
Plustic Minustic(プラスチック・マイナスチック)。これは一体何を意味する名前なのだろうか。もしや誤植?と思いきや、実はそうではない。東京に拠点を置く、竹中耕司と石井崇秀の両氏の率いるデザイン集団のホームページによれば、プラスチック・マイナスチックとは互いに相反するモノ(人)が惹きあい、電気のプラスとマイナスが繋がり、そこにエネルギーが生まれるように、惹きつける力、惹きあう力を指すのだとか。彼らが建築、プロダクト・デザイン、グラフィック・デザインなどの様々な分野に遊び心をもって取り組むのも恐らく同じ理由からなのだろう。PingMagでは、ミラノで行われたトウキョウ・デザイン・プレミオのレポートをもう一つお届けすべく、プラスチック・マイナスチックの竹中耕司さんにお話を伺ってきました。
作:ジャクリーン・フェルバー
訳:山根夏実

間近で見た「タブレットチェアー」。クッション部分がモジュールとして機能するようになっている。ステキ!
竹中さんはプロダクト・デザインを手掛ける建築家だそうですが、どうしてそういうことになったのでしょうか?
小さい頃よりモノづくりは好きでしたが、ある年齢になると建築には資格や専門知識が必要だと知り勉強するようになりました。
あなたの創作活動において、一番影響を受けたものは何ですか?
大学を卒業後に留学したミラノの高名なドムス・アカデミーでの時間はとても豊かな体験でした。この学校には世界中から人が集ってきていて、それによって生まれるアイディアの数々には驚かされるばかりでした。デザインに文化や民族の境界線はないのだと気付いたのは、そこで様々な背景の人々と共同で作業をしたことがきっかけです。この経験が今の私の人生観に大きな影響を与えたと思います。

お二人は他のコラボレーターとはどのように作業されているのでしょうか?
私たちのデザイン過程には強いチームワーク感があって、それがデザイナーとしての私たちの力になってくれますし、結果もより豊かなものにしてくれていると思います。また、作業はテーマに沿ってお互いの意見の相違を分かち合いながら行われ、相反するプラスとマイナスのように、新しい流れは異なる視点が繋がる時に生まれると思うんですね。惹きつける力、惹きあう力、そして繋がり。私たちはこういった日常生活の一部を強調しつつ、このキーワードを反映して物作りやデザイン、制作を行っています。




新築された病院の玄関。まるでプラスチック製のよう!
先日ミラノで開催されたトウキョウ・デザイン・プレミオにも出展されていましたが、ああいったデザイン界のキャットウォークに参加するのはどのような体験だと思われましたか?
スーパースタジオ・ピューのアート・スペースは最高の会場でした!全体的な感想としては、デザイナーや消費者と意見を交換できる場としてありがたかったですね。私たちにとっては、直接的なフィードバックを貰える願ってもない機会でした。
そこではハイテク・プラスチック素材の新作家具「ジェミニ」を公開していらっしゃいましたが、単にブランドの名前と似ているという理由だけでプラスチックを使用されたわけではないのですよね?
今回の「ジェミニ」はまだプロトタイプです。トップの部分はなるべく軽くて丈夫な材料にしたいので、ポリアセタールを使いたいのですがまだまだ検討中です。

パーティー用の家具「ジェミニ」。メイドさんはオマケ!
なるほど。それでは新しい素材を使うという意味においての革新は、あなた方の創作過程の一環であると?
私達にとって技術もアイデアも同等に大切だと思います。技術の進歩によってできるアイデアもあるし、アイデアによって生まれる技術もあります。どちらもリスペクトをもって歩みよるものだと思います。
トウキョウ・デザイン・プレミオに関してお伺いしますが、日本の文化的なステータスについてはどのように感じられましたか?
日本文化が注目されることは大変良いことだと思っています。日本には優秀な建築家やデザイナーが沢山います。しかし、まだまだ世界的な仕事をしているのはほんの一握りの人たちです。もっと世界に日本のアイデアを持っていけたらと思います。その反面、日本の伝統工芸や技術のある工場など埋もれ始めているものも沢山あります。そういったものには異文化の力が必要だとも感じています。

「ドッピオ」のスケッチ。二人掛けソファの新しいカタチ。

この調節可能な椅子は、どんな身長の人とも同じ目線で一緒に座ることができる。
では、未来の、例えば今から30年後のデザインはどうなっていると思われますか?
30年という時間枠の中で変化について考えるのであれば、恐らく革新そのものへの劇的な変化はないのではないでしょうか。ただしコンピュータがそうであったように、システムへの変化はあるでしょう。特に意識しなければならないのはコミュニケーションの問題だと思います。現在時制で考えてデザインする際に、30年後の世界に何が残っているのかを考えるのはとても大切なことでしょう。私たちはデザインをする際に、これからの世代がどうやってコミュニケーションを取り、どう感じるのかを考えて、そういった意味において有意義なものをデザインしたいと考えています。

プラスチック・マイナスチックの原動力。石井崇秀さんと…

…竹中耕司さん。(とりあえず猫はメンバーではないらしい)。
お見事!プラスチック・マイナスチックの皆さま、本当にありがとうございました!触り心地バツグンの「タブレットチェアー」でいつまでもボールモジュールで遊んでしまいたい気分です!
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