
イラストレーター、デビッド・ダンドレアの作品はイコン画的且つ暗く、複雑で美しく、そのイラスト作品にはしなやかで洗練されたラインと意図的に荒く描かれたエッジが渦巻いている。彼の扱うテーマは幅広く、同様にどこかの僧院の地下室から掘り出してきたかのような埃っぽい年鑑、基準標本、崩れ落ちそうな百科事典やその他の難解な視覚的参考資料がその小さなスタジオを埋め尽くしている。そういった多彩な影響は、古風なレタリングや偏執的なまでのディテールで形作られた動物、無数の宗教や文化要素といった形で、彼の作品にも現れている。
作:イアン・ライナム&セリーナ・ホイ
訳:山根夏実



ダンドレアは、これまで絵画展、刺青デザイン、そして主に音楽ジャケットやバンドの美術担当などの様々なプロジェクトで、イラストやデザイン作品を提供してきた。彼が手掛けたバンドは、ハイ・オン・ファイアー、ウルヴェル、アサンダー、グレイブス・アット・シーや、日本のコフィンズ、マインド・オブ・アジアンなど、現在のアンダーグラウンド・シーンにおいて最も人気のある、意欲的なメタル・バンドのリストのような様相を呈している。

穏やかでいてユーモラス、それに加えて親切なダンドレアは、常に視覚的・文化的なリサーチに意欲を見せており、彼のホームページによれば、趣味の項目には「未確認動物学、年代物の電子機器集め、超心理学」などが連ねられている。彼が1994年に共同で立ち上げた同人誌「スーパーブラックブラック」(ガムから名前を取った)では、彼の絵には「一見恐いように見えて、その実特に恐くもない」というぴったりなキャプションが付けられているが、ダンドレアの作品はダークなイメージをふんだんに湛えながらも、その誘惑的な魅力と精緻な技量で見るものを惹きつけてやまない。


絵を描き始めたのはいつ頃ですか?
小学校低学年です。雑誌の「マッド」と「クラックド」、それに日々のアニメがきっかけでした。小学校を卒業する頃には、 パスヘッドの絵やVCJのグラフィック、スケートのロゴ、スラッシャーのアルバム・ジャケットは全て網羅していました。その後、すぐに同人誌を作って、自分と同じような趣味を持つ他の子供との交流も始めました。クラブ・ホームボーイ、ベンド、やスワンク、他にも一杯見ましたね。そういったものが今日に至るまで私の中に根付いているある種の美学に繋がったのだと思います。



初期の影響は、どのような人や物から受けたのでしょうか?
パンクやメタルのグラフィックスが強かったものの、一般的なダーク系の画家にはまってからは更にセンスが磨かれたと思います。シーレ、ウォーホル、ベクシンスキー…極々一般的な「入門編」アーティストですね。


今現在はどういった内容の仕事をなさっているのでしょうか?
今の仕事は80%くらいがバンド関係の製品で、他は個人の依頼や単発のデザイン作業です。他に、ギャラリー業界にも片足を突っ込んでいますが、こちらは楽しみはするものの本業ではありません。私は自分が何よりもまずイラストレーターであると思っていますから。イラストレーションが職業であるという事実が楽しいんですよ。


一般的な意味においてとあなた個人の認識の中で、イラストレーションと絵画の線引きはどこにあるのでしょうか?
これに関しては学生時代に散々やりあったんですが、その時までは違いなんてろくに考えたこともありませんでした。個人的には、明確な線引きというものはないと思います。イラストというものはそれ単体でも成立すべきだし、そうなると一つの美術作品であるとも言えます。私は額縁に入った「イラスト的」な作品が一番好きですが、それがラウシェンバーグでも意匠図でも構わないわけで…本当に先入観というものがないんですよ。
私自身の仕事に関して言えば、後日ギャラリーに置ける(もしくは更に手を加えられる)ような強い印象の作品を作ろうと、いつも心がけています。作品は普段、仕上げの段階に限ってフォトショップで手を加えますが、この過程のおかげで、両方の世界に属することができるのだと思います。境界線がぼけて、希望的観測ですが、この問題自体が意味のないものになると思うので。


利用されている画材の中で、特に得意なものはあるのでしょうか?
色々…大抵はペンとインクに控えめな色ですね。もし事前に複製の方法が分かっていれば、それが画材を左右することが多いです。時には、コラージュやチラシのような媒体も活用しています。

これまでに手掛けられたプロジェクトの中で、一番気に入っているものはどれですか?
アサンダーの「ワークス・ウィル・カム・アンドーン」ですね。あのアートワークは私の裁量に任されていたし、概念的にも私自身が彼らの考え方に関心を持っていましたから…それに加えて、素晴らしいアルバムだったので。彼らとはもう数年来の個人的な付き合いで、その視覚的感性の大役を担えたことは本当に光栄だと感じています。このアルバムはもうすぐレコードで発売される予定ですが、今から楽しみで仕方ありません。それから、以前から続いているスティーブン・カスナーとのショーも、好きなプロジェクトの一つです。

本職のイラストレーターになるために、どんな道を歩まれてきたのでしょうか。
5年ほど前に、美術学校に行こうと決断しました。その当時にはもうかなりの量のコピーチラシや数枚のシャツのデザインをやっていたのですが、もう一歩先に進んでみればいいという家族や友人に大いに励まされました。そして去年、美術学士号を取得しました。

その一歩先に踏み出そうと思った動機か出来事のようなものがあったのでしょうか?
単にそろそろ正式な授業を受けた方が良いだろうと思っただけです。ずっと先延ばしにしていたので。当時はハイ・オン・ファイアーのツアーに同行して、アメリカやヨーロッパ各地のライブで自分がデザインしたTシャツを売っていました。あの時期は、これまでの人生の中でも特に精神的な浄化に繋がった時期でしたね。それで家に帰った時に、旅をやめてもっと自分の技を磨くべきだと感じたんです。


最近の影響にはどのようなものがありますか?
ジェームス・ジーン、スティーブン・カスナー、パスヘッド、バロン・ストーレイ, デイヴ・マッキーン、山本タカトなどがいます。

今現在手掛けていらっしゃるプロジェクトは?
今やっているのは、ライズ・アバブ・レコードから発売予定のウィンターズのアルバム、20バックスピンレーベルのコフィンズ(日本)のアルバム、ポートランドのパンク系バンドウォークライのTシャツデザイン、ウルヴェル(ノルウェー)のデザイン、個人の依頼1件、手描きのデニムジャケット・シリーズ、あとはまだ秘密のものがいくつか…。

あなたの理想のプロジェクトとはどういったものなのでしょうか?
カスナーとのスプリット・ショーは本当に楽しいですね。私たちは、オープニングでは毎回ミュージシャンや環境芸術で整えた一つのイベントとしてアプローチしています。これを更に拡大して、私たちの作品と選りすぐりのパフォーマー数人で世界ツアー(特にEU)を企画できたら素晴らしいですね。


あなたのスタジオ環境について教えてください。
最近オレゴン州のポートランドに移転したので、スタジオの環境はオークランドの市街地からポートランドの青々とした川と線路に激変しました。私の作品にもその影響が出ているようで、元々自然に根差してはいたものの、今ではその傾向が更に強くなっています。それからポートランドの空気は、心理的なガードを常に張り巡らした状態からもう少し中身を曝け出せるようにしてくれたと思います。市街地は市街地で大きな影響力を持っていますから、今は2つの影響の間で行ったり来たりの良い所取りという完璧な状態です。


もしPingMag読者のためにミックス・テープを作るとしたら、どのようなトラックを選ばれますか?
北西部に来て、ブラック・メタル好きが再燃しています…ハストゥール、ウルヴェルの3部作、イモータル。それから、スケプティシズム、サーゴソンやマイ・シェイムフルといった、暗い絶望的なトラックも入れたいですね。カタトニア、ニック・ケイブ、80年代中頃のソニック・ユース、レナード・コーエン…あと、トマス・コナーやルール・ハンターのような、もっとミニマル的な環境音や自然音も好きです。

デビッドさん、今日はスタジオの案内や沢山の作品を見せてくださって、本当にありがとうございました!
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