目で涼む、夏の和菓子

2007年7月5日 カテゴリー: 国内, 民芸・工芸

目で涼む、夏の和菓子

涼しげな夏の和菓子は、見ているだけで楽しくなってくる!

梅雨のじめじめした蒸し暑さが去ると、太陽の光が一段と強く感じられる暑い夏がやって来る。先日、少し早い真夏の暑さに立ち寄ったデパ地下で、偶然見つけた涼しげな和菓子の数々。冷たそうな透明感ある「くず桜」や「水羊羹」、トマトや紫陽花をモチーフにした「季節の生菓子」の色の鮮やかさには、日本人の私ですら魅了されてしまう。本日のPingMagでは、眺めるだけで涼しくなる和菓子の数々と、東京・上野の「うさぎや」の和菓子職人さん達による「くず桜」作りの様子をご紹介します!

作:リョウコ

「季節の生菓子」はその季節の色や香りを表現する、四季を尊ぶ日本人ならではの創作和菓子。今の暑い時期には、鮮やかな青や緑で色付けられた寒天、葛などの清涼感溢れる生菓子を多く見かける。例えばこちらの「鶴屋吉信」の和菓子は、梅雨に咲く花、紫陽花がモチーフとなっていて、重なる三色の練り切り餡はその七変化を遂げる花びらを表している。

鶴屋吉信の「紫陽花」。青や紫のきんとんで描かれた紫陽花の花びら。透明な葛で出来た小さな雨の雫もアクセントとして付けられている。

こちらは鶴屋八幡の「ねじ花」と「山百合」。ねじ花は、白に薄らピンクが混ざった多数螺旋状に咲き上る小さな花。ねじ花のユニークな姿と繊細さが、散りばめられた小さな粒で静かに描かれている。右の「山百合」は普段では余り目に触れる事のない日本特産の大きな夏の花。白とピンクのポップな色使いと一風変わったビジュアルからは「舌」をも彷彿させられる!


鶴屋八幡の「ねじ花」

同じく鶴屋八幡の「山百合」

花園万頭の「みつ豆かん」やうさぎやの水羊羹などは、天草からなる寒天やマメ科の植物の葛などで作られている。そのような透明な生菓子の中でも一際目を引いたのが、清閑院の「朝摘みトマト」。葛ゼリーの中には、トマト餡で出来た小さなトマトが収まっている。


こちらはうさぎやの水羊羹。伝統的なスタイル。

清閑院のくず万頭「朝摘みトマト」。カワイイ!

フルーツや甘納豆が入った、花園万頭の「みつ豆かん」。

こちらは鶴屋八幡のプルプルした「紫陽花」。中には黄色い餡が隠れている!

その他にも生菓子の中には、まるで絵画のように、水面に反射する陽光や、夜空に打ち上げられる花火といった情緒的な光景が題材となったものもある。例えばこちらの鶴屋吉信の生菓子「星願い」は、夏の夜空に浮かぶ煌めく星の姿を描写した作品なのだとか。


鶴屋吉信の「星願い」は、星をイメージをした金箔が付けられた。

本物のソックリの「杏」は、鶴屋八幡から。

では、これらの和菓子はどのように作られているのだろう?今回は東京・上野にお店を開いているうさぎやさんの「くず桜」作りの様子を見学させて頂いた。

創業大正2年の和菓子屋「うさぎや」では毎朝早くから、大学を卒業して間もない人や何十年も勤めるベテラン職人さんなど、20人余りが働いている。昔の職人は、15歳くらいから住み込みで働いていたが、現在では自宅通いが基本なのだそう。しかし、和菓子を作る職人の情熱は今も昔も変わらない。


65歳になるベテラン職人の山本さん。饅頭の生地を練っている。

一方、こちらは若い女性の職人さん。饅頭に焼き印を入れているところ。

くず桜の生地は、葛粉と水を火にかけながらかき混ぜて作られる。ここで重要なポイントは、火にかけ過ぎないように素早くかき混ぜること。かけ過ぎてしまうと、葛が堅くなり割れやすくなってしまう。また、素早くかき混ぜることにより、透明感や艶が出るそうだ。作業場からは気迫が伝わって来る。速さと技術が求められる和菓子作りに、皆真剣な表情で作業を進める。


混ぜる速さと、火の加減が難しい「くず桜」の生地作り。

柔らかい生地で包んだ餡を素早く並べてゆく。

餡を生地で包む様子。日々の作業から培われた職人の手さばき。

生地は、一度水に晒してから職人ならではの技術によって、餡が柔らかい葛に一瞬にして美しく包まれる。代々受け継がれるうさぎやのくず桜は、皮が薄く、中には自慢の餡がたっぷり入っているのが特徴的。その餡には十勝産の小豆が使用され、餡の味を最大限引き出す為に全て自分達で作るそうだ。ちなみに餡を包む葛の形は、貝殻の末広がりをイメージしたものだとか。

くず桜の形が完成すると、次は蒸す段階に移る。そして、蒸し上がったら常温で冷まし、ある程度冷たくなったところで、より透明感を出す為に少しずつ水をかけ、しばらく置いておく。


葛を蒸かす器械。

潰さないように少しずつ水をかける。

こちらが少し放置されたくず桜。透明な葛は、涼しげな印象をもたらしてくれる。

そして、いよいよ冷めたくず桜を桜の葉に包むと、柔らかくて餡がぎっしり詰まったくず桜の完成。あっという間に出来上がってしまう速さとその美しさには、職人の腕を感じずにはいられない。


くず桜を包む為の桜の葉を切り揃える。

こちら同時進行で作られていた別のお菓子。奇麗な透明の緑!

出来上がり!

うさぎやの素敵な包装紙。

こちらの紙バックも可愛い!

…という訳で、お気に入りの夏の和菓子は見つかりましたか?上野を訪れる際には、うさぎやの職人さん達が心を込めて作った和菓子を是非食べてみて下さいね!では、最後は美しい紫陽花で!

「紫陽花」をモチーフにした榮太樓總本鋪の生菓子。元気に夏を乗り切りましょう!

7 コメント

  1. うさぎ屋の水羊羹が、おいしそう(´Д`)

    Posted by: allen @ 7月5日2007年

  2. おいしそう!
    消耗品にここまで拘るのって、凄い。

    Posted by: nobuko @ 7月7日2007年

  3. 渋いお茶ほしいですね。

    Posted by: nnn @ 7月7日2007年

  4. 四季がある国に生まれて本当によかった!!

    Posted by: choco @ 7月9日2007年

  5. ため息が出るほどきれいですなー。
    そしておいしそうです。
    キラキラしてるよ!

    Posted by: しげる @ 7月9日2007年

  6. 和菓子は美しいですね。人の手から生まれるのがまたよいです。
    うさぎ屋の包装紙と紙袋がすごっくかわいい!

    Posted by: 匿名 @ 7月11日2007年

  7. おいしそう!

    Posted by: Nichimi Misui @ 7月22日2007年

  • Share and Enjoy:
  • del.icio.us
  • digg
  • Fark
  • NewsVine
  • RawSugar
  • Reddit
  • YahooMyWeb
以前の記事