
写真家セバスチャン・マイヤーは、風の吹くまま、気の向くままの人生を送ってきた。自身でバンド活動を行う傍らで、副業として写真を撮り始め、ベルリン時代には、何人もの有名ミュージシャンとブレーク前に知り合っている。音楽誌スペックスで勤務もして、音楽関係、広告や知り合いの写真を手掛けた。レディトロンのベースとして、9ヶ月にも及ぶ欧州ツアーにも参加した。リオデジャネイロに移住して、ニューヨークで数週間に亘って活動を休止した後に、今度は東京に降り立った。本日は、彼の写真や今後の計画、それに聞かせてもらった楽しいスターのゴシップをお届けします!
作:ウレシカ
訳:山根夏実
セバスチャン、今まで写真を撮った中で、一番ビッグなミュージシャンは誰でしたか?
それなら…イギー・ポップかな。だけど、その質問の意味にもよると思う。「有名」という意味においての話か、それとも「個人的な印象」という意味なのか。でも実際には、どちらの意味でもイギー・ポップなんだけどね!(笑)
イギー・ポップの目は、本当にあんなに青いんですか?
そう!僕は色で遊んだり、ぴったりだと思う色に調整するために、自分の写真には全て手を加えるけど、イギーの目は本当に青い。あの傷は前の晩のコンサートで付いたもの。あの日は素晴らしくノッてて…最高だったよ!
じゃあ、リオデジャネイロのヴィラでのあの写真は、どうやって撮ったのですか?
その当時は僕もリオデジャネイロに住んでいて、次の写真に出てくるジョナサン・ショウが電話で「カメラと大きなサラミを持ってうちに来い!今イギーと話してるんだ!」と言ってきたのがきっかけかな。あれは最高の午後だったね!

二人は古き良き時代のことを話していて…サラミを食べながら、冷たい缶コーヒー飲んでた。二人とも、とても興味深い人間だね!
ジョナサン・ショウは、有名人たちともつるんでいた。チャールズ・マンソンの弁護士とかね…。彼は、ジム・ジャームッシュ、ジョニー・デップ、それにイギー・ポップらと一緒に「インチキ指輪クラブ」というクラブも作っていて、彼らは実際に、クラブの名前のまんまのドクロの指輪をいつもはめているんだ(次に写真で見る時に注目)。それから、ジョナサンはヘルズ・エンジェルスのブラジル支部を作った人間でもあって、未だに彼らと一緒に、今まで僕が見た中でも最大級のバイクを駆っているはず。
ジョナサンは大衆文学の作家でもあって、世界中を旅してウィリアム・バロウズやハンター・S・トムソン、チャールズ・ブコフスキ なんかとも会っている。それから、世界最大の貴重な刺青コレクションの持ち主でもある。僕が知る限りでは、今もロサンジェルスで彼のコレクションに関する本が制作されているはず。何しろ、彼はアメリカの合法的な刺青アーティストの中では最古参の一人だからね。

だけど、ジョナサンの最高に面白いところは…。やっぱダメだ、これを言ったら彼から絶交されそう!
えー!教えて下さいよ!
…ジョナサンは、世界を支配するトカゲ人間の実在を信じてるんだ…
(何とも言えない表情)
いや、そんな目で見ないでくれよ!これ以上は何も知らないんだから!本当だって!!
そもそも、何で音楽関連の写真を撮るに至ったのですか?
いつの間にかそうなってた、という感じかな。実際に、僕が最初に撮影したのは、映画「Kids」の監督、ラリー・クラークだったんだけど…。彼は元・写真家で、タルサなどに代表される彼の写真作品は僕も本当に尊敬していて。それで、Hof 映画祭(かなり良い映画祭だよ)に彼の写真を撮りに行ったんだけど、その時の彼は、僕が使っていたレンズに対して「自分ならこんなに大きなレンズは使わないのに」とずっとぼやいていて。でも実際に、彼の言う通りだった!あの頃は広角レンズにはまってたんだけど、彼を撮影してからはぴったりと使うのを止めたね…あのレンズでは、十分な現実味が出せないことに気付いたから。

ラスターノートンのカールス・ニコライ
これはいつも私が疑問に思っていることなのですが、例えばミュージシャンの写真を撮るとして、どのようなことをして、または考えて、撮影に挑むのでしょうか?このカールステン・ニコライの写真の場合とか…
基本的に、事前に物事を計画しようとするのはもう諦めたかな。どんなにモデルになる人物の音楽を聴いたり作品を見たりして構想を練っても、本人に会った瞬間に考えていたアイディアがその人物には全然合っていないと気付くとか、本人がそのアイディアを気に入らなかったとか、色々あるからね…。
まず先に会ってみて、撮影の構想を話し合ってみて、それからようやく撮影の本番に入るんじゃないのですか?
いやいや、誰もそんな余裕はないさ!一番良いのは、現場に早く入ってその人物をできるだけよく知って、その人の反応に即興で応えること。その人のキャラクターに合わせないといけないんだよ。このカールステン・ニコライの写真と同じことをやっても、例えば…ジャズ・ミュージシャンなんかには絶対駄目。アイディアっていうのは、その人物と会ってみて初めて出てくるもの。自分でどういう撮り方をしたいのかを考えたとしても、別の人間に対して同じアイディアが湧き得ない時点で、それはもう「自分だけのアイディア」ではないんだ。まあ、こういうのはなるようになるものだよ。写真の構想をどう練るかというのは、本当にとても興味深いプロセスだね…。

では、このレディトロンの写真の意図は?
それには意図とかは全くないよ!その写真は、これまででも最悪の一枚だったとネガを見て感じたね、どちらかというとスナップだ。リバプールの地下鉄で撮影したかったんだけど、ドアを出た瞬間に「この照明なら結構いけるかも!」と思ってそれを撮って。結局背景が酷くて、後からフォトショップでかなり弄らないとだったよ。
貴方は一時期、写真家としての活動を休止してレディトロンのベーシストとして9ヶ月間もの欧州ツアーに参戦されていますよね。リバプールで一緒に過ごした時間はどんな感じでしたか?
ハードだった!今まで行ったどこと比べても、あそこが一番激しい経験だったと言わざるを得ないね。攻撃性やパーティーとドラッグで溢れてて…いや!実際にはリオの方がもっと激しかったけど。日本は本当にくつろげるね!


ベルリンにいらっしゃった時に、当時はまだ有名になる前のミュージシャンの写真を沢山撮ってらっしゃいますよね、チリ・ゴンザレスやピーチーズのような。その時のお話を聞かせて下さい!

ミニチェフというバンドでやっていた時は、自分だけの「ファッキー」という小さなインディーズレーベルを作って、全曲自分たちでプロデュースしてた。他の誰よりも持ち歌が多かったけど、全部覚えていられなくて(笑)。リハーサルする度に、前日にやった曲が思い出せなくて新しい曲を作って…。一時期は曲を留守番電話で録音していたから、レコードは全て音質が最悪な上にピーーーーッ!という音で始まるんだ。
そのあとジーンズチームと一緒にやり始めたんだけど、彼らは成功して有名になって、僕らは写真家、レコード収集家、それにお母さんになった!(笑)

ジーンズチームは、ドイツ人らしく完璧主義のバンドで、両手を使った生の音で演奏をすることに高い誇りを持っている。だけど、実際に彼らの音を聞いてみると、まるでMIDI音源のように聞こえるその正確さがすごい!
彼らは1曲を6ヶ月もかけて練ったあとに、いきなりその曲を昔から演奏していたかのように弾けるタイプ。まるで、何もない空中からスッと取り出したかのように。そんなところが大好きだ!

それから、コンラート・シュプレンガーと、僕が高く評価しているクリスチャン・フラムのもう一つのプロジェクト「グループ・オブ・ピープル」とかいう名前だったかな?も、気に入ってる。良い仕事をしてるよ。それにボアダムスも!…だけど、あまり「ベルリンっぽく」はないかな…。なんにしろボアダムスはいいよ!それからパナソニック!マシャ・クレラ、コメット、あとは…って、永遠に続けられそうだけど、それじゃインタビューがパンクしそうだな(笑)。
数年前には、当時ベルリンのアート界のるつぼだった「ベルリン・東京」というクラブに6年間ほど出入りされていましたよね。そこで、貴方をリオから東京に呼び寄せて、今回東京デザインウィーク中に標準的肖像プロジェクトでコラボすることを提案したラファエル・ホルツォンと出会われたそうですね。


そう、それで連中が東京で楽しんでいる間に、僕は一日中コンテナ展をフラフラしながら作品を見せて、標準的肖像プロジェクトのために更に写真を撮って、コーヒーを飲みながらコンテナの扉の間からデザインウィークを見て…。
ベルリンで最初に出会った時はどんな印象で、そこから何がどう発展したのでしょうか?
彼と最初に会った時は、誰なのかもろくに分かっていなくて、ギャラリー、ベルリン・東京の創始者だとはとても思わなかったね…。サインペンで「MÜTZE」(帽子)という文字を入れた黄色の野球帽を被っていて。あの時はぼんやりした印象だったけど、あの帽子だけは忘れられないね!(笑)

僕はもうかなり長いこと、ベルリン・東京の公式写真家みたいなものになってしまったようで。正式には、あそこはギャラリーであってクラブじゃないんだけどね。でも、面倒な許可手続きとかを避けるために、ギャラリーという名目で、毎晩オープニングがあるってことにしてるらしい。これがベルリン流のやり方なのかな。地下にあるとても小さなクラブで、いつも変なコンサートやらおかしな展示会が行われていて。すごく活気溢れる場所だったよ。

ピーチーズ。コンタクト・シート。チリ・ゴンザレスのアパートにて。

ピーチーズ。コンタクト・シート。チリ・ゴンザレスのアパートにて。
チリ・ゴンザレスも、最初の曲を出す前にはもうあそこで演ってたね。彼は、いつも自分の前に演奏したバンドの機材をそのまま使っていたから、そのバンドの連中もバーで一杯やったあとは「うわ!またあの変なのがピアノを弾いてる!」ってことしか頭になかったと思う(笑)。
ピーチーズを撮ったのは、彼女がベルリンに来たばかりでチリ・ゴンザレスのアパートに居た時、チックス・オン・スピードは、まだギャラリーのスタッフとして働いていた時かな。
セバスチャンのこれまでの作品を見て
あら!あのアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの写真ね!前に話してくれたこの忌まわしき撮影のエピソードはここで繰り返すとまずいかしらね…。
あれは言えないね!誰かについて文句を言ったことはあまりないけど、Xxxxx Xxxxxxxは本当にXXXXXXXだよ!

これは、今ドイツで前衛芸術家として活躍している、ステファン・ミュラーとトム・ジップの写真。ステファンは今ではとても重要なギャラリーとなったギャラリー・ナーゲルに居るし、トムはロンドンのサーチ&サーチでとても大きな絵を描いている。

音楽誌スペックスのための写真を撮っていた時、一番楽しかったと感じた撮影はどれでしたか?
マシャ・クレラのは楽しかったね!彼女を撮るのはすごく良かったよ。

それから、ジミ・テナーも良かった。撮影の前に、皆から「あの人は最低だから、嫌な思いをするよ!」と言われたんだけど、ベルリン郊外のゴルフ場で会って、最高に楽しくて出来の良い撮影になった。彼はいつでも皮肉っぽい物言いをするけれど、物凄く的を射た、素晴らしいユーモアのセンスの持ち主だよ。

誰かが、貴方は「究極のフォトショップ修整達人」だとこっそり教えてくれたのですが、本当ですか?それから、貴方のホームページにある「Mask」(マスキング)というのは?
依頼では「普通の」女性の自然体な写真が欲しいということだったから、依頼人側で自分のところの女性社員を集めて、ハンブルグの大きなスタジオで、メイクさんが1人に1~2時間もかけて朝一番のすっぴん顔に見えるメイクをして撮影したんだ。その写真をクライアントに見せたら、「実は少しだけ修整して欲しいのだけれど、どうでしょう?」と言い出して。それであちらこちらを適当に綺麗にして、ちょっとだけ完璧にして送ってみると…もっとやってくれって言ってきた!この目が低すぎる、この肩が高すぎるだの…それで、目の部分を切り抜いたり貼り付けたりして、肩はミラーで鏡映しにして…1週間の修正の後には、本当に「完璧」で、ものすごく「不」自然になってたよ(笑)。

今回、東京では何をされる予定ですか?
SANAAっていうアイコン・マガジンに出ている二人組の日本人建築家の写真を撮って、来週には雑誌TOKIONのシリルと会って撮影の打ち合わせかな…既に良い感じになってきてるかも!

ファッションの仕事もしたいかな。実はファッションは大嫌いなんだけど、それを変えたいからそれ関連の仕事をしてみようかな、とか(笑)。
今後の計画とか、東京での生活の予定などは?
もっと大きなアパートを買うためには…(笑)
いや、全てが興味深いと思ってるよ、本当に。東京のクレージーな人たちも撮りたいと思うね。
あら、それは忙しくなりそうね!(笑)貴方の気に入るお仕事が見つかるよう祈ってます!それに、まだ日本に来たばかりだというのにもう依頼も殺到しているみたいですし、頑張ってください!
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[...] 二人の作品のご覧になった方はぜひ、その感想をお聞かせ下さい。(英語ページのコメントはご本人達が直接ご覧になります!)そして、今回リー&リアの素敵な写真を撮ってくれたセバスチャン・マイヤーさん、本当にありがとうございました! [...]
Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » DRIFT:音と映像の相乗効果 @ 4月27日2007年
[...] - Gursky’s “99 Cent” Prints Fetch Millions At Auction →アンドレアス・グルスキーの “99 Cent” という作品が、Phillips de [...]
Posted by: 写真 VS 絵画 | murmur @ 8月24日2008年
I would like to start a jobs website using Joomla or Wordpress. Is this possible?
Posted by: Personal Training @ 11月8日2011年
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