
香港発のデザイン・マガジン「IdN」の元アート・ディレクターであるSKラムは、これまでに世界の様々な都市を訪れ、優秀なクリエイター達とのネットワークを広げてきた。おそらくPingMagの読者の中にも、地元のイベントや旅先の展覧会で、実際に彼と会話したことがある人は多いだろう。そんなラム氏がIdNを去り、クリエイティブ・スタジオ「オール・ライツ・リザーブド(ARR)」を設立したのは、2003年の11月。今日は、香港を拠点に活動するARRと香港のアートシーンについてSKラム氏に話を聞いてみた。
作:チエミ
SKさんは2003年にまでIdNのアートディレクターを勤めていらっしゃいましたが、どのような思いからARRを設立されたのでしょうか?
人生とは自らを切り開いてゆくものだと思うんです。同じ環境の元で、8年間という期間を過ごした後、他の可能性を探ってみたくなり、ARRを設立しました。
“他の可能性”とは現在ARRが行っている様々なプロジェクトを指すと思いますが、具体的にどのような活動を行っているのでしょう?
私達は創造することが大好きなんです。現在は、ブランディング、広告、テレビCMなどの商業的なプロジェクトと、イベント、出版の3種類のエリアに関わっています。

2005年に行われたプレイステーションの10周年キャンペーンのポスター。ARRがクリエイティブ・ディレクターを担当。

中央の大きな「十」は、10周年を意味する漢字の「10」から来ている。

こちらは色違いのバージョン。もちろん、アート・ディレクションはARRが担当。
SKさんはこれまでにアジアだけでなく世界中のクリエイターとネットワークを広げ、香港を拠点に彼らとのコラボレーションという形で多くのプロジェクトを行われていまよね。そうすることの理由とは何でしょう?
コラボレーションとは協同です。違う観念を持ち、仕事の仕方も違う世界中のクリエイター達と作業することは、世界を知るひとつの方法でもあります。

では、世界全体に向けたプロジェクトと、香港やアジアのみに向けたプロジェクトでは、より効果的にするためどのようなことに注意して取りかかられていますか?
通常、どこか特定の地域を狙ってプロジェクトを進めるということはありませんが、いつでも核となるアイディアは重要だと思っています。そのプロジェクトの完成度が上がれば、どんな地域でも受け入れられるのではないでしょうか。ちゃんとしたリサーチと、あらゆる状況に対する理解があれば、素晴らしい結果を生み出すことができます。ですので、東か西かということで決まるものではなく、どのプロジェクトも独特なんですよ。
ARRは「ARRパブリシング」という名の下で非常にクオリティの高い書籍の数々も出版されています。クリエイティブ・スタジオであるARRが出版にこだわる理由は何でしょうか?
“読む”ということは、肉体と精神のプロセスをミックスした非常に感覚的なものですよね。ブログの数が例えどんなに増えたとしても、書籍の魅力がなくなってしまうということはありません。内容、紙、構造、読むリズム、見え方…書籍には、数えきれない程の可能性があるんです。ですが、子供達を楽しませる本は作るのに、なぜデザイナーの為の本を作ってはいけないのでしょう?デザイナーならば少なくともオープンマインドであるはずです。私達は面白い本を、面白い構造で、面白い内容で作る努力をしています。

ARRが出版したステッカー・ブックの第一弾「All You Need is Sticker Graphics with Colette and AAAA special edition」。

この凝りよう!「All You Need is Sticker Graphics with Colette and AAAA special edition」のクロースアップ。

ARRパブリシングがプロデュースしたステッカー・ブックの第二弾「Sticker Graphic 2 - Do you love stickers?」。

今年創刊された「The Age of Feminine Drawing」は、女性的なイラストを集めた書籍。
では、これ程までに高いクオリティを保ち続けるコツは何でしょうか?
実行することです。出来たものが良くなければ、もう一度アイディアを練り直し、妥協せずにやり直すことです。

「Limited Edition?」では、様々な国のアートディレクター達によってキュレーションされた素晴らしいパッケージを紹介。

アジアのデザインの数々を紹介する「Hong Kong Designers Association Award 05」のカタログ。
地元である香港のデザイン/アートシーンに関しては、どのように感じていらっしゃいますか?
正直に言うと、少し退屈ですね。ロンドン、アムステルダム、日本、タイ、中国本土などには面白いクリエイターがいますが、香港でのその数は非常に少ないのが現実です。もっと助長するものや、教育、デザイナー自身の勇気などがこのシーンを盛り上げるために必要なのではないでしょうか。
では、限られた香港のシーンの中で、今最も注目すべきクリエイターを何人か教えて下さい。
インタラクティブではフランシス・ラムによるdb-db。グラフィックではレス・ソン、Shellmoonsite、Rex-Airのレックス・クーなどが素晴らしいですね。



また、ファイン・アートの方面では、ペインターのチョウ・ジョンファイ。彼の香港映画シリーズはいいですね。5mx3mのエナメル・ペイントなんですが感動します。同じくペインターのラム・タンパンも素晴らしいと思います。


オールライツリザーブドのSKラム氏。
では、最後にARRの今後の目標を教えて下さい。
強くなること、ですね。
SKさん、有難うございました。これからも香港から発信される世界のアーティスト達との素晴らしい作品の数々を楽しみにしています!
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