ペットボトルをなくすため、再利用するためのデザイン

2006年11月9日 カテゴリー: イベント/展示会, プロダクト, 環境・福祉デザイン

ペットボトルをなくすため、再利用するためのデザイン

先週行われた「Design Tide」の企画展「Treasured Trash」より。遠山敦xASYL CRACKによるタンブラー。

東京での一人暮らしは、不燃ゴミとの戦いだ。ペットボトル、お惣菜の容器、お醤油の袋、化粧品やシャンプーの容器、DMが入ったビニール袋…。とにかく、ありとあらゆる物が不燃物。そして、その中でもますます増加するゴミ、ペットボトル。ユニクロは、ペットボトルを再利用してフリースを作っているけれど、どれだけの人が実際にペットボトルをリサイクルボックスに入れ、フリースを着ているのだろう?自分達が使っているペットボトルの量を考えたら、私達は常に全身フリースでいるべきじゃないのだろうか?フリースを着る以外に、私達が出来ることはないのだろうか?今日は、先日行われた「Design Tide」のイベント「遠山敦 × ASYL CRACKライブペイントショウ」の様子と共に、ペットボトルの問題について考えてみたい。

作:チエミ

ゴミ箱から溢れるペットボトル…。日本のペットボトルが無色透明なのはリサイクルを考慮してのことだそう。

ペットボトルをはじめとする日本の不燃ゴミの問題は深刻だ。東京都江東区にある夢の島や、北海道札幌市にあるモエレ沼公園は、不燃ゴミの埋め立て地でありながらも、今や沢山の人々に愛される憩いの場所になった。しかし、私達が日々出している大量のゴミを本当に全部埋め立てたとしたら…。近い将来、日本は全て地続きになってしまうかもしれない……。では、私達が個人レべルで出来ることは何だろう?それはゴミを作らないこと。そして、出してしまったゴミをリサイクルすること。

彫刻家イサム・ノグチによってデザインされた北海道札幌市のモエレ沼公園。ここには約270万トンものゴミが埋め立てられている。

先週金曜、東京で行われた「Design Tide」の企画展「Treasured Trash(タカラモノニナッタゴミ)」のイベントとして、“Treasure(タカラバコ)”をテーマに、イラストレーターの遠山敦と、クリエイター集団ASYL CRACKの佐藤直樹による「遠山敦 × ASYL CRACKライブペイントショウ」が行われた。

こちらのイべントでは、遠山敦氏がその場で描いた作品を使って世界で一つしかないタンブラーを制作。また、「Treasured Trash」の作品の一つであるペットボトル用の資源バコに佐藤氏と遠山氏が共同でペイントし、単なる“資源バコ”を“タカラバコ”へと変えていった。タンブラーにもっと注目することでゴミを出さないようにし、また資源バコを魅力的に見せることで、ペットボトルをもっと再利用しようという狙いだ。


遠山氏(右)は、「24 Hour Party People」の装画や、横浜ベイクォーターのオープニング・グラフィックスなども手がけている

無造作に積まれたスポンジ

スポンジでゆっくりと線を描いてゆく

次はハケを使って…

更にはスプレー缶の底を使って…

ドライヤーで次々と乾かされてゆく作品

今回のライブ・イベントの共同プロデューサーである、Philの市川恵一朗氏にこのイベントついて伺ってみた。

「今回のイベントは、giftというクリエイティブ・ユニットとASYL CRACKさんがプロデュースした企画展「Treasure Trash(タカラモノニナッタゴミ)」の一部として行われました。ASYLさんの方から何か一緒にやらないかと誘われて、“ゴミではなく資源。価値あるものがゴミに変わらないようにしたい。”という話に賛同したことがきっかけです。ゴミをゴミと呼ばせないために何が出来るか、最初からゴミを出さないために何が出来るか、とかそんな話をしながら企画は進んでいきました。そして、ただ単にライブ・ペイントするよりは、持つことや使うことが楽しくなるようなものを作りたいという結果になったのです。会場となった東洋ビルの一階は以前眼鏡屋さんで、タンブラーを展示していた棚は当時の物なんです。ドローイングに使用した紙も実は再生紙で、小さなことにこだわりながらイベントを企画していきました。」

企画書の一部を拝見。熱意が伝わってくる。

ASYL CRACKの佐藤氏がペットボトル用の資源バコにカッティングシートを貼ってゆく

その上から更にペイント。

思ったよりペイントの乾きが遅いよう

見守るお客さん

タカラバコになってゆく資源バコ

一方、こちらは専用の型を使ってタンブラー用に切り抜かれてかれてゆく

完成!カラフルで可愛らしいタンブラーは、見る者をウキウキさせる。

遠山氏のイラストがセットされたこれらのスペシャル・タンブラーは、イベントの間に展示即売された。その可愛さに思わず手に取って、「これってコーヒー用じゃなくてもいいんだよね?」と、利用方法を模索し始める人もいる。

遠山氏とASYL CRACKの佐藤氏によるタカラバコも完成!ここに入れられたペットボトルは、素敵な何かに生まれ変わるのだろう。

こちらが、タカラバコなったペットボトル用の資源バコ。ちなみにサイズの違う3つの穴はペットボトル本体、キャップ、ラベルを分別する為のもの。実は、ペットボトル1本をリサイクルするにしても、分別が必要。しかし、ペットボトルは不燃ゴミの中でも比較的簡単に分別出来るものだそうで、このように資源バコがペイントされることで、分別が楽しくなってくる。


タンブラーの方は、まだ販売中。お客さんから「この辺を切って下さい」というリクエストも。その様子はまるで魚屋さん。

2時間のライブ・ペイントの終了時、挨拶をするASYL CRACKの佐藤さん(左)と遠山敦さん。お疲れさまでした!

今回のイベントを見て、気づかされたのは「デザイン」の力の大きさだ。「デザイン」することにより、何かを魅力的に見せ、沢山の人々の興味を向かせることが出来るのではないか、ということ。そして、何かが「デザイン」されることによって、無意識にでも、このような問題を少しずつ変えられるのかもしれない、ということ。


同じく会場で販売されていた「水筒」。デザインを担当したのは、タナカカツキ、ポール・デイビス、遠山敦xASYL CRACK、MOGRA。

そして壁に貼られた企画展「Treasured Trash」のロゴ

「ゴミ問題」と一言に言っても、正直ピンと来ない人は多いだろう。ましてや、実際に自分が動いて何かをするという所まではそう簡単には至らないかもしれない。しかし、デザインされた物を実際目にすることで人々の意識は大きく変わる。これからも沢山の素晴らしい「デザインの力」が、環境問題を解決するきっかけになることに期待したい。

取材に協力して頂いた皆さん、有難うございました。「Design Tide」の他の展示の様子は、明日の特集でお伝えします!

7 コメント

  1. カナダのモントリオールではタンブラーを持ち歩いていて当然で、大学では忘れた人はデポジットを渡して借りなければいけないそう。「環境問題を気にしてないなんて、カッコ悪い」くらいの意識が、日本にも生まれれば良いのかもなぁと思います。

    Posted by: emi @ 11月10日2006年

  2. 見守るお客さんも参加しないと意味ないんじゃないですかね。これではデザイナーのマスターベーションで終わってしまうように感じます。一般の人が自分でもやってみよう、と思わせるイベントであって欲しい。これでは「リサイクルのためのデザイン」が飽きられまたゴミが出ますよ。

    Posted by: morrow @ 11月14日2006年

  3. [...] Design Tideに行った方々にとっては、会場3階の粘つく床の話題が暫く絶えないと思う(開場直前に、誰かがカーペットを引き剥がしたためのが理由らしい)。それは展示とは全く無関係なものの、会話のきっかけには丁度良かったかもしれない(「こんにちは。あそこにくっついているのはそちらの靴でしょうか?」「いえ、私のはもう2時間も前に失くしてしまいましたよ…」的な)。雰囲気が超フレンドリーで、もう心温まると言っても過言ではないだけでなく、Design Tideのスタッフは特に持続性と再利用性やデザインに対する全体的な意識に重点を置いているのが素晴らしかった。 [...]

    Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » 東京デザイン・ウィーク2006レポート @ 11月14日2006年

  4. デザイナーのマスターベーション?
    これは公開制作ですから、それは当然だと思います。ただ絵を描いて終わりという趣旨ではないですし。

    Posted by: ssssssa @ 11月27日2006年

  5. [...] (Ps. Conscious PingMag readers probably know, that there are some customizable tumblers out there. At Design Tide’s Treasured Trash they demonstrated “How to design your own mug”. Best environmentally-conscious design idea introduced at Design Week this year!) [...]

    Posted by: PingMag - The Tokyo-based magazine about "Design and Making Things" » Archive » 10 last minute Christmas presents @ 12月22日2006年

  6. [...] カラフルな色使いと沢山の動物達が印象的なイラストレーター・遠山敦の作品は、見る者をウキウキさせる幸福感で溢れている。今年11月初めに行われた「Design Tide」では、企画展「Treasured Trash(タカラモノニナッタゴミ)」のライブ・イベントで、ASYL CRACKの佐藤直樹氏と共に、ゴミを出さないための素敵なアイディアを私達に教えてくれた。今日は、小さな女の子のパパでもある彼から届いた、可愛らしい季節のご挨拶を紹介したい。 [...]

    Posted by: PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » イラスト・シリーズ#2: 遠山敦 @ 12月29日2006年

  7. [...] [Link] ペットボトルをなくすため、再利用するためのデザイン (PingMag) [Link] スーザン・ベル|BLOG | NEW The New Shoppingbagスペシャル [Link] [...]

    Posted by: 魯祐の巻物 | yousakana no makimono - タカラモノニナッタゴミ – treasured trash @ 2月7日2010年

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