
グラフィック・デザイナーの育成過程というものは、偶然の産物であることが珍しくない。現在活躍中のグラフィック・デザイナーの中にも、少なからぬ人数がデザインの正式な教育を受けずに今日の地位を築いている。デザインの学部教育には時として遺憾な点も多く、正式なタイポグラフィの講座もなければ、ソフトウェア指導も不完全、現実に基づいたクライアントや契約の対処法も教えてはくれないし、何よりも、JAGDAやAIGA、ICOGRADAなどへの参加を推奨される以外には、デザイン・コミュニティとの交流を求められることもないのだ。
作:イアン・ライナム
訳:山根夏実
大学時代には、私も一部のグラフィック・デザイン関連の書籍を読むことを義務付けられていたが、そういった文献を本当の意味で理解できるようになったのは、私が数年間の実務を経験してCalArtsで大学院に在籍していた時期だった。
毎年数冊の真に有益なデザイン史、評論、論文などの書籍が発表される反面で、くだらない実用書や根拠のない研究論文も大量に出版されている。こういった出版物の海をかき分けて、本当に必要とされているデザイン教育の文献を探し当てるのは至難の業だろう。では、一体どこから着手すべきなのか?
本日は、私がグラフィック・デザイナーの教育に欠かせないと考える、素晴らしいデザイン教本の山を紹介したいと思う。
これから紹介する書籍は、私の作品と職業意識に見識を与えてくれたもので、そのおかげで、私は歴史における自分の立ち位置を少しは把握できていると思っている。論理化は難しいかもしれないが、未だ成長し続ける文化的、そして歴史的な習慣の一部という立場から自分の職業を分析することは、大いにプラスになるはずだ。
自分の作品を誇って、主張してみよう!それと同時に、自分のしていることをより深く理解するためにも、本を読んでみるべきだろう。(あと、活字は引き伸ばさないこと。あまりにもみすぼらしく見えるから…)
書籍
「グラフィック・デザインの歴史」
(フィリップ・メッグス著)

「グラフィック・デザインの歴史」フィリップ・メッグス著
この本は必読の一冊。分厚い教科書的な本で、時に耐えがたく退屈な部分もあるが、デザイン史の基礎をしっかりとカバーしている。ほら、家を建てるには基礎が大切でしょう?フィリップ・メッグスが粉骨砕身してこの本を書き上げて以来、誰一人としてこれを上回るものを作り出そうとした者はいない。とにかく、デザイン文化と歴史に欠片でも興味があるのにまだこの本を読んでいないのなら、教養を身につけるチャンスだ。
「ザ・エレメンツ・オブ・タイポグラフィック・スタイル」
(ロバート・ブリングハースト著)

「ザ・エレメンツ・オブ・タイポグラフィック・スタイル」ロバート・ブリングハースト著
基本的に、グラフィック・デザインは画像と文章によって構成されている。画像の方は簡単で、バウハウスを基本としたデザイン教育やボブ・ロスからその全てを学べる。
もう一方の活字に関しては、大学時代に強引なタイポグラフィの講師が居でもしない限り、学ぶ機会はまずないだろう。ロバート・ブリングハーストは、正統派タイポグラフィを教えてくれる非常にありがたい存在だ。タイポグラフィを正しく理解していなければ、行中の文字数過多、レディングに対する知識の欠如、質の悪いモノタイプの一般的な書体にカーニングを施さないなど、沢山の不都合を抱えたまま作品を作り続けていく破目になる。だが、この本を最初から最後まで熟読すれば、誰でも活字の歴史やデザイン、等比例に関する知識を得ることができる。
オールワース出版のルッキング・クローサーI-III、活字の文章:タイポグラフィの評論、グラフィック・デザインの歴史、デザインの教養:グラフィック・デザインの理解、タイポグラファーの教育

「ルッキング・クローサーI-III」
スティーブン・ヘラーがその大半を編集、監修または執筆した随筆集。
以前、あるデザイン評論家が、ヘラーの著書は「デザイン書籍版のリーダーズ・ダイジェスト」だと言ったことがある。その彼女は、退屈なニューヨーク・タイムズ書評欄の美術監督でもなければ、不眠症の仕事中毒でもコンテストの常連審査員でもなく、ヘラーの著書を出版しているわけでもない。ただ、この本はメッグスのデザイン史年表の穴(ぽっかりと空いている部分がある)を埋めてくれるはずだ。
「デザイン・ライティング・リサーチ」
(エレン・ルプトン& J・アボット・ミラー著)

「デザイン・ライティング・リサーチ」エレン・ルプトン&J・アボット・ミラー著
正直なところ、先に紹介した三冊は退屈な部分も多く、確実に実りとなるかも分からない押し付けである。ブリングハーストの本を除けば、他はデザインも洗練されておらず、職業的な習慣を常に意識するべきであるという議論に説得力を与えるどころの話ではない。しかし、そんなおままごとの後に紹介する 次の本には、まさしく頭をぶん殴られたような衝撃を受けるだろう。誇張でも何でもなく、腰を抜かすこと間違いなし。この必読本では、紙上におけるアフリカ系アメリカ人(黒人)の表現、脱構造解釈、活版印刷術の進歩を含む興味深いトピックが、現役のデザイナーとデザイン教育者であるアボット・ミラーとルプトンの視覚的にも魅力的且つ熟慮されたデザインで綴られている。
「羊を盗むのはやめろ」
(エリック・シュピーカーマン& E・M・ジンジャー著)

「羊を盗むのはやめろ」エリック・シュピーカーマン& E・M・ジンジャー著
タイポグラフィの専門書を読むのがだるくなってきたら?ドイツ活版印刷の帝王にお任せ!タイポグラフィにおける洞察力を養うであろう、楽しく読める軽めの一冊。ここで購入できる。
「想像するインフォメーション」(R・タフト著)

「想像するインフォメーション」(R・タフト著)
疑わしい彫刻作品の領域に足を踏み入れる前に、タフトが図形による情報伝達について記してくれている。チャートやグラフを使ってクライアントに情報を提供しようと思う人には、是非ともお薦めしたい。
「ジョセフ・ミュラー・ブロックマン:スイス・グラフィック・デザインの開拓者」
(ラース・ミュラー著)

「ジョセフ・ミュラー・ブロックマン:スイス・グラフィック・デザインの開拓者]
(ラース・ミュラー著)
この本は、絵本/モノグラフという、多くのグラフィック・デザイン教育者が怖れる書籍のカテゴリーに属する。しかしながら、単純でいて頻繁に引き合いに出されるスイス式タイポグラフィを大衆に広めるという点においては、ミュラー=ブロックマンは少なからぬ実績を持っている。時に石頭的ではあるものの、いい加減なものよりは遥かにマシ。
「ヤン・チヒョルト: ライフ・イン・タイポグラファー」
(ルーアリ・マクリーン著)

「ヤン・チヒョルト: ライフ・イン・タイポグラファー」(ルーアリ・マクリーン著)
ヤン・チヒョルトは、熟考の上での空間的配置とタイポグラフィの第一人者。この本に掲載されている出版物のリプロダクションで、古典的な比率、大文字のレター・スペーシングを学ぶと同時にチヒョルトの書体デザインによろめいてみるのはどうだろう。このテーマは、タイポグラフィの眼識の中でも、並ぶことのない頂点に君臨し続けている。
「不揃いのテキスト:タイポグラフィーの眺め」
(ロビン・キンロス著)

「不揃いのテキスト:タイポグラフィーの眺め」(ロビン・キンロス著)
心休まる絵本の後は、モダニズム、ソーシャル・デザイン、タイポグラフィ及びグラフィック・デザインの歴史的解析などの快活なエッセイ集。詳細はこちら。
「タイプとタイポグラフィ」(フィル・バインズ&アンドリュー・ハスラム著)、「タイプで考える」(エレン・ルプトン著)、「欧文書体」(小林章)

「タイプとタイポグラフィ」(フィル・バインズ&アンドリュー・ハスラム著)

「タイプで考える」(エレン・ルプトン著)

「タイプとタイポグラフィ」、「タイプで考える」、そして「欧文書体」は、タイポグラフィの簡潔な歴史や知識を提供してくれる。また、この三冊はかなり実用的なソフトウェア指導もカバーしている。
雑誌
自分を見失わないこと…隔月で: 今も昔も、本当に中身のあるデザイン誌は二つ。その他は、大半がくだらない内容のものか業界紙、もしくは広告と駄文で埋め尽くされたものだと言っていいだろう。
雑誌「エミグレ」

「エミグレ」は2005年に廃刊されてしまっているが、今日のポストモダン・グラフィック・デザイン批評においては未だに右に出るものがない。エミグレのバックナンバーには、ミスター・キーディー、ロレーヌ・ワイルド、アンドリュー・ブローヴェルトをはじめとした、多くのデザイン評論家の随筆が詰まっているので、入手できればそれに越したことはないだろう。
雑誌「アイデア」

隔月誌であるアイデアは、常に最も魅力的且つ興味深いビジュアル・コミュニケーション・デザインを再現して、その国際的な読者層に届けてくれる。
オンライン
ワールドワイド・ウェブの世界では、どこに役に立つデザインの情報が転がっているのだろう?


その他にも…
「練習と理論」
(ヨースト・ホフーリ& ロビン・キンロス著)「言語のカタチ: ライティングと意味についてのエッセイ」
(ロバート・ブリングハースト著)「僕はいつもお腹を空かせている」
(カーハン&アソシエーツ社)「ストローク: ライティングの理論」
(ゲリット・ノーツァイ著)「もう規則はいらない: グラフィック・デザインとポストモダニズム」
(リック・ポイナー著)「メトロ文字」
(デボラ・リトルジョン編)「グラフィック・デザインにおけるグリッド・システム」
(ジョセフ・ミュラー・ブロックマン著)「▲■●のABC: バウハウスとデザイン理論」
(エレン・ルプトン&J・アボット・ミラー編)

今回紹介したものは、総括的なリストとは言えないが、こういった文献を読んだ経験のない人には、グラフィック・デザインの歴史、習慣や論文をしっかり理解させてくれるはずだ。
楽しい一時を!
3 コメント
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helllooo, I’m new. Thought I’d say howdy.
See ya! :) and Thank you
(apologise if the wrong place to put this post)
Posted by: GarethWyett @ 1月13日2011年
Jennifer Lopez’s indecisiveness with regards to going back to American Idol could very well cost her a spot on the show’s judging panel. Lopez has not really yet made a final call around whether she will be returning to the program for season 11
Posted by: Izola Bjornstrom @ 11月14日2011年
デザインの教養を積む good post1115
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年