
独特な柄の刺繍や草木染めの柔らかな色など、作り手の想いが仄かに伝わって来るsalvia(サルビア)の作品。2000年からスタートしたea(エア)のグラフィックデザイナー、セキユリヲさんが手掛けるサルビアは、デザイナーから伝統工芸の職人、友人、知人と様々な人々との共同作業で行われるデザイン・プロジェクト。今回PingMagはそのサルビアの活動についてセキさんにお話を伺った。
作:リョウコ
最初にサルビアの活動について簡単に教えて頂けますか?
元々は、私が書き留めていた落書きや図案を基に、グラフィックを活かしたマッチや缶バッチなどを作っていました。その後、洋服やテキスタイル作りを経験し、ここ2、3年は日本の伝統工芸職人さんと組み、もの作りをしています。
どのように職人さんを見つけるのですか?
自分でリサーチしたり、知り合いから紹介してもらったり、また、直接向こうから声をかけて頂くこともありますよ。
これは、京都の木版画職人の方と一緒に制作した「木版刷り小箱」です。彫り職人さんと摺り職人さんの熟練の技で、私のデザインした絵柄をプリントして頂いたのです。木版画は印刷にはない滲みや掠れが特徴的で、上質な和紙との相性も面白いのです。

色も奇麗ですね。
いつも日本の伝統的な中間色を使うようにしていて、着物の色合わせのような、日本独自の美しさから影響を受けて作っています。
こちらの「木彫ブローチ」は、江戸木彫の職人さんにお願いして作りました。江戸木彫は、江戸時代から続く木彫技法で、神社仏閣の欄間などで見かけるお花や龍の彫刻には、その技術が使われています。職人さんが木目の出方までこだわったブローチで、長く使えば使うほど美しくなります。

こちらは、法要の席でお坊さんが場を清める為に撒く蓮の花びらを型取った「散華」(さんげ)と言うものです。初めは本物の花びらを撒いていたのですが、蓮を手に入れられない時期もあることから紙製になったそうです。散華はお寺でも購入出来ますが、その存在に惹かれ、自分達なりの散華を作ってみました。

以前から日本の伝統的な物に興味をお持ちだったのですか?
日本に古くから伝わる物には、美しい物が沢山ありますし、一つ一つに深い意味があります。ですから、それらを解釈して、新たなかたちを提案し続けたいのです。
例えばこの「アイヌ刺繍ポーチ」。これは、アイヌ民族が儀式の際に身につける、手甲(ミトンのようなもの)の装飾をモチーフにして作りました。アイヌの習慣では、魔除けの為に手先と足下に梟の目を柄にした刺繍を施すそうです。そのような豊かな背景を知るのも楽しみのひとつなのです。


優しい色の黄色のポーチ。

青森・こぎん刺しの刺繍のお財布。

こちらはeaが発行している、もの作りの過程を記録した小冊子「季刊サルビア」です。手仕事を得意としている私たちは、出来上がった作品を見るよりも作る過程に喜びがあることを日々感じています。そのことから、この本を通して作る楽しみを皆さんにも伝えていけたらと思っています。

その本の中で紹介されている作品をいくつか見せて頂いて宜しいですか?
これは、陶器スプーンの作り方が特集されている号です。こちらのランチョンマットは、その小冊子の表紙の柄を使って作りました。

この本を制作している理由は、もの作りの背景を伝える為でもあります。出来上がった商品を見るだけでは、他にある商品との違いも余り分からないでしょう?でもこの本を見て頂くことで、私が直に喋らなくても、どのように作られているのかが理解してもらえれば嬉しいです。

職人の皆さんと一緒に仕事をされて、何か発見したされたり、感じられたことはありますか?
帆布のバッグ職人さんや草木染め職人さんたちは、自分の作品と一生付き合って欲しいという考えの基で、もの作りをされています。破れたり擦り切れたりすると、無料で補正や染め直しをしてくれる方も多くいます。ものを大切にし、一生付き合っていくというその精神が素晴らしいなと思います。

帆布のバッグ

藍染めの洋服
また、私自身はアーティストではなくデザイナーなので、作品発表の為にものを作るというよりは、多くの人に使ってもらいたいという気持ちがベースにあります。いずれは、自給自足の生活をしたいのですが、その前にサルビアの活動を通して何でも作れるようになりたい。それも、楽しみながら出来れば、本当に素敵ですよね。

セキユリヲさん、今日は興味深いお話を聞かせて頂きありがとうございました!
1 コメント
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色もデザインも、じんわりと愛しい。
さっそくサルビアの通信販売でいろいろ購入してしまったー!
Posted by: satoko @ 6月13日2007年