
ゴム素材のものに彫られた細かな美しい線。その線とインクから生まれる絵柄には、手仕事ならではの趣がある。決して機械では表現出来ない技で作られる素敵なハンコ、ゴム版。今回PingMagは、現在、東京・お茶の水にあるギャラリー「美篶堂」で開催されている「八朔ゴムはん作品展」を訪れ、ゴム版アーティストである片岡知子さんに、ご自身の作品について色々お話を伺った。
作:リョウコ
片岡さん、まずどのようなきっかけでゴム版制作を始められたのでしょうか?
元々、美大で彫刻を専攻していたのですが、卒業してからはいろいろアルバイトをしていたんです。その頃に受けたデザインの仕事で作った小さなハンコが知人の目に留まり、ゴム版作りを始めました。その後、色々な人と出会いを通してイベントなどに作品を出させて頂き、徐々に自分でもゴム版のワークショップや展覧会を開くようになったんです。


「八朔蔵書」。

繊細な絵柄。
展覧会のタイトルでもある「八朔(はっさく)ゴムはん」という名前はとても印象的ですが、その由来は何でしょうか?
ゴム版活動を始めて「屋号」が必要だなと思った時が、ちょうど八朔の旬の季節だったんです。八朔が好きというのもあるのですが、そういえばあの人に会ったのは丁度この季節だったとか、初めの空気みたいなものを思い出せたらと良いなと思い「八朔ゴムはん」という名前にしました。

ゴム版で作った年賀状。

お店のロゴを絵柄に。
依頼されたハンコの絵柄は、全て片岡さんが描いているのですか?
私の絵もありますし、オーダーメイドの場合もあります。お店からのオーダーメイドの場合は、そのロゴがあったりするので、それに私のアイディアを付け加えたりします。その他には、この絵をそのまま彫って欲しいといった依頼などもあります。

本の中に入っている階段のマークは、片岡さんが参加しているイベントのロゴマークをアレンジしたものだとか。

かげろう文庫の値札。

例えばこれは、小川書店という戦争関係の資料を取り扱っている本屋さんのオーダーメイドのハンコなのですが、お店の方から飛行機を入れて欲しいという要望があり、そのお店の資料にあった航空三面図を版にしました。その資料には、他にも面白い図柄が沢山載っていたので、個人的にも色々彫ってみました。古本にある絵は版との相性も凄く良いんですよね。


オーダーにはお店のコンセプトやどういう人に見てもらいたいかなど、色々な想いがあるんですよね。そういった考えを尊重して、あとは自分のアイディア見せて、そこからその人と一緒に版を作っていくという方法を取っています。


年賀はがきの作品。

コーヒーを片手に本を読む人の姿。コーヒーの匂いやゆったりした時間が、このゴム版の絵から漂って来そう…。
こちらは古い数学の本に載っている図形の絵を彫ったハンコです。小さいマルが付いているのが「雨あがりの算数」で、何も付いていないのは普通の「算数」という作品名にしました。

マルが付いている「雨あがりの算数」。

普通の「算数」。
どのようにゴム版を作られているのですか?
私はデザインナイフだけを使い版を彫るのですが、まず下絵となる絵を紙に描きます。それから、その絵を版に転写して、色を付ける線を残してゆっくり彫っていきます。ワークショップでは、その彫り方を紹介しているんですよ。


ゴム版を使って何か他の作品を作られたりしますか?
これは草木染めの生地にハンコの柄を入れてみたものです。月に1回ほど草木染めをする場所に参加して、茜やクチナシ、栗など、季節毎の植物を使い生地を染めるのです。その辺に生えている草を染めたりすることもあるんですよ。今年の春から始めたので、1年が経ったら色んな色が集まるんじゃないかなと楽しみにしています。

ユニークな絵柄が入った草木染めの生地 。

生地には魚の模様。

大きなヘチマ!

本が積み重ねられた絵柄。
片岡さんの作品に触れる人達に何か伝えたいメッセージはありますか?
直に言葉が載ると思うと話しづらいのですが、このハンコを作っていて一番感じるのは、作品を完成させることよりも「こういうことが出来るんじゃないか」と考えている方が何よりも幸せだということです。ですから、皆さんが私の作品から何らかの可能性を感じ取って、自分ならこういう風にするとか、ああいう事が出来るのではなど、そんな風に考える時間をもって貰えたら嬉しいですね。

「八朔ゴムはん」のアーティスト、片岡知子さん。
片岡さん、今日は素敵なお話をありがとうございました!
「八朔ゴムはん作品展」はギャラリー美篶堂で6月24日(日)まで開催していますので、是非足を運んでみて下さい。また、「八朔ゴムはん」についての問い合わせは、こちらのメールアドレス(hassak@mbn.nifty.com)にてお願いします。
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おお!
なんか作りたくなってきたので今度作ってみます!!
Posted by: 親父 @ 6月22日2007年