あかりのデザイン

2007年2月22日 カテゴリー: イラストレーション, 国内, 民芸・工芸

あかりのデザイン

楽しげな祭りの提灯

竹ヒゴと和紙という日本特有の素材を使って作られた提灯。その趣のある様や和紙を通して照らされる灯りは柔らかで、心を静かに和ませてくれる。そんな素敵な日本の灯火具である提灯は、昔、人々の生活には欠かすことの出来ないものだった。しかし、その提灯も今ではお店やお祭りなどでしか見かけなくなってしまっている。今回は、失われつつある提灯の魅力に再注目してみたい。

作:リョウコ

まだ電気がなかった頃、人々にとって提灯は外出時において必要不可欠なもので、主に江戸期を通じて普及した。現代とは別世界の当時は、夜になると真っ暗で、そう簡単には出かけられなかったようだ。そんな暗闇の中、ぽつんと光る提灯の灯火は、向こうから人がやって来る気配を確認出来る道具でもあった。

ふらっと立ち寄りたくなってしまう、風情のある焼き鳥屋の提灯

もともと提灯は中国から伝わって来た灯火具で、その形は竹籠に紙を張っただけのものだった。今よく目にする提灯は、その元の形から考案し改良されたもの。提灯の灯りには蠟燭が使用されており、最大の特徴はジャバラ式になっている点にある。最初に出来た提灯は「箱提灯」と言って、上下に畳むと上蓋が下蓋に重なって箱形になり、折り畳まれた側面がその中にすっぽり収納される仕組みになっているので、その名が付けられたらしい。


提灯の原型といわれる「籠提灯」

折畳み可能な「箱提灯」

江戸時代では、身分や職業により使われる提灯の種類も違っていた。主に庶民が使っていたのは、棒の先にぶら下げて持ち歩く「ぶら提灯」。その提灯には、何処の家の者かを見分ける為に家紋が入れられていた。また、護衛や火消しが使っていたのは「弓張提灯」。職業柄、走ったりすることから、取っ手はしっかりと持ちやすい弓が備え付けられていた。


こちらは「ぶら提灯」。下の提灯には揚羽蝶の家紋が描かれている

「弓張提灯」には威力のある掛け声「御用!」

他にも、武士御用達だった「馬上提灯」(ばじょうちょうちん)は、乗馬時に激しい揺れを与えないよう、伸縮性のある鯨の髭を(今では使用されていない)提灯と持ち棒の繋ぎに付けたりなど、細部まで思考が凝らされている。

「馬上提灯」。武士が馬に乗る際、腰に差して用いた

提灯づくり

今回、提灯がどのように作られるのかを調べるために、東京・浅草にある提灯専門店「大嶋屋恩田」を訪れた。このお店は創業1854年の江戸時代からの老舗。お店に入るとサムイを着た職人さんが黙々と提灯に筆で文字や家紋を入れていた。真剣な眼差しで制作するその姿は威厳に満ちている。

最初に、和紙を張り付けて提灯を補強する作業、「口張り」が行われる。

提灯の製作では、まず、貼る側と描く側に分けられる。ここ東京では、提灯職人と言えば、主に提灯に文字や家紋を描く人のことを指し、このお店が取り扱っている提灯も、茨城県で作られたのだとか。


分回し(コンパス)で円が描かれる

沢山の毛筆に、墨や朱色やといった独特な色の絵の具

提灯に描かれた文字や絵柄は、描き手のセンスと技術が要される。一番の大切なのは江戸っ子の“粋”な感じを表現出来るかどうかと言う。どの文字も、同じものは一つとしてないそうで、その文字や絵柄を見れば誰が描いたか、何処のお店のものであるか、というのが一目瞭然であるらしい。


警察の紋章

鉛筆で下書き

下書きした線に色を落としていく

出来上がり!

提灯に描かれている文字や絵柄も様々。「楷書文字」や歌舞伎に使われる「勘亭流文字」、相撲の「相撲文字」、神社やお寺の「千社札の文字」、と色々あり、これらの文字を一括りに“江戸の文字”と言うそうだ。


千社札

美しい家紋の絵柄

提灯をの灯りが優しく見えるのは、それが人の手で丁寧に想いを込めて作られたからではないだろうか?「次の世代にも提灯を残していきたい」と、ここのお店の職人さんは言う。どんどん便利で新しいものが作られていく世の中でも、自分たちが大切にしたいものを時代の流れとは関係なく作っている人たちの心意気には、大切な何かを気づかされる。

かっこいい職人さん

色んな種類の提灯

天井に吊るされた沢山の提灯

ショーウィンドウに置かれている、提灯の骨組み(提灯の型)

船頭用の提灯

弓張提灯に描かれた迫力のある江戸の文字

ひょうたん型の提灯!かわいい!

浮世絵をモチーフにした提灯

イサム・ノグチ

モエレ沼公園」の設計も手がけ、彫刻家としてだけでなく、マルチな才能を発揮したイサム・ノグチ。提灯をモチーフにして作られたその美しい作品は、彼の死後も照明具として多くの人に愛され続けている。


シーリングランプ。THE NOGUCHI MUSEUMより

テーブルランプ。THE NOGUCHI MUSEUMより

最後に、以前PingMagのイラスト・シリーズでもご紹介したイラストレーター、クリス・シルバーソーンさんに提灯の絵柄を入れてもらいました!


真剣な顔のクリス

細い絵筆が一番のお気に入りだそう…なんて綺麗な色!

彼の想像は繊細なラインを通して紙をも超える

完成!

彼自身、提灯に絵を描くのは初めてだそうで、この挑戦を楽しんでくれた様子。絵描き道具まで持参して、わざわざPingMagオフィスに足を運んで下さったクリスさん。本当に楽しい一時を過ごす事が出来ました!ありがとう!!!

世界に一つだけの素敵な提灯!クリスさんのユニークさはジム・キャリーに匹敵する!?

今回ご協力して頂いた、大嶋屋恩田の皆さん、クリスさん、本当にどうもありがとうございました!!!

4 コメント

  1. 意外と海外の方のほうが家紋の美に感嘆される事が多いんですよね。
    様々な文化に触れ、発展して欲しいという願いからデジタルという媒体で容易にデータが世界中を飛び回る事ができるご時世、家紋のデータを無料配布しております。

    Posted by: 家紋izm @ 5月20日2007年

  2. Youre so cool! I dont suppose Ive read anything like this before. So nice to find somebody with some original thoughts on this subject.

    Posted by: soft skills training @ 11月11日2011年

  3. Aw, this was a really nice post. In thought I wish to write like this – taking time and precise effort to make an excellent article is very rare…

    Posted by: bath remodeling lancaster @ 11月22日2011年

  4. あかりのデザイン good post1130

    Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年

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