
世界の他の都市では、未だにACNEのジーンズやカーディガンが流行しているのかもしれないが、東京ではそれすらも目新しさの薄れた、無数の流行の中の一つにすぎない。けれど、その中でも一際目を引くものはある。渋谷ではすっかりありふれた光景となっているが、これに気付かないとしたらよほど目が悪いか無関心かのどちらかだろう。そう、女性物のハンドバッグやポーチ、小物入れを持つ若者。打ち合わせに向かうような男性が、女性物のバッグをカジュアルに肩や手首からかけて歩いている。本日は、ステキな友達の麗音が近場のおしゃれスポットに出向いて、東京では日常的にも見えるこの現象を調べてきてくれた。
作:ベレーナ
写真:栗田麗音&ベレーナ
訳:山根夏実

本物よりもフェイクが多い:あらゆるサイズの紳士物のバッグ。(写真:栗田麗音)
日本の男性がドレスアップして、一様にファッショニスタであるこの現象は一体どこからきているのだろう?
…始まりは70年代後期から80年代初期。ティーンエイジャーを対象に「何を」「どのように」着ればいいのかを扱ったファッション誌が次々と創刊される。ホットドッグ・プレス、Checkmate、POPEYE、MEN’S NON-NO…。そして、ストリートファッション誌Cutieの男性版Smartが95年に創刊されると、日本の若者達のオシャレ度は一気に加速していった…。

深めのショッピングバッグを上品に揺らす人もれいば…

…都会の旅人っぽく背中に下げる人も。(写真:栗田麗音)

日本人男性は色のあるものもお好き:濃い赤はお出かけにはまさにぴったり…

…そして、若い女性に似合うものなら若い男性にも十分似合うはず:金色!(写真:栗田麗音)
なぜ彼らはハンドバッグを持つのか?
それで、若い男性が女性物のハンドバッグを持つのはなぜなのだろう?そんなに持ち歩くものが多いのだろうか?その通り!明白な理由の一つが「実用性」!確かに東京の大首都圏では、誰もがかなりの時間を電車の中で過ごすはず。それもあって、仕事後にスポーツやパーティーなどの余暇に勤しむ人は、一旦帰宅せずに直接向かう人も多いと思う。そういった場合は、必要な物を全部まとめて、きちんとしたバッグに入れておくのも一理あるのかもしれない。
一方西洋では、男性は財布と携帯と鍵さえジャケットやズボンに入っていればOKで、必需品以外は持ち歩きたくない主義が多い。もしかしたら、できるだけ自由でいたくて、バッグのような邪魔っ気な持ち物を嫌うのかもしれない。女性的なハンドバッグなんてとんでもない!西洋人男性は、こうも気軽にカバンの紐を肩にかけて大都会に踏み入っていくことなどできないのだ…。


赤も必須の色!もっとガッチリと持つならこんな感じ。

新しいハンドバッグの見せ方:ロイヤル・ミルクティーのカップを持つかのような、ソフトな持ち方で。
もっと深い理由があるのだろうか?
だけど、別に女性物でも構わないのでは?もう1度80年代後半を振り返って、その当時発生した性別の歪曲論について考えてみよう。こういう考えはどうだろうか?…普段からフェミニンさを感じさせるブランド服を着ている男性は、メトロセクシャルの最先端を行く人間だと思われるか、もしくは西洋であれば、同性愛者として分類されるかもしれない。なぜなら、それを身に着けるという行為そのものによって、その男性自身のスタイルを表しており、他人にもそういった見方をされたがっていると考えられるからだ。
それを背景に、ジュディス・バトラーは、1990年にパフォーマンス的行為についての講義を始めた。その彼女の主張の1つが、ジェンダーをむしろ文化的な構築物として捉え、生物学的な性とは区別して考えるというもの。要するに彼女の理論では、人は何を身に着けるかによって、女性的、男性的、中性的など、自分がどう見られたいかを自分で作っていくものだとされている。
しかし、日本には当てはまらない部分も存在する。このバトラーの理論は、確実に西半球を対象にしたものであって、毎週日曜日に渋谷でショッピングに没頭する若者全員がジェンダーに対する大胆な撹乱行為を実践しているとは考えられない。まあ、そういった若者は、それがドレスであれ、ロングスカートであれ、メイクやハンドバッグであっても、よりおしゃれだと思うものを身に着けているだけなのだろう。もしそれが似合うのであれば(そしてそうである場合が多い)、特に深いパフォーマンス行為など意識せずに身に着けてしまうのだろう。


これを見て!メトロセクシャルの男性が持つ、花のモチーフ入りの茶色のポーチ…

…そして、個人の服装に合わせた別バージョン。(写真:栗田麗音)
ノウハウ
渋谷の若者には、クシャクシャの髪型にある意味完璧主義をもってルーズに見せた服装で、一見寝起きにも見えるカジュアルなスタイルを好む者もいる。しかし、そういった若者が優雅に持ち歩く女性物のポーチが、持ち主を女々しくみせるということは決してない。アルバイト店員、サラリーマン、実業家、それが誰であれ、大事なのは衣服にコーディネイトさせること。取っ手で持っても、肩から緩く提げても、頬に差したさりげない紅のように、デリケートなストラップが常に衣服に合ったおしゃれなアクセントになる。

ケイジに普段のバッグの持ち方をPingMagに見せてもらう。

今度は、もっとカラフルなものを試してみる。だけど、緑の偽ワニ皮?それぞれに好みがあるのね。

最後に、渋谷で見つけたイヴ・サンローランのブランド物のバッグ。これまた必需品!(写真:栗田麗音)
それでもなお、ビヨンセのそっくりさんのようなガールフレンドと歩く渋谷の若者は、もっとあからさまなものも好むこともある。例えば、時に背中からぶら下るような屋外用のキャンピング・バッグ。また、サラリーマンの場合は、前面のラベルが目立ちやすいバーバリーのバッグを持っている人が増えているように思われる。その他だと、吉田カバンのPorterがこちらでは人気なようだ。
この調査の中でまったく存在しなかったのは、メッセンジャー・バッグを活用するトレンド。まあ確かに、手首に下げて持ち歩くようなバッグではないのだけれど。
恵比寿のPOINTギャラリーでは、現在メッセンジャー・バッグの展示会が行われており、DISKAHやMADSAKIを含むアーティストが描いたイラスト入りのメッセンジャー・バッグが展示されている。新しいスタイルのバッグを探している人は、是非行ってみてくださいね!
2 コメント
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Rene, Verena,
It is an nteresting article!
私の目によく止まるのは、たまに見かけるスーツ姿で高級ブランドのポーチを脇に抱えて颯爽と町を歩く男性。よっぽど大事なものがはいっているのだろう。でも、どうしてもお肉屋さんが銀行にポーチを持って出かける姿と重なって見えてしまう。
バッグの他にもヘアピンやカチューシャでおしゃれしている日本の若い男性のfeminin-styleは興味深い謎ですね。
Posted by: yuki @ 3月8日2007年
今使っているお財布はJocomomolaだったりするのですが、選んだ理由は単純。色がキレイで、たくさん収納スペースがあるから。ちなみに、女の子は気づく人がいるけど、男の子に何か言われたことはありません…。
Posted by: tomo @ 3月26日2007年