
インターネットの普及によって、最近ではウェブマガジンどころか、PDFに変換された雑誌を一冊丸ごとオンラインで気軽に読むことのできる「デジタル版」も多く登場し始めた。本屋さんに行く暇もない私達には確かに便利だが、このままでは印刷された雑誌の価値はどんどん薄れていくような気がしてならない…。そんな心配の中、先月1100種類ものポップカルチャー誌を集めた書籍「We Love Magazines」が発売された。今日は「We Love Magazines」のアート・ディレクターであり、英出版社ジョン・ブラウンのクリエイティブ・ディレクターでもあるジェレミー・レスリー氏に、彼の思う雑誌の役割や雑誌の未来などについてお話を伺った。
作:チエミ

3月12日に発売された「We Love Magazines」(編集:アンドリュー・ロソウスキー、ディストリビューション:ゲシュタルテン)。人々を楽しませるポップカルチャー誌、1100冊を紹介。
ジェレミーさん、まず「We Love Magazine」は、どのような経緯で出版されたのでしょうか?
この本は今年3月にルクセンブルグで行われた雑誌のシンポジウム「Colophon2007」に合わせて出版されました。このシンポジウムは、私とマイク・コーディンガー、アンドリュー・ロソウスキーの3人が企画したもので、自主制作している雑誌の出版者達の出会いの場を提供し、雑誌作りを活性化させようというものでした。開催期間中は、沢山のゲストを招いて、トークショーや様々なイベントも行い、最終的には約2000人もの来場者がありました。

シンポジウムではどのようなことが話し合われたのでしょう?
様々な議題がありましたが、いつも話題になるテーマのひとつは「雑誌の終わり」についてです。そこでは必ず「印刷された雑誌は最終的には全てオンラインに移行する」という意見を持つ人がいます。参加者の一人、「The Last Magazine」の著者であるデビッド・レナード氏は、「大手の雑誌は印刷物ではなくなり、小さな雑誌だけが印刷され続けるだろう」とおっしゃって、個人的にはそれがすごく面白い意見だと思いました。この話を書籍に置き変えると分かりやすいのですが、例えばあなたが旅行に行くとして、安い小説を買う。それは見た目には大して魅力的ではないけれど、何か読みたいという目的は達成できます。もうひとつは、素晴らしいクオリティで、美しい表紙の写真集や画集といったもの。つまり、週刊誌や芸能誌などの類いはオンライン化され、小さな雑誌はさらにクオリティを上げ、値段も上げていくだろう、ということです。
そのテーマに関してジェレミーさんはどのようにお考えですか?
私は自分でもMagCulture.comというブログを公開していますが、そこに短いテキストを書くことはあまりに容易で、時には書く事に十分な時間をかけて、読む人達にもっと真剣にとられたいと感じることがあります。しかし、だからと言ってウェブがダメだという訳ではありません。ウェブの世界はまだ始まったばかりで、過去数年で劇的に変化しましたし、これからも変わっていくでしょう。ですが、紙を使用することによる環境問題などを含めて、結果的には印刷された雑誌の数は減少していくと思います。

では、人々の生活においての“雑誌の役割”は何だと思われますか?
鍵となる役割は二つあると思います。まずひとつはエンターテイメント。クリエイティブ業界で仕事をしていると、雑誌に対してつい真剣になってしまいがちですが、結局のところはテレビや映画と同じように雑誌も娯楽であると思います。もうひとつは個人的な意見ですが、雑誌のデザインは流行を反映していると思います。昔は、レコードジャケットやCDジャケットといったものがクリエイティビティの最先端を伝えるバロメーターになっていましたが、現在ではその役割を雑誌が担っているように思えます。

では、良い雑誌を作るためには何が必要だと思われますか?
雑誌作りを学ぶのにはある程度の時間もかかりますし、デザイナーにとっても専門的な作業です。そんな中で素晴らしい雑誌を作るためには、デザイナーと編集者が互いに影響し合い、助け合うことが必要だと思います。デザインとコンテンツは一直線上にあり、常に結びついているべきものです。雑誌を見ると作り手が楽しんでいるかどうかということを感じ取れるものですよね。デザイナーが楽しんで作っている雑誌は、開くとその雰囲気がにじみ出ている。つまり、それはその雑誌の個性でもあります。


ジェレミーさんが思う今面白い雑誌、そして今まで見てきた中で一番素晴らしいと思う雑誌はどれでしょうか?
自主制作の小さな雑誌ばかりなのですが、フィンランド発の「Kasino A4」。クラシックミュージック奏者とのインタビューがあったかと思えば、ファッションページもあり、要するに彼らが興味のあることについて書かれている。単純に楽しめるだけの実にシンプルな雑誌なんですが、そこがいいんですよね。もうひとつはバルセロナ発の「Rojo(ロキオ)」。この雑誌には文字はひとつもなく、ただひたすらイメージを掲載している非常に美しい雑誌です。似た感じの雑誌でUK発の「Draft」も良いですね。美術館のキュレーターが一人でやっている雑誌で、掲載されるイメージが非常に美しいんです。
一番素晴らしい雑誌を一冊だけというのは非常に難しいのですが…90年代にアメリカで創刊された「Speak」でしょうか。これも最新の音楽や映画などの情報に囚われるなく、独自の視点で展開しているものです。この雑誌では、音楽や文学などをカバーし、短編小説なども掲載していました。編集はダン・ロラリという人で、デザインを担当していたのは、マーティン・ヴェネスキーという大変素晴らしいデザイナーです。彼ら二人が最高のパートナーとなり、美しいページの数々を作り出しました。
では、雑誌の未来に何を期待しますか?
これは多くの人が抱えている問題でもあるのですが、世の中には素晴らしい雑誌が沢山あるのに、お店では手に入らないというケースが多い。ですから、雑誌が作られてからディストリビューションされるまでの行程がより簡単になるように祈ります。また、多くの雑誌が大規模になりすぎて、個性を持つことで経済的な失敗を恐れているような気がします。ですので、作り手にはもっと冒険心を持って欲しいですね。
ジェレミーさん、貴重なお話をありがとうございました!私達も素晴らしい雑誌がこれまで以上に沢山作られることを期待しています。皆さんも雑誌の未来や価値について、ご意見をぜひお聞かせ下さい!
4 コメント
ウェブマガジン「PingMag」及び、姉妹サイト「PingMag MAKE」は、2008年12月31日をもって休刊いたしました。これまで応援して下さった世界中の皆様、またご協力頂いた皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
PingMagの姉妹版、日本のモノづくり情報を世界に発信中!
PingMagから大切なお知らせ
2008年12月31日
板谷龍一郎:色鮮やかでユーモア溢れる世界
2008年12月29日
マギボン:YouTube発のネットアイドル
2008年12月26日
ベネデッタ・ボッロメティ:たくさんの元気をくれる不思議な絵
2008年12月24日
中銀カプセルタワービル:未来の建築
2008年12月22日
花村えい子:キュートでポップな60年代の少女マンガ
2008年12月19日
日本のハイテクトイレ事情
2008年12月17日
アミューズメント:アートやファッションと融合するゲーム文化
2008年12月15日
HIROCOLEDGE:現代に溶け込む新たな伝統
2008年12月12日
瀬戸正人:ビンラン売りの甘い誘惑
2008年12月10日














süper site buyrun
Posted by: goruntulu sohbet @ 7月25日2011年
深圳3D http://www.3dlth.com http://www.swlth.com
Posted by: 田钢朋 @ 8月7日2011年
It’s hard to find knowledgeable people on this topic however you sound like you know what you’re talking about! Thanks
Posted by: solar panels maryland @ 11月11日2011年
We are a group of volunteers and opening a new scheme in our community. Your site provided us with valuable information to work on. You’ve done an impressive job and our entire community will be grateful to you.
Posted by: Riley Pasana @ 11月13日2011年