カンファレンス・デラックス#1:デザイン・インダバ現象

2007年3月14日 カテゴリー: イベント/展示会, インターナショナル, 特集

カンファレンス・デラックス#1:デザイン・インダバ現象

世界で最も著名なデザイン・カンファレンス「デザイン・インダバ」の為に舞台を準備しているところ。

2月21日から25日にかけて、南アフリカのケープタウンで開催された第10回デザイン・インダバ国際カンファレンスは、圧巻だった!このイベントは、素晴らしい講演者陣、最高の天候、洗練された運営、環境への配慮、入場者や講演者に対する期待以上のもてなしなど、あらゆる面において成功を収め、和やかでいながらも活気に満ち溢れた空気が「集まり」を意味するインダバの精神の元に、参加者全員を結び付けた。それでは、デザイン・インダバや関連イベントのハイライト、今後のプロジェクトのレポートに加えて、いかにしてポジティブな愛国精神が、たったの10回で世界レベルのカンファレンスを生み出したのかをお楽しみください!

作:ウレシカ
訳:山根夏実

クリフトンの第4のビーチで集まるデザイナー達。(写真:サイモン・ウォーターフォール

さて、「なぜ南アフリカ?」という疑問を抱かれるかもしれない。

ケープタウンの輝かしい美しさ(山や海岸、ペンギン、クジラの観察、ワイン、明るい陽射し等など…)以外にも、この国の歴史や安定した民主主義がほぼ10年間に亘って維持されてきたという事実は、全ての人々が明るい未来に臨み変化を起そうとしているかのような、どこまでも前向きな波長を生み出している。素晴らしい創作エネルギーでしょう?

それに加えて、デザイン・インダバは、創始者であるインタラクティブ・アフリカのラヴィ・ナイドゥなくしては形にならなかっただろう。ラヴィは、見事なコネクションを持つやり手のビジネスマンであるだけでなく、彼のデザインに傾ける情熱はただひたすらに抜きに出ており、南アフリカにデザインを広め、母国の才能を育成するという彼の当初の目的は、今では「デザイン」の一言で世界の目を南アフリカとその創作物に向けるという新しい次元に飛躍を遂げている。

EIBTMバルセロナによって世界で最も優れた国際会議に選ばれ、毎年世界中のデザイン誌で数え切れないほどの賛辞を得ているデザイン・インダバは、今回の記念すべき第10回を経て、確実に目標としていた境地に到達した。まさに世界最高峰!

果てしなく人脈を広げ続ける主催者のラヴィ・ナドゥさん。デザイン・インダバのメディア・ラウンジにて。今年のカンファレンスにあたって、ラヴィさんがFrontのデザイナー4人組を手配しようとしたところ、その内の1人に「母親の60歳の誕生日でスウェーデンを離れられない」と言われ、そのデザイナーのご両親と友人もケープタウンに呼び寄せて、そこで一緒に誕生日を祝ったとか…。

カンファレンス会場

寛大なスポンサー陣に支えられたデザイン・インダバは、ケープタウンのピカピカの国際会議場CTICCを中心に、かなり豪華なカンファレンスとして開催されている。講演者は天国のような待遇を受け、カンファレンスの来場者にも予想を遥かに上回るもてなしが待っていた。

2,600人以上の好奇心に満ち溢れた来場者を迎える中、素晴らしいケータリング・サービスや無料プレゼント(Laugh It Offによってデザインされたインダバ・Tシャツや、カンファレンス案内の頼もしいファイル、ペンや講演者プロフィールなどが入った、垂れぶた部分が交換できるようになっているメッセンジャー風バッグなど)が毎日提供されていた。本当に至れり尽くせり!


プレス・キット用にデザインされたバッグ。こちらはケープタウンのケープ・ペニンシュラ・ユニバーシティ・テクノロジー、マーテル・クレインによるデザイン。

上部が違うデザインになったバッグ。こちらはジャニス・フリックとルス・ウラウスによるもの。

若手デザイナーによるテレビとラジオの同時放送が行われているCTICCの内部。

また、学生や25歳以下の方には、若手デザイナーによるテレビとラジオの同時放送がCTICC内の講堂で生で放送され、休憩時間に足を運んだ講演者とも会話できる貴重な場となった。


CTICC内の、デザイン・インダバの会場入り口に向かう通路。

会場の外の小さなテラスでは、コーヒーと一服を楽しむ人々がいっぱい。

貰ったばかりの無料プレゼントバッグを手にした初日の来場者。後ろにあるのは、プレゼントバッグの交換可能な垂れぶたのデザイン。

休憩時間には講演者とご対面。日当たりの良いテラスに立つウォリー・オリンズ。

今年の講演者陣は、グラフィックからプロダクト・デザイン、建築、宝飾、アート、トレンドや世界を変えるようなコンセプトなども含む多彩なもの。主立った名前だけでも:ジャスパー・モリソン(英国)、サイモン・ウォーターフォール(英国)、ダルジット・シング(英国)、ハイメ・ハイヨン(スペイン)、Front(スウェーデン)、ニール・ガーシェンフェルド(米国)、アンディー・スティーヴンス(英国)、ザピロ(南アフリカ)、ブライアン・イーノ(英国)、ネヴィル・ブロディ(英国)、ポール・デイヴィス(英国)、ユルゲン・ベイ(オランダ)、アレックス・ステフェン(米国)等など…。

素晴らしい顔触れとは言え、個人的には、もう少しアジアや珍しい国々からの講演者がいてもよかったのではないかと感じた。参加した中での唯一の「アジア人」は、はるばる香港からパワーを共有しにきたマイケル・ヤングだけだった。

会場の前方からの様子。チケットは完売!右の奥には、マシモ・ビニェリーの姿も。

講演者

全員のレポートをお届けしたいのは山々なのだけれど、残念ながら今は数人に絞って、他の名前に関しては後日改めてインタビューをすることによって敬意を表さなければいけないみたい。

アンディー・スティーヴンス

新グローブ座のキャンペーンについて語る「Graphic Thought Facility」のアンディー・スティーヴンス。真っ白なタイトル・テンプレートに、上演中の劇に関連したスプレー画像のレイヤーを1枚ずつ重ねていく構想。

Graphic Thought Facilityのアンディーが紹介したのは、彼らの巧妙且つ熟練したグラフィック・デザイン(展示会関連のデザインが特に良かった気がした)。特に、その依頼人からの指示に対する率直且つ直球的なアプローチは、非常に新鮮に感じられた。例えば、依頼されたプロジェクトが低予算のものであれば、入手できる最も安価な材料を使用し(RCAの書籍にはリング綴じを使うなど)、尚且つ最高に斬新なデザインを考え出すことに成功している。ある展示会では、案内パネルを作るのにピザの箱に色をつけることまでやったとか。コストも低いし、リサイクルもしやすくて一石二鳥。


フリーズ・アート・フェアでの標識と展示会のデザイン。

こちらが案内プレートとして使用されたピザの箱。素晴らしいアイディア!

マット・コリングスのサインがロン・アラッドのサインへ変化している3Dオブジェクト。

Graphic Thought Facilityは多彩な仕事例で聴衆を唸らせたけれど、驚くべきはその最初の落書きから素材弄り、印刷所の訪問からプロジェクトの仕上げまで、彼らが細心の注意を払って残した詳細なデザイン過程の記録。彼らが時としてオリジナルを超える案を出す理由がここにある(例えば、ピーター・サヴィル・ショーのポスターの改良など)。

サイモン・ウォーターフォール&ダルジット・シン

「END」サインを盗んだという告白で自身とダルジット・シンの講演の口火を切るサイモン・ウォーターフォール。

過去のインダバでも講演をしたことがあるサイモンは、自分たちの話が長すぎて、どの道時間制限を守らないであろうことを予期しており、ステージに上がる前に意図的に「END」サインを盗んでしまったらしい…。

一旦英国に戻れば、それぞれPokeDigitという別々の事務所を運営するライバル同士であるサイモンとダルジットは、舞台上では2人を繋ぐピクセルという絆について語りつつ、常にお互いに茶々を入れ合うことで真の友情を見せた。ダルジットの講演は、世界最大の画素化画像である北朝鮮のマスゲームについて。ここでは、掲げ持った色付きの本のページをめくる少年が、それぞれの「ピクセル」を構成している。


観客に無料バッグの垂れぶたを開けたり閉めたりすることで、北朝鮮のマスゲームを実践して、一見巨大な画素化画面を作ってみるよう呼びかけるダルジット。観客は見事に失敗した…が、いっぱい笑って楽しんだので良し!

Poke(とD&ADの社長になる予定)のサイモン・ウォーターフォールの「真珠の女王」ジャケットを指差すロンドンのDigitの創立者、ダルジット・シン。

サイモンの最高のピクセル話は、女王と会見した際に大胆にも背中を向けて、背中に大小620個のボタンを手で縫いとめて女王の肖像画を入れた、自身のブランド「Social Suicide」スーツを見せたこと。

ポール・デイヴィス


ポール・デイヴィスのトークは、「俺はもうダメだ!」と題された男性の絵で始まった。

「吉本新喜劇」に描いたイラスト。奇妙なことに、「暴力的に見えすぎるから」という理由で何滴か描き足してほしいと言われたとか。

学会で講演することは自分が最も怖れているものを克服することと限りなく均衡すると言いつつも、ポールの話の内容はとても楽しく、観客をあそこまで笑わせたのは、カンファレンスの初日の彼が一番乗りだったはず。彼の作品の裏話は、イラストレーターの生活を面白おかしく垣間見せてくれるもので、IBMがポールの「筆跡」の権利を購入した後に、SONYが彼の文字入りのイラストを依頼してきた話などは最高。その時、ポールは慌てふためいてしまったものの、彼の著作権を担当する弁護士に相談した電話で言われた、「あなたは右利きですか、それとも左利きですか?」の一言でこの問題は即解決。それに加えて、IBMは恐らくポールの書く日本語文字の権利までは持っていなかったと思われる…。

彼の下手うまな絵のスタイルと素晴らしいタイトルの組み合わせは、お見事の一言。

Front

舞台上のFront。

Frontは、学会のロックスターと言われるスウェーデンの女性クリエーター集団で、落書きされた家具、デザインする動物、変形する椅子、目を覚ますランプなどの見事なポートフォリオを紹介してくれた(Frontは以前PingMagでも紹介されている)。この4人の女性から感じる進歩的なエネルギーは非常に興味深く、最高にエネルギッシュで美しい方法、プラス見事なスウェーデン訛りで、自身をプレゼンテーションしていたように感じられた。WMP音性ファイルはこちら

ユルゲン・ベイ


ファニチャー・スキン:ユルゲン・ベイによるジャン・ポール・ゴルチェのデザイン。

南アフリカで最も美しい物賞を発表するユルゲン・ベイ。

南アフリカで一番美しいオブジェクト:プロントコンドームのコンドーム装着具。こちらはNYのMoMAの永久コレクションにもなっている作品。

美に関する非凡な感性を持つユルゲン・ベイは、インドの路上を掃くための孔雀の箒やテオ・ヤンセンのStrandbeest(砂浜動物?紙飛行機?)、そして自身のプロジェクトの一部など、多種多彩なイメージを紹介した。オランダ式のユーモアと自作の詩の組み合わせで、ユルゲンのトークは「巧みで美しく仕上がってさえいれば、小さく些細な疑問もかまわない」という、感銘を与える内容に纏められていた。また、ユルゲン・ベイは南アフリカで最も美しい物賞も選考しており、選ばれたのはなんとコンドーム・アプリケーター!動画はこちら!

ハイメ・ハイヨン

舞台上で会話にジェスチャーを交えるハイメ・ハイヨン。

ハイメ・ハイヨンの美しいバスルーム・シリーズ。

ジャスパー・モリスンのやや堅苦しい講義と好対照をなしていたのが、何というか、比較的クレイジーだったハイメのトーク!彼のスピーチでは、観客は彼がいかにして最初のバスルームのシンクの不可能な依頼から現在の見事なバスルーム・インテリアのシリーズを築き上げたかの壮大な冒険劇に誘われた。ハイメ・ハイヨンという人物があまりにも活気に満ち満ちているせいか、その気ままで回転の速い思考プロセスを追おうとすると頭が少しクラクラしてしまうものの、最終的には、必ず何かとても新しくて先端的で面白い、「高い品質を伴った何か」に行き着くものだった。

ザピロ


ザピロの(司法)正義の足跡。

カンファレンスで講演するザピロ。

南アフリカのマント・シャバララ・ムシマン厚生相が、エイズはニンニクやビートルート(赤い根菜)を食べることで予防できると発言したスキャンダルに対する風刺画。

ザピロは、鋭いペン先で南アフリカの時事問題を描き出す政治漫画家兼風刺画家。ザピロの絵の背景となる話を通じて観客が受け取ったものは2つ。南アフリカの近代史のまとめと、観客としての彼の才能と機知に対する深い畏敬の念だ。ニュースで取り上げられる問題に素早く反応して、的確なアイディアを考案し、更にそれをあそこまでの高い画質で日々人々に届けるザピロに、観客も総立ちの喝采を送っていた。

トバヤス・フリア・ジョーンズ

ヘフラー&フリア・ジョーンズの美しいゴッサム・コンデンスド

ヘフラー&フリア・ジョーンズのタイポグラフィオタク(彼が自分でそう明言した)のトビアスは、今回のデザイン・インダバでいくつかの実験的な作品を紹介した。その中には、文字を中央で2つに割いて、少しずらしたものをアルファベットの次の文字に繋げて、見れば見るほど解読不能になっているものや、17文字しかないアルファベットなのに、文脈に沿って単語を推測することによって文章を理解できるようにしたものなどがあった。

ウォールストリート・ジャーナル用にデザインしたフォント、レティナを紹介するトバヤス・フリア・ジョーンズ。

同じく印象的だったのは、彼らがウォールストリート・ジャーナルの依頼で開発したフォント、レティナ。ここでの課題は、安い紙に小さなサイズで印刷できるフォントを作ることだったが、彼らはそれぞれの文字の特質に焦点を当て、各文字を可能な限り特徴的に見せると同時に、角に溜まったインクが滲むことによって文字がぼやけるのを防ぐために、それぞれの文字の全ての角に小さな切れ込みを入れることによってこの問題を解決した。

ブライアン・イーノ

ブライアン・イーノの「アートとは何のためにあるのか?」の見事なフォトショップのプレゼンテーション。

この保守的な上辺に騙されてはいけない!ブライアン・イーノは素晴らしく機知に富んだ話し手で、予想もしなかったようないけないジョークを飛ばしてくる。

ブライアン・イーノは、南アフリカの近代的な美術館で行われている77 Million Paintingsや、今現在彼が取り組んでいる、数千年先の日付まで表示する時計のプロジェクトなどの、自身の作品について語るだろうと考えられていたが、誰よりも謙虚なイーノの講演は、意外にも「アートとは何のためにあるのか」についてだった。独特の皮肉なジョークを交えてイーノが導き出した結論は、「アートとは、私たちがする必要のないあらゆるもの全て。アートとは、日常的に他所の現実を試し、お互いと波長を合わせる手段である」ということ。上手い表現!

レジー・ワッツ

これは生で見るのが一番!コメディアン兼ボーカリストとして舞台に登場したレジー・ワッツ。

レジーは、今回ブライアン・イーノの提案でこのカンファレンスの素晴らしいトリとして招待されていた。密かに髪の毛の人と呼ばれていたレジーだが(期間中は、誰もが彼が何をする人なのか疑問に思っていたので)、彼が舞台の上に現れた途端に全てが明らかになった。合間に個性的な声遊びを交えながら次々とオチを決めるレジーの生舞台は、一種独特の即興コメディの個性であり、まさに必見。どのような雰囲気かだけでも知りたい方は、こちらのyouTube動画を見てみて!

世界を変革するプロジェクト

メイン会場での驚異的な作品やコンセプトの他にも、本当に素晴らしい夢を抱いた講演者が集っていた。文字通り世界の変え方の提案ね!

アレックス・ステフェン:Worldchanging.com


気候変動と私たちが今何をすべきかについてデザイン・インダバで語るアレックス・ステフェン。

ステファン・サグマイスターによってデザインされた彼の著書「Worldchanging」は、私たちやこれからの世代にとってのバイブルになるはず。環境維持を意識した生活の知恵や関心を高める趣旨のこの本は、日常の中から世界を変えていくアイディアがぎっしり詰まっている。

Worldchanging.comは、より良い未来のための試験的な道具や規範、アイディアなどに特化した非営利のメディア集団。また、アレックス自身も長年環境ジャーナリストとして活動してきており、この星でただ何も考えずに生活するのではなく、もっと持続的で健全な生活モデルに移行するための、ありとあらゆる方法を収集している。大手書店でなら入手できると思われる、この分厚い「Worldchanging: A Users Guide for the 21st Century」は、確実に一読の価値あり。

ニール・ガーシェンフェルド:ファブラブ

ニール・ガーシェンフェルドは、好奇心旺盛な若手の発明家に光を当てるFabLabsの一員。

さて、彼ほどに頭の良い人間の壇上の話を纏めるのは容易なことではないのだが、基本的には、こんなにも素晴らしい会社が存在していたという事実に沸き立つ聴衆に、ニール・ガーシェンフェルドがファブラブを紹介したのが大筋だ。ファブラブは、MITのCenter for Bits and Atomsによって開発されたオープンソースのコンピュータ・ソフトウェアを利用して、デザイナーが作品を市場に持ち込む前にそのデザインをテスティングできるように、市販と産業レベルの製作用機器や電動工具を提供することによってデザイナーを支援する会社。ファブラブの支部は世界中に点在しており(ニールは現在より多くの人々にサービスを提供すべく、持続的で向上されたビジネスモデルの構築に勤しんでいる)、簡単な言葉で言えば、ファブラブとは:最新の技術とあらゆるものをコンセプト化、デザイン、開発、製造、テストするための手段を提供する、世界中のどこにでも設立できる施設の名前である。

ケープ・クラフト・アンド・デザイン・インスティチュートでは、南アフリカにも数ヶ所あるファブラブの一つが活用されており、地元の工芸職人やデザイナーが施設の安全な環境の下でコンセプトの試作品を作り、多額の資金が必要となる製造段階に入る前に、そのデザインの問題や欠陥に対応する助けとなっている。なんて素晴らしいアイディア!ファブラブの詳細についてはココをクリック

10×10:低コスト住居プロジェクト

10×10プロダクツと10×10低コスト住居プロジェクト:デザイン・インダバ主導の、世界中のトップデザイナーを南アフリカに集結させ、地元の工場やメーカーと共同で長く印象に残る作品やプロジェクトを生み出そうという、非常に意欲的な企画。

アルプのエンジニア、マイク・エドモンズは、10人の国際的にも著名な地元の建築家が、10人の地元の依頼人と共同で10の住居類型論を作るという、10×10低コスト住居プロジェクトを紹介した。

「ケープタウンの外の非居住者用のキャンプで生活している10の家族のために、10軒の家を建てよう。」そう発案したのは、デザイン・インダバの創始者であるラヴィ・ナヴィドゥさん。「貧困の最下層にいる人たちのために、アイディア、創造性、持続性のあらゆる面で既成概念の枠を超える家をデザインして、彼らに尊厳と共感を与えよう。」

この企画は、2007年の末までに10の新しい住居コンセプトと実際の家を完成させて、10の家族を入居させること。それ以降は、この住居に使用されたデザインや設計図をマニュアルとして纏めて、それをアフリカ政府に寄付することで「建築上のオープンソース」と評された試みに無償で貢献する。

過去にデザイン・インダバで講演した建築家で、このプロジェクトに名を連ねているのは、トーマス・ヘザウィック、クリストファー・イグレット(Studio Egret West)、ウィル・アルソップ、坂茂、デイヴィッド・アジャイ、キャメロン・シンクレア(今年のインダバでも人類にとっての建築について、素晴らしくエネルギッシュなスピーチを行っていた)、リンディ・ロイ、エヴァ・ジリクナ、マーク・ダイサム(クライン・ダイサム・アーキテクツ)にサー・テレンス・コンラン。この企画に傘下している南アフリカ出身の建築家は、ルヤンダ・ンパルワ、 アンドリュー・マキン&ジャニナ・マゾヤダ、ドン・アルバート、ジョー・ノエロ、シルビオ・レック&レスリー・カールステンス、マーティン・クルーガー、ステファン・アントニ、ルーベン・レディ、ヘニング・ラスムスとヴァネッサ・セプテンバー。

ケープタウンだけでも、400,000人が家の順番待ちリストに登録しており、今後このプロジェクトによる成果が期待される。

どこまでも環境に優しいインダバ

デザイン・インダバは、環境維持もその議題に掲げている。ラヴィ・ナイドゥさん曰く、「私たちは炭酸ガス基準なるものを設けて、国際会議場でのスペースやエネルギー、紙などの消費の他に、講演者や代表者を開催地まで飛行機で移動させて、ケープタウンに滞在させる際に排出される二酸化炭素の量も穴埋めするように配慮しています。」

この炭酸ガス基準に従ってカンファレンス中の二酸化炭素排出量が計算され、それを相殺するために毎年2,000本の木が植林されている。「これは一人ひとりが環境への責任を果たすことに参加でき、個人も企業も、学校、家庭、会議、イベント、学会などのあらゆる行為をカーボンニュートラルにすることで、今後に影響を及ぼすことができる画期的な試みだと言えるでしょう。」

交流の楽しみ

正式な催し以外にも、沢山のパーティーやサイドイベントが参加した全員の中でインダバを最高の思い出にすべく企画されていた。サイモン・ウォーターフォールの言葉を借りれば「デザイン・インダバが特別なのは、みんなと仲良くやれるから。来場して講演したらそれでおしまいの他のカンファレンスとは全然違う。他の人と昼夜一緒に過ごせるというのがいいね。」


Frontのソフィア・ラーガクイスト、モルゲンホッフ・ワイナリーでの昼食会にて。

凍えるほど冷たい海に立ち向かうユルゲン・ベイとルドルフ・ファン・ベッツェル。

これ以外にも、ネットの海を探せば公式ホームページのデザイン・インダバ・ギャラリーDezeenなどの各所にもっと画像が載っているはず。PingMagでも、PingMag Flickr Gallery-デザイン・インダバに写真をアップしたので、ぜひ楽しんでください!

この続きは、200人以上のアフリカ人デザイナーや職人が参加したインダバ・エキスポで紹介されていた、実際の 商品、ファッション、家具などについて。金曜日の記事をお楽しみに!

4 コメント

  1. 何かが始まるわくわくが伝わってくる記事!
    デザインと人々の生活と環境と、すべて繋がってる。
    連鎖している。
    プレス・キット用にデザインされた心臓のバック
    美しくかっこいい!欲しい!

    Posted by: satoko @ 3月16日2007年

  2. [...] ビッグなイベント、デザイン・インダバ・カンファレンスが終了するや否や、どんなもので、参加者は誰で…と、このPingMagに書くべきことが沢山!…新しいアイデアやデザインに対する考え方に触れ刺激を受けたり、どうやって自分自身の習慣や人生、さらにはこの星すらも変えていくか…なんて事さえ考えさせられたりもしたこのイベント。にもかかわらず、勿論この私にゆっくり物思いにふける時間があるわけもなく、今夜も未だ家に帰れず!ケープタウン会議場でも2月23~25日に開催されたデザイン・インダバ国際見本市は、セラミック、家具、ファッション、建築、広告、そして映画など、これまでは聞くだけだったその土地のデザインに、実際に触れ経験出来る画期的なイベント。多くの国際小売業のバイヤーを含め20,000人以上の訪問者が予想された中、訪問者の長蛇の列は、国際的にも多くの関心が寄せられている事を証明した。さあ、南アフリカの新鮮なデザインたちから、PingMagセレクトをご覧あれ! [...]

    Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » カンファレンス・デラックス#2:デザイン・インダバ国際見本市 @ 3月16日2007年

  3. [...] 作:ウレシカ 訳:山根夏実 協力:デザイン・インダバ [...]

    Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » ソーシャル・スーサイド:仕立てスーツ物語 @ 4月6日2007年

  4. süper site

    Posted by: goruntulu sohbet @ 7月22日2011年

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