デザイン・キャン・チェンジの草の根プロジェクト

2007年5月7日 カテゴリー: インターナショナル, インターネット, 環境・福祉デザイン

デザイン・キャン・チェンジの草の根プロジェクト

デザイナーは、あらゆるビジネスと密接なつながりがある。だからこそ、彼らは様々な物事に小さなスケールで影響を与えることが出来る。今日紹介する「デザイン・キャン・エクスチェンジ」は、環境問題を考えるオンライン・プロジェクトだ。

先週バンコクで行われた国連の気候変動に関する国際会議では、この星を救うためには、人類は早急に消費パターンを変えなければならないということが再度明らかにされた。そこで今日は私たちも今起こっている小さな一歩をご紹介しようと思う。カナダのデザイン事務所であるスマッシュラブは、環境問題を声高に唱えるのではなく、グラフィック・デザイナーの間での意識を高めることによって貢献している。彼らのオンライン・プロジェクト、デザイン・キャン・チェンジでは、環境に優しいデザイン・コミュニティの非営利的なフォーラムの提供を志し、「グリーン・ペーパー・ガイド」(できるだけ化学処理を使わない製紙会社のリスト)や、デザインの過程を二重にチェックする「環境保全のチェックリスト」、グラフィック・デザイナーの環境に対する姿勢を変えるための「誓約書」などを始めとしたコンテンツを扱っている。PingMagでは、グラフィック・デザイナーの誰もが簡単に気に留めておけることについて、スマッシュラブのエリック・カジャルトさんにお話を伺ってきた。

作:ベレーナ
訳:山根夏実

地球温暖化は、全ての人にとっての問題。

エリックさん、「デザイン・キャン・チェンジ」プロジェクトを始められたのはいつからですか?

3年ほど前から地球に優しくなれる方法を探してはいましたが、それについてより深く研究し始めたのはほんの1年前くらいです。それまで提供していたものの大半は建築やプロダクト・デザインに関するもので、主にポスターや書籍、雑誌、チラシなどの仕事を手掛けるグラフィック・デザイナーのためのものはほとんどなかったのです。

それでは、ご自分のお仕事が最初のきっかけだったのですか?

私たちの立場からすれば、単にどうすればエネルギーを無駄遣いしないですむのかを知りたかっただけです。小さな企業でしかない以上は、自分たちの仕事を通じて与えられる影響はたかが知れていますが、他のデザイナーとも同じようなアイディアを分かち合えれば、もっと影響を与えられる力を持てるかもしれない。それが私たちがデザイン・キャン・チェンジのフォーラムをウェブ上で提供しようとしている理由です。みんなが情報をできるだけ早く交換することが必要とされていることです。

気候変動にはあらゆる要素が原因となっているが、特に二酸化炭素とメタンが主な要因であるらしい。

なるほど。それでは、あなたの主な構想は環境を意識したコミュニティを作ることなのでしょうか?

正にその通りです。面白いことに、デザイナーは企業と繋がっている独特な立場にあって、コンセプトの段階から物事に影響を及ぼすことができます。例えば、今日お会いした方は40ヶ国でチラシやカタログを制作する企業に勤めており、何千枚ものカタログを出荷しています。もし彼がより環境に配慮した紙に切り替えれば、それが影響を与えてくれるかもしれない。もしくは、依頼人に年次報告書をPDFなどのデジタル書類として作成するように促せば、費用効率以外の要素にも期待できます。

デザイン・キャン・チェンジは非営利活動なのですよね?

商業的に行う方法はありませんでしたし、利益を求めるために始めたことでもありませんでしたから。もしかしたら、発想自体は私たちの職業が総体的には何か良いことをするものであって欲しいという責任感から来ていたのかもしれません。これは採算的にはプラスになりえない以上、倫理的な問題です。もちろん、私たちとしても自分たちが決してエコの専門家ではないことに関しては、十分に注意しています。私たちは単に情報を集約していて、それをコミュニティで共有したかったデザイン屋というだけです。

グラフィック・デザイナーは一年間に膨大な数のパンフレット、ポスター、書籍などを生産する。

こちらの「グリーン・ペーパー・ガイド」は、色々な製紙会社とその環境への優しさの度合いをリストにしたものだそうですが、これだけの情報をどうやって集められたのですか?

情報の収集の仕方は色々ですね。他のいくつかの団体が公表していた同じようなデータを参考にもさせてもらいましたし、見つけられるあらゆる製紙会社のデータを調べて集めることもしました。ですが、製紙会社の変更は本当に頻繁なので、常に最新データを得るのは非常に困難です。それに加えて、これは北米を重点的にカバーしたもので、これだけでもかなりの時間がかかったのに、それを世界規模でするとなると莫大な労力が必要とされます。

ちなみに、こちらのPDFの上部にはすべて「このドキュメントを印刷しないでください。モニタに表示されている方がきれいですし、木を救うことにも貢献できます」という素敵な一言が入っていますよね。将来的には、人々は完全にデジタルデータに移行すると思われますか?

これからも印刷物の需要がなくなることはないでしょう、本などは触感が大切ですし。ですが、チラシなどが良い例ですが、人が印刷するのは、印刷する習慣があるからです。これは即ゴミ箱行きとなることも珍しくはないので、必ずしも効率的にメッセージを伝達する手段であるとは言えません。

今や、温室効果ガスが、どのように出来るのかは誰もが承知のこと。発電所、産業、自動車の燃料などなど…。

それではガイドラインについてですが、「環境に優しいデザインチェック」と「デザイン・キャン・チェンジ」の誓約書は、デザイナーにエコを意識するよう促すためのものだそうですね。この次の段階に関して、既に構想などを持っていらっしゃるのでしょうか?

最初の一歩は共通の概念を持つことでした。今もできるだけ多くのデザイナーに連絡を取って参加を呼びかけることに時間を割いています。これから少しの間、企業としてはちょっと休憩して、勝手に動くに任せようと思っています。また、他の団体と並行して参加している方―例えばリ・ノウリッシュのエリック・ベンソンさんなどから、色々な提案を頂いてもいます。それから、AIGAでも環境維持の取り組みを行っています。

考え方を変えることは、新たな一歩を踏み出すためには不可欠。

最近のバンクーバーは、いくつもの環境運動やその他の高い意識を持つ団体が発生する場所になっているようですね。そうなる理由に、何かお心当たりはありますか?

それはおそらく、自然の近くにあるからではないでしょうか。バンクーバーは比較的まとまりのない町で、多くの人々が野外で様々なことをやっています。もしかしたら生物学者のデヴィッド・スズキの影響もあったかもしれませんね。彼は長い間熱心な環境運動家で、自身の財団などを通じて環境意識を高める運動に多大な時間を注いでいます。

エリック・カジャルトさん、ありがとうございました!今後もデザイン・キャン・チェンジや連動した「アイディアズ・オン・アイディアズ」ブログのようなプロジェクトが立ち上がることを願っています。少なくとも、どうすれば貢献できるかはみんなが考えるべきこと。どんなことでも小さな一歩で始まるものだと思いませんか?

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