S.O.Y. LABO:人と空間、過去と未来を繋ぐデザイン

2007年5月14日 カテゴリー: イベント/展示会, プロダクト, 国内, 民芸・工芸

S.O.Y. LABO:人と空間、過去と未来を繋ぐデザイン

先日ミラノで開催されたトウキョウ・デザイン・プレミオで発表されたばかりのS.O.Y. LABOの「EFoS」。様々な用途を持つ「EFoS」は、日本の伝統的な木の格子細工をモダンなデザインに変身させたもの。

本日はミラノで開催されたばかりの今年のトウキョウ・デザイン・プレミオからのハイライトをお届けします!二週間前の展示では、有名建築家伊東豊雄富士通の最新技術による装置など、おなじみの顔触れ以外にも見所は満載。また、プレミオでは若く有望なデザイナーによる新しい技法なども採り上げられており、PingMagも海外遠征して、建設と環境研究を専門とする素晴らしいネタを見つけてきた。本日は、東京を拠点に活動するS.O.Y. LABO(ソイラボ)の山中祐一郎さんの発明品で、棚/ランプシェードなどの多機能な役割を果たす「EFoS」を紹介しよう。

作:ジャクリーン・フェルバー
訳:山根夏実


快晴のミラノにて。東京を拠点に活動する、S.O.Y. LABOの山中祐一郎さん。

まず山中さんは、どのようにして建築とデザインの分野に入られたのでしょうか?

私はロンドンの建築家協会の学校で学んだ後に、世界一周の旅に出ました。生まれた時から感じていたデザイン全般―固体の創造という意味でのデザイン、そして特に空間への興味から美大に進みました。私にとっては、鉱物を見たり、不思議な生命体を観察すること、そして水の中で土が動くのを見つめたりする自然の観察は、デザインの過程において欠かせないものです。

それでは、自然があなたのインスピレーションの中の一つなのでしょうか?

ええ、私は田舎育ちなので、自然が生み出す多様なデザインには常に関心を持っていました。そのおかげで、昆虫でも鉱石でも単なる豊かな自然の中の体験でも、自然の形や現象を観察する鋭い感覚が養われたのだと思います。また、その背景によって、私は三次元環境についてより深く考えるようになりました。


「EFoS」の木造構造は、光で遊ぶことによってモアレ効果を生み出し、空間に深みを与える。

あなたの自然への関心が、あなたの材料の使い方にも反映されていると思われますか?

私が有機素材を使うのは、その信頼性とそれを製造する技術の単純さが理由です。私は、モアレなどにも見られるような、人間という要素が加わった時に複雑な現象となりえるシンプルなデザイン・システムを創ることを心がけています。

あなたがミラノで発表した棚とランプシェードとスクリーンがお洒落に一体化したEFoSでは、それはどういったところに表れているのでしょうか?

EFoSは可能な限りシンプルな材料を中心に、ヒンジで繋ぐことによって作られていて、弾性と折り畳みの法則によって曲がるようになっています。日本建築の伝統的な要素である木の格子作りは、光と影の精巧な関係に影響を及ぼすものです。様々な角度で格子の層を交差させることによって、EFoSはモアレ効果という視覚現象を作り出します。それに加えて、光の揺らめきや構造体の周囲の動きが空間に深みと複雑なエフェクトまで生み出します。


用途はランプシェード、スクリーン…など様々。

…もしくは本棚など。でも腰掛けとしては、あまり良いとはいえないかも?

詩的な表現をありがとうございます!とはいえ、少し理論的な感じもしますが…。

デザインにとっては現実が全てで、デザインの過程には避けて通れない思考要素があります。それが文化であれ、環境であれ、そのデザインの基盤となる背景であれ。

確かに。それでは、イノベーションとはあなたにとってどのようなものなのでしょうか?デザインと技術の間の距離についてはどうお考えですか?

私にとって大切なのは、技術ではなくデザインされた物体、またはその過程そのものです。重要なのは、一つの空間の中に作ることができる複雑性なのです。私は、デザインとは人間と空間やその中にある物体とを繋ぐ現象を指すものだと考えています。


「EFoS」。伝統的な木の格子を現代の住まい用に変身させる。

あなたの作品は、当然人と空間だけを繋げるものではありませんよね。過去と未来の繋がりも、あなたの日本の伝統的な木材の使用やその革新的な使い方に反映されているように思えますが…。

はい、まさにその通りです。

それでは、次は伝統的な日本文化全般についてですが、グローバル化という観点から見た時、日本の伝統文化についてどうお考えですか?

日本の伝統的文化は、世界的規模での環境の発展や一般的な発想に大きな影響を与えています。それは西洋的な観点からすれば未だに興味深いことかもしれませんが、1867年のパリ万博の時点で既に開拓されたものでした。そしてグローバル化は、時として過去のコンセプトを新しい課題に向けて過度に利用することもあります。私としては、世界の流れはその様々な個性をきちんと認識して、物事の価値を公正に、平等に評価する基盤として使うべきだと思います。私は日本のデザインが、今そういった面でテストされているのだと考えています。


この棚は壊れやすく見えても…

…その柔軟な構造のおかげで、本くらいの重さなら乗せても大丈夫。

ええと…それは良いことですか?それとも悪いこと?

もしそれによって、本来の文化が失われるようであれば、危険なことです。しかしながら、それぞれの独自の文化をグローバルな視点で捉えることができる私たちデザイナーにとっては、グローバル化は一種の機会にもなりえます。

ミラノで行われたトウキョウ・デザイン・プレミオに参加された際に、他と比較して日本のセクションはどうだったと思われましたか?

ミラノでは、日本文化は鳥の群れの中のコウモリでした。

面白い表現ですね!最後に、30年後のご自分が世界規模ではどこにいると思いますか?

地球のどこかで誰かを幸せにしているでしょう。デザインというものは、かなり長期のプロジェクトなんです。

沢山の理論と、それに加えて新しい見識も…。S.O.Y. LABOの山中祐一郎さん、豊かなお話をありがとうございました!

1 コメント

  1. その昔、夕方など風呂上がりの縁台に集まる人々、夕食前のひととき。家々の格子からこぼれる電球の明かり、その灯りが外より明るくなる頃それぞれの家に帰ったものです。

    Posted by: natty @ 5月15日2007年

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