じてらした訳じゃないんですね?
僕はあの時タコに入ってました。

「ドラゴンキャッスル」の客席で「スゴイ!!」と噂されていたワカメ。今回の取材のきっかけになった着ぐるみでもある。

トムラさんが実際に入っていたというタコの怪獣「タコローン」。
あの時は、他にも沢山不思議な着ぐるみがいましたね。
鯛とかヒラメにはビックリしたでしょう?ただの魚じゃつまらないから中を開かせようと思ったんです。あれは、怪獣日記にたまたまあった“開く怪獣”を実現したんですよね。

世界を股にかける怪獣ストリッパー「タイデロン」。初めは中身が閉じているのに、途中で開くという不思議な着ぐるみ。

噛み掛けのミントガムを人にぶつける「ヒラメラス」。

クルクルと高速で回転する回転地獄亀「カメグパ」。

怪獣バーにたむろする酔っ払い怪獣「アンコルニ」。
怪獣日記って何でしょうか?
僕は白紙の日記帳に、毎日怪獣を書いているんですよ。
毎日!?毎日アイディアが浮かぶんですか?
すぐ浮かんでくる時もあるし、なかなか浮かんでこない時もありますが、基本的には怪獣って何でもありなんで、いくらでも浮かびますね。ほにゃーって変な形を描いて目とか描けば怪獣になっちゃうんですよ。たまに夢に出て来ることもありますしね。


ところで、現在制作中の着ぐるみがあるそうですが、普段はどのようなプロセスで作られるのかを教えて頂けますか?
今回は「納豆」という曲を作って欲しいという依頼があったので、まず詩を書いた後でプロモーションビデオ用に納豆のキャラクター「ネバー」を作ろうと思ったんです。

怪獣日記に描かれた「ネバー」の下書きと…

…それを元に油粘土で作られた10分の1の模型。
まず下書きを元に10分の1の模型を作ります。それから、この原型を元に型紙を作るんですよ。そこまではぬいぐるみと同じ過程です。それから、この原型に紙を当てて立体裁断した型紙を作って、それを更に10倍に拡大します。今度は、10倍にした型紙を元にウレタンを切って、ボンドで貼っていくと一気にこうなるんですね。

原稿用紙を切って作られた型紙。

型紙を元に切ったウレタンを貼付けるとこうなるらしい。怪獣「ネバー」の制作は現在ここまで。
なるほど!でも、そんなに簡単にいきますか?
いくんですよ、これが!ぬいぐるみと粘土の技術を合わせたような感じですから。この後、内側は布を貼って補強して、表面はゴムを塗って処理をするんですが、ここまででかかる時間は3日か4日です。結構早いでしょ?だから約一週間あれば作れますね。

こちらは違う着ぐるみの足。

同じく違う着ぐるみの頭。
ちなみに、いつもどのようにして完成した着ぐるみを運ぶのですか?
抱えて電車で(笑)。RIZEというバンドのPVに使った「ベッコス」に関して言えば、コンパクトに作ってあるんですが、それでも移動中は結構ジロジロ見られるんですよ(笑)。月に一回、渋谷で行われるイベントで怪獣ホストとしてお客さんを接待しに行く時には、毎回移動の際に渋谷の街がちょっとしたお祭り騒ぎになりますね…。
そうでしょうね…。着ぐるみの他にぬいぐるみも作られていますけれど、このような制作活動はご自分の中のどのような気持ちから来ていると思われますか?
やっぱり一番は自分で描いたものが本物になるのを見たいというところでしょうね。

関わったら余計な手間がかかってしまう「二度手間怪獣ペラミゴーリ」。

こちらはお手製のぬいぐるみ。沢山ありすぎて、ご本人ですら名前が思い出せないものもあるようだ。

トムラさんが初めて作ったというぬいぐるみ。

同じくトムラさんによる、コワカワイイぬいぐるみ。
でも子供達が騒ぐのを見ると、それはそれで嬉しくありませんか?
そうですね。大人も騒ぎますしね(笑)。今度、芝保育園で紙とクレヨンだけでお面を作るワークショップをやるんですが、その時も着ぐるみで登場して、まず子供達を興奮させようと思ってますけど(笑)。

という訳で、子供達を興奮させに公園へ…。

トムラさんとベッコス。子供達に見つからないよう、公園の近所で隠れて着替える。
日本は着ぐるみ天国ですが、今まで見たもので「これはすごい」と思ったものはありますか?
やっぱり子供の頃から見ているウルトラ怪獣でしょうね。アートの影響よりも怪獣の方が大きいんです。
では最後に、今後の目標は?
公園や駅前にある銅像を怪獣にしたい。あと、公園に怪獣滑り台を作ってもいいですね。それが第一段階で、第二段階でスフィンクスより大きい怪獣を作る。

ピコピコのトムラさん。お手製のぬいぐるみと。
それ、どこに置きましょうか?
うーん日本がいいですね。東京がいいかな。東京タワーの横に置こうか…。
夢がありますね!トムラさん、今日は素敵な着ぐるみや怪獣に会わせて頂いて、有難うございました!
【お知らせ】ピコピコ・ライブ&展覧会情報
怪獣バンド・ピコピコのライブが見られる
「6%DOKIDOKI PARTY NIGHT !」
日時:2007年8月23日(木)18:00〜21:00
会場:SHIBUYA LUSH
チケット:¥2,000(1drink込、限定ノベルティ付き!6%DOKIDOKI原宿本店で発売中)
詳細はコチラ
ピコピコ 展覧会「怪獣販売機」
日時:2007年8月1日(水)〜9月28日(金)
会場:Gallery ART SPACE
※8月11日(土)15:30〜17:30の間、作家を囲んで作品鑑賞会を開催します。
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うわ〜! 素晴らしいインタヴィユー&レポートですね。
トップの写真も大傑作です!
「デザイン→実制作→完成」の画像だけでなく、「移動中→スタンバイ」の風景まで押さえてあるとは、なんとも血の通った、愛のある記事でした。
Posted by: ほうとうひろし @ 8月11日2007年