8gg:喜びと達成感のためのアート

2007年3月19日 カテゴリー: インターナショナル, フォトグラフィー, 映像, 音楽

8gg:喜びと達成感のためのアート

北京を拠点にする8ggの作品。ロンドンのICAにて、シアター「Ceremony」(2003年)

北京を拠点にし、世界各国で作品を発表するマルチメディア・デュオ、8gg(エイト・ジージー)。音楽、インスタレーション、フォトグラフィー、ビデオ・アート、オーディオビジュアル、グラフィックデザインなど、様々なジャンルの表現方法において、中国的な雰囲気を保ちながら、どこか西洋的なアブストラクトな作品を創り出す。PingMagは、横浜のBankART1929で行われる展示の為に来日した、8ggのフ・ユとジャ・ハイキンの2人を原宿のカフェに誘い、彼らの活動の様子について話を聞いた。

作:チエミ

まず初めに、お二人はご夫婦で活動しているそうですね。知り合った当時からアーティストだったのでしょうか?

ジャ・ハイキン:私は北京の出身で、彼は山西省の出身なのですが、知り合ったのは大学生の頃です。二人とも地理の勉強をしていたんですよ。付き合い始めてから16年で、結婚してから12年も経ちますね。

地理からマルチメディアに?随分と大胆な方向転換ですね。

ジャ・ハイキン:私達には、アートのバックグラウンドは全くないんです(笑)。私は大学卒業後に中学校の教師をして、その後、徐々に興味がマルチメディアの方に向いていったんです。

フ・ユ:僕は大学在学中にロック・バンドでコンピューターを使用していましが、そのうち段々と音楽よりもマルチメディアに興味を引かれるようになりました。アーティストやデザイナーとして活動し始めたのは1999年ぐらいのことです。

マイクロソフト「Windows Vista」のローンチ用にデザインされたビジュアル・アイデンティティ。

人々の会話と共に部首が動き回る「Worlds Hailed」。8ggのウェブサイト、net.8gg→Worlds Hailedで、作品が体験できる。

今回、お二人とお会いするきっかけになったのは、イギリスのアーティストからの紹介でした。お二人は北京を拠点にされていますが、ヨーロッパでインスタレーションやオーディビジュアル・パフォーマンスを多く行っていますよね。北京は現在世界で最も注目されているアートシーンのひとつですが、なぜ海外での活動にこだわられているのでしょうか?

フ・ユ:確かに現在の北京のアートシーンは急速に拡大していて、勢いがあります。例えば、798と呼ばれる巨大工場の跡地に出来た大山子芸術区には、沢山のギャラリーや芸術家達が集っています。そして、このような地区が市内に少なくとも3箇所はあります。

ジャ・ハイキン:私達がヨーロッパに頻繁に行くようになったのは、スイスにいる私達のエージェントがヨーロッパでのショーをブッキングしてくれことがきっかけです。現在では、北京では年に一回程度、ヨーロッパでは年に数回パフォーマンスやショーを行っています。というのも実は、私達は北京でのショーがあまり好きではないんですよ。理由のひとつは北京では見に来る人達がいつも同じになってしまうので刺激がないこと、そしてもう一つは、中国のプロダクションのクオリティがまだあまり良くないので、どうしても他の土地に目が向いてしまうんですよね。

オーディオビジュアル・ライブ・パフォーマンス「Hochschule für Gestaltung und Kunst Zurich」。

今回も展覧会への参加の為に来日されたと伺いましたが?

ジャ・ハイキン:日本のダンス・カンパニー、ニブロールのメンバー2人が行っている「public=un+public」というイベントで、映像インスタレーションを行う予定です。上海ビエンナーレにも出展した「Refraction(屈折)」という作品を提供する予定でいます。この作品は、サウンドスケープとビデオ・ランドスケープのインスタレーションで、音とビジュアルによってひとつの環境を作り出すものです。ここで一番大切なのは観客で、カメラやマイクを使って観客を取り込み、彼らが作品の一部となるものです。

上海ビエンナーレでも展示した「refraction」は、今回の横浜での展示にも登場する。

今回の作品もそうですが、お二人の作品には「人」がメインになっているものが多いようですね。

ジャ・ハイキン:そう思いますか?人に焦点を当てているつもりではないんですけれど、確かに「人」の写真は魅力的に思えますね。でもどちらかというと、人体や人の動きに興味を引かれます。あと、アブストラクトな作品や音楽も多いですよ。

ワンギャンユン・ダンススタジオの為に制作されたインタラクティブ・ビジュアル「peony pavilion」

「Beijing Time」

力強いビジュアルが多いですが、そこに秘められたメッセージはありますか?

ジャ・ハイキン:見る人は違うふうに捉えているかと思いますが、作品には特にメッセージはありません。私達は自分達の喜びと達成感の為に作品を作っているんです。

喜びと達成感の為だけに?

ジャ・ハイキン:ええ。例えば、展覧会を行ったとして、評論家達から絶賛されたとする。でも、私達自身がその作品に納得していなければ、それは良い作品とは言えません。もちろん、観客に喜んでもらえるのは良いに越したことはありませんよ。ただ私達は夫婦であるからかもしれませんが、一番大切な私の観客は夫で、彼の一番大切な観客は私なのです。

現在の中国では注目されるが故に、地位や名誉や財産といったものの為に故意にものづくりをすることが容易に行われています。しかし、私達は海外で様々なアーティスト達に出会い、彼らが自由なスタンスで作品を作っていることに気づきました。そして、それを実行することは決して難しいことではない。アーティストとして一番大切なのは、地位や名誉を得ることではありません。一番大切なことは、作品を作る喜びを感じることだと私達は信じているんです。

「front of No.9 hall」

作品作りのアイディアの源になるようなものはありますか?

ジャ・ハイキン:音楽から作品を作り始めて、そこから視覚化することは多いですね。インスパイアされる特定の物はないですが、逆に言えば何にでもインスパイアされています。街を歩いていて見つけた物、人との会話…変わったファッションの若者にも興味はありますよ。

「in front of the yellow division wall」

「in front of the blue painted wall」

好きなアーティストは?

フ・ユ:ペインターのジャン・シャオガン(張暁剛)、映画監督のジャ・ジャンクー(賈樟柯)、インタラクティブ・アーティストの岩井俊雄、ミュージシャンの池田亮司竹村延和、映画監督の三池崇史…あと、中国のUnmaskというフィギュアやスカルプチャーを作る若手三人組も好きです。

では、最後に今後の予定をお聞かせ下さい。

ジャ・ハイキン:5月半ばにドイツのケルンで、エクスペリメンタル・ミュージック・フェスティバルでオーディオビジュアル・パフォーマンスをする予定です。また10月からはUKツアーが始まり、マンチェスターのザ・コーナー・ハウスでの個展も企画しています。今回は、「VIP Room」と題したインスタレーションを行う予定ですが、このVIPは「Visual I Play」の略で、観客がセンサーとかマイクのような物を通して、インスタレーション自体に参加できるような物を考えています。アイディアは沢山溜まっているんですよ!

フ・ユさん、ハイキンさん、今日は有難うございました!これからも素敵な作品を楽しみにしています!再見!

北京から来日した8ggのハイキンさん(左)とフ・ユさん(右)。

【お知らせ】
ダンスチームoff nibrollと、北京、台北からの3組のアーティストとのコラボレーション企画「public=un+public Vol.02  in ASIA」に8ggが参加します。お近くの方は、ぜひ足を運んでみて下さい!

「public=un+public Vol.02  in ASIA」
会場:BankART1927
会期:3月21日(水・祝)〜31日(土)
時間:11:30-19:00
入場料:無料

2 コメント

  1. わくわくするアイデアですね
    パーツを組みかえて、オリジナルデザインがつくれたらもっとワクワクできるな~

    Posted by: 山本 @ 3月22日2011年

  2. begenıceksın

    Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年

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