
「Tokyo Loop」とは、映像作家、デザイナー、漫画家、アニメーター、イラストレーターなどの多彩な分野で活躍する16人の作家による、東京の文化や都市生活をテーマとしたオムニバス・アニメーションだ。作家陣は東京の映像作家共同体、イメージフォーラムによって厳選された顔触れ。PingMagでは、PDの澤隆志さんとコーディネーターの山下宏洋さんにお話を伺った。
作:ベレーナ
訳:山根夏実

「Tokyo Loop」フライヤー
それでは、澤さん、山下さん、「Tokyo Loop」のオリジナルのアイディアから伺っても良いでしょうか?
山下さん:2006年は、ジェームス・スチュアート・ブラックトンのアニメ「愉快な百面相」の制作から100年を迎える節目の年で、そのことについて、日本の個人製作アニメの上映などを主催しているアニメーション作家の古川タク氏にお話ししたんです。年内にオムニバス映画を作るのが目的だと言ったら、喜んで賛同してくださいました。
澤さん:この類いの表現方法の定着度だけでなく、幅広さも見せたかったんですよ。

全てを繋ぐのは「東京」というテーマだと思いますが、作家の方々がこのアイディアを表現するにあたって、どれくらいの自由度が与えられていたのでしょうか?
澤さん:あまり制限は設けずに、ただ東京を題材にした作品を一本作って欲しいと言っただけでした。

今回集った作家の中には、映像制作とはかけ離れた分野の方々もいらっしゃいましたが?
澤さん:我々が映画祭を通じて存じ上げていたアニメーターの方々以外に、機会さえ与えれば興味深い結果を出すんじゃないかと思われる方が居たんですよ。でも、子供向けのアニメを作りたいわけではなかったので、現代アートの分野で活躍する方々に話を持っていったんです。主にはベルリン関連におけるテレビ塔のように、それぞれに共通したシンボル的なものを考えたのですが、この東京をテーマにしたオムニバスではどれもしっくり来ませんでした。

山下さん:そんな感じで、16人の作家とそれぞれの東京が出来上がりました。殆どの作家は東京在住です。全体の音楽を手掛けた、大阪のアングラシーンでは有名な山本精一さんなんかが東京外の方ですね。
では、一つのサウンドトラックが全体を繋ぐ役割を負っているということでしょうか?
澤さん:ビジュアルは本当に多彩なので、何らかの形で一貫性を出さないといけないと思ったのですが、音楽が全体の骨組みの役割を果たしてくれました。

そのコラボレーションは成功だったと思われますか?
澤さん:音楽担当の山本精一さんは、こちらの映像をそれまで全く見たことがない状況で、それぞれの作家からどんなものが出来上がるのかを想像して取り組んでくれました。作家の方々も、題名やスチール、映像を提供したりして、それを元に山本さんが作曲したんですよ。完成したクリップを受け取った後に、映像の時間に合わせて編集して。結果としては、最高にぴったりな場所もあればちょっときついところもあるって感じです。

それはすごいですね!作品を通して見ると、まず音楽と映像が一緒に作られたという印象を受けたのに。作家陣には、これまでアニメーションには全く関わったことのない方もいらっしゃいますが…?
澤さん:それは、下地のない状態でどうやって動きを作るかを見たかったからです。あと、漫画家の方からの新しい表現が見てみたかったのもありますね。

他の方々はどうなんでしょう?
山下さん:佐藤雅彦さんは、元々はリズムを使ったミニマルな表現で有名になったCM監督で、その後は家庭用ゲームを2、3本制作して、最近ではNHKで番組を持ちつつ短編映画の制作などをしている方ですが、アニメーション作品はこれが初めてだと思います。岩井俊雄さんは、基本的にはアニメ系のメディアアーティスト兼TV番組制作者で、90年代に手掛けた非常に前衛的な子供番組が最も有名です。今回の作品は、彼にとっては久し振りのアニメ作品となります。

一人、かなり年配の方がいらっしゃると伺いましたが?
澤さん:78歳の久里洋二さんですね。60年代に、子供以外にも向けられたアニメを作ろうとされた方です。久里さんは、そのために古川タクのような様々なジャンルのアーティストにアニメーション・フェスティバルに貢献してくれるように頼んでいましたから、今回のこのオムニバスは久里さんの60年代のフェスティバルへの賛辞と言えなくもないでしょう。

私の個人的な感覚では、ゲーム制作者やイラストレーター、デザイナーなどの異なる分野の方々が共同で何かをすることは、欧州では珍しいのではないかと思うのですが、日本ではそうでもないのでしょうか?
澤さん:日本のアーティストは、ジャンルをあまり細かく考えないのではないかと思いますし、鷹揚な若い世代の観客に関しても同じことが言えると思います。それでも、このTokyo Loopのような作家陣の集結は珍しいでしょうね。例えば、久里洋二さんは日本初のアニメーション・フェスティバルを開催した著名なアニメーターとしての認識が強いですし、アニメーション作家の山村浩二さんも同様だと思います。

山下さん:これまでは常にアニメという枠に囚われていたと思いますが、今ではこれが――これこそが、私たちの考えるところの才能の集結になったと思います。
次は、イメージフォーラムについて聞かせてください。発足はいつ頃だったのでしょうか?
山下さん:1971年に前身の「アンダーグラウンド・センター」として生まれて、1977年にワークショップなどを擁する映像研究所を設立した際に、今のイメージフォーラムに改名しました。

以前にもお伺いしたと思いますが、イメージフォーラムは、常に日本のインディペンデント映画、それも特に短編を紹介することを目的としていたのでしょうか?
山下さん:短編と、長編映画ですね。基本的に、長編映画を制作して上映するのはとても難しいことなんです。それで、1971年に映像作家たちが集って、自分たちの作品を上映できる映写室を作ったのですが、京都の映像作家から作品の配給もやって欲しいと頼まれたんですよ。今日に至るまでの基本的な構造は、地下のアートシアターと、映像研究所で週毎に実験映像などを見せる「イメージフォーラム定期上映」。それに配給もやっていますし、独自の映画祭なども行っています。


澤さん、山下さん、ありがとうございました!
12月23日に渋谷のイメージフォーラムで上映されるTokyo Loopと、上映前、19時に開催される古川タクと岩井俊雄のトークショーをお見逃しなく!
今後の上映予定は:12/28(木)しまおまほ、12/30(土)田名網敬一、相原信洋、1/6(土)大山慶、清家美佳、1/10(水)しりあがり寿、1/12(金)山本精一(音楽)
また、P-Vine Recordsから山本精一氏による「Tokyo Loop」のサウンドトラック、また「Tokyo Loop」の書籍もダゲレオ出版より発売中なので、興味のある方はぜひ!
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山下さんとコンタクトをとりたいので、連絡先を教えていただけないでしょうか。
Posted by: 京介 @ 5月23日2007年
PingMagのお問合せページから、再度ご連絡いただけますか?
宜しくお願い致します。
Posted by: chiemi @ 5月24日2007年