
東京には、海外留学の経験者が本当にたくさんいる。場所によっては、ふと気がつくと外国人に混ざって、その場の日本人全員が英語で話している…なんてこともさして珍しくないくらい。(だってこのPingMagもバイリンガルだし!)期間や分野に違いはあっても、みんな日本にはない何かを吸収して帰ってくる。ファッションデザイナーを目指した1人の女の子、熊谷東子は10年前にニューヨークに渡り、その約5年後に彼女のブランドnam(ナム)を立ち上げた。NYのヒップホップカルチャー、グラフィティ、フランスのオートクチュール技術、日本の暴走族による詩や、メキシコのプロレスマスク、マヤやユダヤの宗教からイギリス貴族のハンティングカルチャーまで網羅して、彼女のブランドは世界を旅する。ただ、大規模なコレクション等の「今年の流行ルックは…」的なテーマと大きく異なるのは、すべてが彼女の実生活に根ざしている点。様々な国の友達やコラボレーター達のカルチャー、日々の出来事を吸い上げて、おおらかに、しかしどんどん進化するNAMのデザイナー、東子ちゃんに話を聞いてみた。
作:西田香織

コレクション用に自らが手がけた帽子を被る東子ちゃん本人
東子ちゃん、ファッションを勉強し始めたのはNYに行ってからなんですね。オートクチュールの学校で学んだとか?
それまでは全然違う仕事をしていたんですが、96年にファッションを勉強しにNYに渡りました。最初の約2年間は語学学校に通って、英語の勉強から始めました。その後、オートクチュールのMaison Sapho School of Dressmakingという本当に小さな学校に入学して、70歳くらいのフランス人の気の強~いおばあちゃんに、ほぼマンツーマンで教わりました。ほとんどがハンドメイドの世界で、刺繍からテイラーリングまで本当にクラシックな技法を叩き込まれました。すごく厳しいおばあちゃんだったけど、学校の時間が終わると、普通のおばあちゃんにもどって、彼氏はいるのか?とか心配してくれて(笑)。


そして2001年に自身のブランドNAMを立ち上げたんですね。NAMのブランドテーマって何ですか?
「NYでの生活の中で出会った、様々な国のカルチャーとサブカルチャー的な自分達のアイデンティティの融合」がテーマです。日本を飛び出して、NYで一番圧倒されたのは、その混在する異国のカルチャーです。日本ももちろんすごくインターナショナルではあるけれど、NYはそこの住人全員がある意味外国人。友達の家に行くと、その子のおばあちゃんが作ってくれたご飯は、紛れもなくローカルなキューバ料理だったりする。みんなそれぞれに消えることのないカルチャーを持っている。彼らを通じて、世界を学んでいたと思います。NAMは、毎シーズンどこかの国をテーマに洋服を作っています。


2003年の春夏に発表した日本の暴走族シリーズは、大好評だったそうですね。
日本の暴走族のナルシズムをテーマに「Neo Grentai」(ネオ−愚連隊)というシリーズを発表しました。グラフィティアーティストのEaseとコラボレートして、暴走族の子達が書く詩があるんですが、それを彼らが着るようなロングジャケットに刺繍しました。余談ですけど、彼らが夜なよな自分で改造したバイクを乗り回しながら書く詩って、本当に若いなりの刹那な素晴らしいポエトリーなんですよ(!)他にも、家紋入りの着物ドレス、スポーツスーツなどを組み合わせ、NYと日本のサブカルチャーをミックスしています。外国のコピーばかりする日本人、というイメージが先行するファッション界において、どうしてもこの日本オリジナルなサブカルチャーをNAMから紹介したかったんです。

NAMのコレクションには、マスクが多いように思います。何かマスクに特別なこだわりがあるんでしょうか?
最初にマスクを作り始めたのは、NYで9.11のテロがあった後からです。当時あの街にいた人はみんな経験した事ですが、テロ後ほんとうに空気が荒みました。テレビ等では「テロに勝つぞ~!」と拳をあげる報道が多かったのですが、自分以外の誰かに怒りの矛先を向けるのが、何か間違っている気がしました。そんな戦いをしなくても、すでに庶民はみんな十分戦っている、と思ったんです。病気と戦っていたり、夢の実現の為に戦っていたり、家賃を払うために日々戦っていたり…。NAMを通して、本当に今フォーカスしなければならないのは、そういう戦いなんじゃないの?というのを見せたかったんですね。そんなキラキラした「華麗なる戦い」を、明るい原色を使うメキシコのレスラーが被るマスクで表現しました。マスクは、NYのストリート・アート・クルー、Faileとのコラボレーションでもあります。


カラフルなマスクから一転して、銀座のH.P. franceでの2005年秋冬の「Art for art’s sake 芸術至上主義」展は、徹底的にモノトーンですね。
これは、画家のマルク・シャガールへのオマージュとして作りました。彼の信仰、ユダヤ教をベースに、ダビデの星のモチーフなどを多用しています。服がすべてモノトーンだったので、撮影ではメイクに色を使い、シャガールの絵画の世界を演出しています。

2005秋冬: Art for art’s sake HPGRP Library 銀座 : Photo by Becky Yee

2005秋冬: Art for art’s sake HPGRP Library 銀座 : Photo by Becky Yee

つい最近まで、原宿のBBSで展示されていた2006年秋冬コレクションは、動物のモチーフが多用されていますね。
今回のテーマは「ハンター」です。このテーマに至ったのは、最近の狂牛病、鳥インフルエンザ、大津波など、今まで私達人間が感謝の気持ちを忘れて環境を破壊し続けてきた事への警告だな、と思った事からはじまりました。私は動物保護団体のメンバーではありませんが、少なくとも私達の毎日の生活は多くの動物をはじめとする犠牲の上に成り立っているんですね。それらが寒さをしのぐ衣となり、今日を生きる活力の糧となり、私達のクリエイティブの源となっていますよね。それらへの感謝の気持ちを伝えたいと考え今回の作品ができました。この動物マスクはfaileとのコラボレーションで作り、彼らはファブリックのシルクスクリーンなどを手掛けています。古き良き英国紳士のスタイルをヘリンボーンツィードなどでシックでエレガントに表現、またクラシックな要素とスポーツを融合させました。

2006秋冬:The hunter, NAM with Faile and 吉永マサユキ: Photo by Masayuki Yoshinaga

2006秋冬:The hunter, NAM with Faile and 吉永マサユキ: Photo by Masayuki Yoshinaga
ところでNAMという名前の由来は?
昔小さい頃から実家で飼っていた犬の名前からとりました。もう亡くなっちゃいましたが、ほんっとに元気いっぱいの犬でした。一人っ子の私でしたが、同じ人に育てられた事もあって、似てたかもしれません。「ナム」は、お経の「南無妙法蓮華経」の南無でもあります。「devotion」という意味もあります。このブランドは私の分身、としてNAMと名前を付けました。

2006秋冬:The hunter, NAM with Faile and 吉永マサユキ: Photo by Masayuki Yoshinaga

2006秋冬:The hunter, NAM with Faile and 吉永マサユキ: Photo by Masayuki Yoshinaga
次はどんなコレクションになるんでしょうか?
う~ん、まだ決まっていません。もしかしたら、マルク・シャガールの時の様に、誰かへのオマージュ、という形になるかもしれません。
東子ちゃんの洋服には、いろんな要素が詰まっている。グラフィティなどストリート系な様でいて、フランス人のおばあちゃんに仕込まれた、というクラシックな手仕事が、刺繍をはじめそこかしこに組み込まれていて、しかも自分でチクチク縫う。いろんなカルチャーを、とてもおおらかにNAMの洋服に取り込んでいく様子は、彼女の生き方に似てるのかも。取材の最後に、山形から送られてきたというリンゴをいっぱいくれた東子ちゃん、どうもありがとう!次のコレクション、楽しみにしてます!
INFO:NAMのウェブサイトは、2007年元旦、日の出と同時にオープン予定!
7 コメント
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熊谷東子は、あの有名な伝説のAV女優、北岡錦と同一人物。
だから、マスク作ってんだ。
凄いよ40歳超えてるのに、今だ現役のAV女優。
Posted by: 知ってる。 @ 12月31日2008年
やっぱりそうか・・・。
Posted by: 池田 @ 2月3日2009年
北岡錦と同姓同名だが別人だよバカじゃないの!
北岡のほうは郷里の東北某県にいるんだよ。
知ったかやめようね。
Posted by: 松 @ 8月18日2009年
北岡錦は俺の同級生と結婚して幸せになってるよ
Posted by: なぎりん @ 9月26日2010年
お会いしたけどどうでしょう。正直裏でがんばってください。
Posted by: kk @ 9月10日2011年
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Posted by: christian louboutin @ 11月10日2011年
How bitch she is! Lol
Posted by: kk.nkgm @ 12月14日2011年