コードネームはストライプ:グラフィック、タイポと文章

2007年3月20日 カテゴリー: インターナショナル, グラフィック, タイポグラフィー

コードネームはストライプ:グラフィック、タイポと文章

LAをベースにするグラフィックデザイン・スタジオ「ストライプ」による、バワーズのカバー・デザイン

ストライプとは、ジョン・スエダとゲイル・スワンルンドが、仲間のケイティ・ハンバーガーと一緒に運営するロサンゼルス基盤のグラフィックデザイン・スタジオで、驚くほど個性的なプリントと編集デザインを生み出している。ゲイルはデザイン評論誌の「エミグレ」、ジョンはサンフランシスコ基盤の激動のアートとカルチャー雑誌である「スピーク」と、二人ともに1990年代のアメリカのデザイン業界を代表する雑誌を手掛けた経歴を持つ。本日は、コラボレーション、小規模のデザイン会社、それに自発的なデザイン・プロジェクトなどについての、ゆったりとした午後の会話をどうぞ。

作:イアン・ライナム
訳:山根夏実

異なるイメージの組み合わせや純色の色使い、完璧なタイポグラフィ、その映像を作り、活用する突飛なアプローチなど、ストライプの作品の雑多でいて細部を重視するデザイン・センスは非常にユニークなもの。そしてストライプのメンバーは、私がこれまでに出会った中で最も仕事熱心であるだけでなく、謙虚でどこまでも親切で、愉快な上に頭の回転も速い、人柄も素晴らしい人たちだった。

ストライプ。コラボレーションについて。

スタインカンプの見開き。

現在、共同で行っている仕事はどのようなものなのでしょうか。

ジョン:私たちのスタジオでは、専門的な仕事と個人のプロジェクトの両方をこなしています。それから、2人ともカリフォルニア芸術大学で教鞭をとっています。

そもそも、一緒に活動されるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

ゲイル:私がジョンと最初に出会ったのは、ロサンゼルスの墓地の社会見学でした。知り合う前から、マーティン・ヴェネスキージェフ・カプランデニス・ゴンザレス・クリスプなどの共通の友人は沢山いました。ジョンの作品は本当に素晴らしいものですし、彼自身も才能あるデザイナーで、最高の共同制作者です。

このスタジオでは、毎日が本当に楽しいんです。他のデザイナーと、スタジオの向かいのアーモンズ・カフェでアート&デザイン昼食会を開く金曜日は特に。

人間と昆虫の共生関係についての書籍、「BUZZ」の見開き。

書籍「BUZZ」の見開き。

ジョン:私がカリフォルニア芸術大学に来た理由の一つがゲイルです。エミグレやスノーフレークで見た彼女の作品は、私に大きなインスピレーションを与えました。

お二人に、何かスローガンや使命のようなものはありますか?

ジョン:コラボレーションが要です。私たちのデザイン哲学と過程、そしてこのスタジオの全ての根幹にはコラボレーションがあります。共同制作によって生まれる衝突/ディスカッション/エネルギーは、不可解で不可知なものを目に見える物理的なものに変えるのに欠かせない要素です。とは言え、実際のところは友情の問題が全てで、これに勝るものはないでしょう?

画家のローラ・オーウェンスの展示会カタログ用に作られたブックカバー。

画家ローラ・オーウェンスの展示会カタログの見開き。

カリフォルニア芸術大学の学校案内。スコット・テイラーとのコラボレーション。

カリフォルニア芸術大学の学校案内の興味深い折り込み方。

この業界に入った当初の形成期には、それぞれどのようなことをされていたのでしょうか?

ゲイル:私にとっては、「アートペーパー」でヤン・ヤンコートと一緒に働いた経験が道を拓いてくれました。ページ上の文字の「置き方」一つで、その実際の内容以上の意味を伝えられるとは夢にも思っていませんでした。

ジョン:私も「スピーク・マガジン」の仕事をしていた時に、同じような「指導者」経験があります。CACCで勉強していた時に、好きな講師の1人であったマーティン・ヴェネスキーにスピーク・マガジンをデザインする手伝いをしてくれないかと言われたんです。あの雑誌の仕事は楽しかった!デザインとアート、フォルムの生成とタイポグラフィの完璧なコンビネーションでした。

書籍「アースクェイク・アンド・アフターショックス」の表紙と裏表紙。ヤスミン・カーンとの共同デザイン。

お二人がデザインの大学院教育を受けることにしたそれぞれの理由を聞かせてください。

ジョン:私は1998年に「アパタイト・エンジニア」を辞めて、ハワイ大学で教えるためにハワイに移住しました。そこの学部は全員がエール大学出身で、彼らの作った授業内容はとても理論的なものでした。私にとってはもう完全にお手上げ!講義が始まる前の夏休み中に理論の特訓コースを受けたのですが、資料を読むうちに、私の仕事の基盤となる概念の知識が完全に上辺だけのものだったということに気付いたんです。私は高いフォルム作りの技術は持っていましたが、そういった概念をどのようにして知的且つ意識的なやり方で実践するかに関しては、全く分かっていなかったのです。

ゲイル:私は羊の毛刈りと北欧文学の学士号を持っていて、大学院で印刷の研究もしました。その後、意外性のある、人生を変えるような何かが欲しくて、デザインの勉強をしようと思いました。カリフォルニア芸術大学の学部と学生たちは、私がこれまで見た中で飛びっきりに変わったものを作っていて、私もその中に入りたいと感じたのです。大学院に行けたことは本当に幸運だったと常々思いますが、そこに至るまでの一連の出来事が現実に起こった確率もとてつもない、気が遠くなるようなものだったと思っています。

マーガレット・キルガレンの書籍「イン・ザ・スィート・バイ・アンド・バイ」の表紙。マイケル・ワーシングトンとの共同デザイン。

マーガレット・キルガレンの「イン・ザ・スィート・バイ・アンド・バイ」の見開き。

マーガレット・キルガレンの「イン・ザ・スィート・バイ・アンド・バイ」の見開き。

これまでに集団で、もしくは一緒に手掛けたプロジェクトの中で、気に入ったものはどのようなものでしょうか。

ジョン:依頼人からの指示を自分たちで再考して、自分のイメージで書いたり創ったりできる自由度の高いプロジェクトは、どれも楽しく作業できました。私たちの最初のコラボレーションであるBuzzでは、デザインだけでなくイラストレーションも手掛けられたので、本当に楽しかったです。

チェコ共和国のブルノで開催されたホワイト・キューブ・ビエンナーレのポスター・デザインの依頼もほとんど制約がなく、とても抽象的なアイディアを視覚的な手段で追求させられた、非常に興味深いプロセスでした。

チェコ共和国のブルノで行われた「グラフィック・デザイン・イン・ザ・ホワイト・キューブ」展のポスター。

それから、私たちが時折行う印刷の実験と使用する素材のプロジェクトの中にも面白いものがあります。割れた万年筆、重ね刷り、変な綴じ方とか…。

ゲイル:このスタジオを始めた主な理由は、私たちの作る自費出版の作品です。心と魂に絶対に不可欠。

カリフォルニア芸術大学のためのタイポグラフィ。

デザインの歴史上に、ご自分の作品がどのような形で記されるとお考えですか?

ゲイル:私たちは、アメリカ国内に小規模なデザイン会社の数があまりない、一種異様な時代にいるので、そういった面から見れば、私たちの事務所の形態もリバーブのようなスタジオの甥・姪とも、オランダの小さなスタジオの姉妹とも言えないことはないと思います。個人的には、私たちは並行世界の中で物を作り続けるだけで、あとは歴史がいずれ明らかにするものだと考えています。

USCロスキ・スクール・オブ・ファインアートのためのカタログ。

今現在のアメリカにおいて、小規模なデザイン会社がこれほど少ないのはなぜだとお考えですか?

ジョン:経済的な理由だと思います。若手のデザイナーが学校を卒業する頃には、6~10万ドルの借金があるのが普通です。ローンを返済しなければならないから、自分の会社を持つなんて理にかなわない。新しいデザインの才能が毎年この枠組みの中で駄目になっていくので、これは非常に残念なことです。もし全ての有能な新卒が、クラスの枠組みを離れてからも自分の作品を追求する機会を与えられたら、アメリカのデザイン界は今よりももっと多様で革新的になると思います。

ゲイル:自分の作りたいものを作って適正な賃金を得るのは大変なことです。時間もかかるし、作業もきつい。あなたはどうですか?イアンさんも小規模な中で多彩な仕事をされていますが、あなたの創作生活と幸せを維持するのに、小さなスタジオは不可欠なものですか?

えーと…ここでインタビュー交代なのかな!率直に言えば、イエスです。私の手掛けるプロジェクトの中にも、採算性の問題からエージェンシーでは実現しそうにないものがありますから、いくつもの興味深いプロジェクトを失くすことになります。一種類のグラフィック・デザインだけを手掛けることになったら、退屈で死にたくなると思いますよ…。

ウッドバリー・スクール・オブ・アーキテクチャー・アンド・デザインのために、ジェネラル・ワーキング・グループのジェフ・カプランと共同制作されたポスター。

お二人のデザイン作業の中で、文字とはどれくらい不可欠なものなのでしょうか。

ゲイル:欠かせないものですね。作業の過程や完成した作品に完全に融合した存在です。

ジョン:私は文字を、リサーチの手段や一つのアイディアを追求するのに使用しています。多分、私のやる気はデザイナーとしてある程度の自主性を求めるところから来ているのでしょうね。グラフィック・デザインは昔から、他の人に中身を提供してもらうことにかなり依存していますが、この職業が今後更に発展して、他からもっと尊重されるには、私たちもコンテンツのクリエーターに-他人のコンテンツの仲介者であるだけでなく、文化への貢献者となる必要があるのだと思います。

ブラック・クロック。ストライプが監督した文芸雑誌のアートワーク。

ブラック・クロックの見開き。

現在煮詰めていらっしゃる課外プロジェクトにはどんなものがありますか?

ジョン:今はスコット・ズコブスキーと一緒に、カリフォルニア芸術大学のデザイン・カリキュラムの学生広報を準備していますし、あとはロサンゼルスで、スタジオ仲間のショーン・ドナヒューアットランダムというコミュニティー・レクチャーを作りました。また、タスク・ニュースレターという新しいアート/ビジュアルのカルチャー雑誌の作業もしています。

最近はちゃんと睡眠をとれていますか?

ジョン:いつだって忙しいには忙しいですが、眠れなかった日々はもう過去のものになったと思います。ストレスのない、睡眠を削らない日々の方がもちろんいいに決まっていますし、仕事以外にもやりたいことはいっぱいありますからね。

ジェネラル・ワーキング・グループのジェフ・カプランと共同で制作した 芸術家ジェニファー・スタインカンプのカタログ。

ジェネラル・ワーキング・グループのジェフ・カプランと共同で制作した 芸術家ジェニファー・スタインカンプのカタログ。

過去と現代のどのような人から影響を受けたと感じますか?

ゲイル:友達ですね、一瞬のためらいもなく断言できます。

ジョン:私が今受けている影響と遭遇したのは、オランダで生活していた時期ですね。特定の誰かというよりは、作業のやり方が。あちらには多くの若い芸術家、建築家やデザイナーがいて、自身の作品の開拓やかなり革新的なコミュニティの促進に打ち込んでいます。彼らは夢のようなプロジェクトが舞い込んでくるのをただ待つのではなく、そのプロジェクトとは何なのかを考えて、それを実現させる人種でした。

アンドレア・バワーズの「ナッシング・イズ・ニュートラル」のカタログ見開き。

お二人のTシャツ本より。

お二人の究極の夢のプロジェクトとはどんなものですか?

ジョン:まずオリジナルの出版物でしょうね…研究と実験を自由にできる場のような。私たちはプロジェクトのリサーチ面が大好きなので、この夢のプロジェクトも干草の上で寝て、世界中の図書館を巡って、野歩きとたまにテニスもやったりして、美味しいカレー…そういったものになるかもしれません。

ゲイル:熊やタスマニア・デビルを観察する仕事があれば最高ですね。本当に。私としては、イアンさんの夢のプロジェクトがどんなものなのかが知りたいです!

突飛な方向から舞い込んでくるもので、旅の要素があって、更にまったく予期できない何か。旅のデザイン屋みたいな案はいいですね…。
今後、お二人のコラボレーションはどのような方向を目指すのでしょうか。

もっと自発的で、もっと出版社とのコラボレーション関係の強いもの、ひょっとしたら書籍のアイディアを提案したりとか…私たち自身の名前で本を出版するのもありかもしれませんね!何にしろ、今後も紙にインクを載せていきたいと思います!

自発的なプロジェクトの作業中。

オーチス展示会のポスターを掲げるストライプのジョンとゲイル

私にも質問のお返しをありがとうございました!

こちらこそ、今日はお話しありがとうございました!

3 コメント

  1. Posted by: Фoto-inbox @ 4月11日2009年

  2. süper site

    Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年

  3. コードネームはストライプ:グラフィック、タイポと文章 good post1141

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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