
うさん臭く聞こえるかもしれないけれど、今日はセンスの領域にダイブしよう!「フードクリエイション」の主宰である諏訪綾子さんは、肉感的な食材の組み合わせで実験的な食の楽しみを生み出すだけでなく、視覚的にも感覚を楽しませてくれる達人。彼女は、パートナーである古井真也さんの経営する恵比寿のギャラリースペースPOINT(PingMagにも登場済み)で行われる展示会やレセプション・パーティー、お店のオープンイベントなどに、その文字通り味のあるアートを提供している。諏訪さんがこの活動を開始したのは3年前だが、正式にFood Creationと命名したのは去年のこと。本日は、そんな彼女の独特なフード・アートの秘訣を紹介しよう。
作:ベレーナ
訳:山根夏実

綾子さん、今日はあなたの魔法のようなフードデザインについて聞かせてください。まず、あなたの芸術的背景はどういったものなのでしょうか?
私は、美術というよりも広告やテレビCMを専門とする学校でグラフィック・デザインを学びました。


料理の経歴の方はどうなのでしょうか?
シェフとしての正式な教育は受けていません。大学を卒業したあと、商業的なエージェンシーに勤めようとは思えなくて、最終的には希望通りに雑誌や編集の仕事に就くことができました。その当時に、プロジェクト・ベースの事業でインテリアを販売する、東京のD&Departmentの方と偶然にお会いしたご縁でそちらに転職しました。常に「真新しいもの」を生み出し続けるのではなく、伝統的な日本のものを組み合わせるという彼らのアプローチが気に入ったのが、私がインテリアの世界に入って、そこから更にもう一歩進もうと思ったきっかけでした。

フード・クリエーションのアイディアは、どこから生まれたのでしょうか?どういったものに影響を受けたと感じますか?
子供の頃に、よくおままごとの料理道具でお料理ごっこをしていました。あと、泥や葉っぱで食べ物を作る真似も。大人になったあとも同じことを続けて、最終的にはもっと完璧にできるように絵具で色付けをしてみたり、様々な器具を集めたりしました。


素材に対するあなたの独特のアプローチを教えてください。
人は何かを目の前にした時に、一般的な印象などの、ある種の先入観を持っているものだと思います。味にも同じことが言えると思います。例えば、誰かに「オリーブ」と言った場合、その人物は瞬時にオリーブの味を思い浮かべます。大抵の料理は、普通の素材の組み合わせで整えられていますから、人々は見た目も味も予想の範疇であることを予期しています。バジルがトマトやモッツァレラと相性が良いことはもちろん誰でも知っていますから、その味も想像できる。そういうことです。

私が求めるのは意外性のある組み合わせですが、同時に味も良くなければなりません。ですから、できるだけ事前にどんな味なのかを想像しにくい、新しい組み合わせになるよう心がけています。私がグラフィック・デザインをやっていた時は、常に新しいものを生み出し続けなければいけなくて、新しい何かを創り出した瞬間に、もっと新しい何かが見えてくる。それにウンザリしてしまったんですよね。
食卓での展示にも同じことが言えると思われますか?
あまり深く考えず、即興というか、どちらかというと直感的にお皿に配置しています。



フードクリエイションによる年賀状:目を楽しませる保存瓶の輝き。
料理のコースの順番というのがあるとすれば、それはどれだけ重要なのでしょうか?
とても重要です!この場合は、4コースのメニューのようなものですが、この時ばかりは味の順番を考えなければなりません。どの順番が最も満足感を得られるのか、これを把握するのはとても大切なことですから、少なくとも何らかの面白味は必要になってきます。
あなたのFood Creationは、去年ギャラリースペースPOINTで展示会を開かれたそうですが…
展示会のテーマは「刺激とリラックス」でした。レストランに入ったとき、人はまずメニューを読みますよね。そこから、疲れたときは少し軽めのもの、元気なときは刺激的なものと、メニューを読むことによって察して注文すると思います。そこで、刺激的な料理とリラックスできる料理がどういった影響を人々に及ぼすのかを調べて、刺激的であると同時にリラックスもできる料理を探してみたんです。

「しっとり肌の方には、パテと豚肉のパイ料理を作りました。」この写真のものは、血を表現した作品-実際に使われているのは普通のワイン。

POINTで行われた湯沢薫の「After The Fog」展では、大量の黒い食材を準備した。

霧のテーマに沿って、胡椒を燃やした煙を閉じ込めた。
それについて、もっと詳しくお伺いしたいですね。例えば、どんなものがあるのでしょうか?
一例を挙げれば、刺激的で辛い食材に生姜があります。でも、食材の中にはそのどちらでもあるだけでなく、異なる性質を持っていることがあるんです。例えば、ラディッシュは噛んだ瞬間は辛いけれど、後からすーっとした感覚を得ることができます。その他にも、胡椒はまず感覚を刺激して、そこからリラックスすることができる食材です。
一番好きな食材は何ですか?
自分では作れない色彩を持つ、鮮やかな野菜をよく使います。

あるレセプション・パーティーでの盛り付けは…

…浴室を含む複数の部屋に配置。

自然発生的な花咲くピザ?ありえない!「これは、POINTで行われた伴美里の「Garden」という展示会のために作った作品です。テーマは川の中に浮かぶ中州、理想郷で、絵画は全て中州を連想させる楕円形のキャンバスに描かれていました。料理としては、ピザの生地を中州のような形に整えて、ハーブで野の花を表現しました。」(諏訪さん)
ギャラリースペースPOINTで行われた湯沢薫さんの写真展「After the Fog」には、どういったアプローチを取られたのでしょうか。
この時は、題名からアイディアを得ることにしました。霧(Fog)の中ではもちろん何も見えませんが、そこに何があるのかを想像することはできるでしょう。アーティストの方のコンセプトは、霧が晴れたら予期せぬものを目にするかもしれない、というものでした。ですが、私は霧のアイディアはそのままに、煙で代用したんです。どの食材を使うかによって、燃やした時には様々な香りの煙が発生します。この時は胡椒を焼いて、その煙を閉じ込めて香りを引き出したりしました。時にはバジルを同じように使うこともあります。
一体どうやって煙を閉じ込めることができたのでしょうか。
インターネットで見つけた、電気タバコパイプみたいな特殊な器具を使います。本来の使い道はよく分からないのですが、もしかしたらマリファナを吸うのに使われたのかもしれません。正確には、特殊な区画で燃やすスパイスの煙にこのパイプを入れて、そこから煙を吸いだしています。

髪についての展示会に提供された作品は、なんと髪の食べ物!

Food Creationのロゴとフワフワの白い綿菓子。「殆どの人は、綿菓子を見て甘さを思い浮かべますし、事実とても甘いので、大抵はちょっとしたスパイスを加えるようにしています。」(諏訪さん)
同じくPOINTで行われたモニョモニョ展で飲んだ、少し不思議な、それでいてまずいとは感じなかった飲物の味を思い出しました。胡椒入りのジントニック!

諏訪綾子さん
あれは、最初は綺麗で可愛く見せるという、アーティストの題材のせいです。でも、時にデザインに毒があったりしますから、あまり子供向けではないですね。それでチョコレート・スティックなどの甘いものを準備して、その中に少し毒の要素を入れてみたのがあの胡椒入りの飲物でした。
最後に、今後の予定を教えて下さい。
まだはっきりとは決まっていないのですが、今後、私の料理を皆さんに食べて頂けるカフェができればなと考えております。もっと材料について考え、月替わりメニューなど提供出来ればよいなと思っております。
それは素敵ですね!ホームページで詳細をご報告してくださるのを楽しみにしています。今日は、味のあるお話をありがとうございました!
7 コメント
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beautiful work. for some more interesting food art, which is tasty too, see:
http://www.flickr.com/photos/rreid/sets/72157594507492814/
Posted by: Rfive @ 2月2日2007年
誰もが扱う食材をこんな風にみせてしまうなんて!
これからのご活躍とても楽しみにしています。
Posted by: K @ 2月8日2007年
バースデイケーキならぬバースデイフード!?
こんな食べ物を囲んでなら年齢の話も怖くない(笑)!
すばらしい食べ物達!ほんとすごいです、楽しみにしてますよー。
Posted by: kit @ 2月8日2007年
おもろい!普段食べているもので
こんな表現ができるとはおもわなかった。
Posted by: paburo @ 2月18日2007年
すごくきれいですね。びっくりしました。
Posted by: NIBE @ 2月24日2007年
カフェ 楽しみにしてます◎
まさに刺激とリラックスの空間になりそうですね。
Posted by: shiho @ 2月28日2007年
フードクリエイション:味のある意外性 good post1121
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年