
表参道の喧噪から離れた静かな路地に、ea(エア)というデザイン事務所がある。eaは、グラフィックや空間デザイナー、フードコーディネーターなどの様々な職種の人々が集結し、もの作りをする会社。毎週土曜日になると、オフィスがショールームとして公開され、eaのデザイナーや他のアーティスト達の作品が展示される。今回PingMagは、そのeaの設立者でありデザイナーの清水徹さんに、彼が手がけているプロジェクト「monokraft(モノクラフト)」についてお話をお聞きした。
作:リョウコ
まず最初に、monokraftのコンセプトについて簡単に教えて下さい。
monokraftは、自分たちの考えに基づいて、自分たちがつくりたい家具を自由につくっています。誰かに頼まれてつくるものでない分、あまり採算を考えないでつくるので、金銭的には大変ですけどね(笑)。

monokraftの家具作りには、「人が老いていくように、家具も人と共に一緒に年を取る」といった考えがベースになっています。ですので、家具の素材には、傷がつき、色褪せ朽ちていくけれども、頑丈で、長く使える木を使っています。木は肌触りも良いですしね。

その考えに至る迄には、どのような影響を受けたのでしょうか?幼少期をフランスで過ごされたとお聞きましたが、そこでの経験は今の考えと結びついていると思いますか?
フランスの古い街並で育ったことだけでなく、大学4年間、鎌倉にある骨董屋とジャズ喫茶が併設されているお店でのアルバイトも今の考えに多少影響しているかも知れません。新品よりボロボロの物の方が愛着も湧いて好きなんですよね。家具をボロボロになるまで使ってもらうためには、どうしたらよいかということを考えています。家具は絵画のように目で見て楽しむためだけのものではなくて、生活の「道具」だと思うので、使い心地がよく、気にならない、飽きない存在でありながら、愛おしいものであってほしいですね。バッハの音楽やドイツのデザインにも影響を受けている気がします。一見地味で単調なものの構成で、複雑で豊かな世界をつくるような…。単純で当たり前のかたちの構成から、情緒的で愛着の湧く家具をつくれないかと考えています。


こちらが東急ハンズで作った箱
元々、もの作りをするのがお好きだったのですか?
そうですね。昔から小物入れなどを作ったりしていました。この白い箱(写真左)は僕が建築を志して間もない頃、東急ハンズの工房で作ったものです。木であれば、日曜大工の道具でも、一応は形あるものが作れる。そのことも木を使って家具を作り始めたきっかけの一つだったんですよね。
僕たちは、元々鉄工場だった所に僕らの工房を構えたのですが、そこに落ちていた鉄の部品を使って何か作れないかなと思考を巡らせ出来たのがこの本立てです(写真下)。その鉄は、この本立ての重心に使ってみました。所謂ゴミなのですが、とても気に入っているんですよ。

他にもこれなら簡単だろうと安易な考えで作り始めたのが、このテーブルです。しかし実際に取りかかってみると、何も知らない所から始めている僕には、かなり骨の折れる作業だったのです。何度も失敗を繰り返しながら学び、やっと完成したテーブルです。

この椅子は、木のたわみを座面のクッションにできないか、というアイデアからつくりはじめました。作り始めてから2年が経ち、ようやく使えるものになって完成に近づいた気がしてます。椅子づくりは難しいけれど、とても楽しいですね。


家具作りを通して、どのようなことを発見されましたか?
家具を作るようになって、勉強する感覚で古い物を見るようになりました。昔は機械や現在のような木工道具がなかったので、古い物には今では考えつかないような色々な工夫が凝らしてあります。見た目はボロボロだけど、何年経った今でも十分に使える。それって凄いですよね。だから古いものを見ていると凄く勉強になるので、これからも古い物を沢山見て、触れていきたいと思っています。僕は家具の歴史をほとんど知らないので、日本ではいつから、どのような椅子が使われていたのかなども勉強したいですね。古い物には先人の知恵が沢山残されているので、過去とは繋がっていたいという思いは常にあります。古い物に囲まれている方が、新しい物を作り出せるというか、未来がある気がする(笑)。だから古い建物は壊さない方が良いと思うんですよね。



この板を、ここに付けると…

棚が出来る!邪魔にならず、必要な時に使える優れもの。すごい!!!

清水さん、今回は沢山お話を聞かせて下さってありがとうございました。これからもどんどん素敵な家具作りと、その精神を皆さんに伝えていって下さいね。皆さんも是非、今度の土曜にはeaのショールームを覗いてみて下さい。
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