
ゲルマンは、「デザイン・マシーン」というデザインとブランド設定会社を経営するニューヨーク在住のグラフィック・デザイナーだ。それ以外にもデザイン哲学の著書や、多くのデザイナー理事会に連ねられたその名前は、雑誌などでも馴染み深いものである。数ヶ月前にギンザ・グラフィック・ギャラリーで回顧的な個展を行ったそのゲルマンが、今またTDCの審査員として東京に戻っているのを機に、PingMagは、テクノ、ミニマルテクノ、テックハウス系の新しいアングライベントである「ミニマル・トーキョー」で、前座として出演されたゲルマンさんのパフォーマンスの合間にお話を伺った。
文:ウレシカ
訳:山根夏実

ゲルマンさん、いきなり本題ですが、貴方のデザイン作品は、「サブトラクション(引き算)」と呼ばれる鮮烈且つシンプルなデザイン哲学が特色ですね。この貴方のデザイン哲学を説明して頂けますか?
分野とか関係なく、創作の過程とは常に「引き算」のプロセスによって成り立っています。編纂して、不要なものを除去して、選択するということ。必要のないものを取り払うことによって、ある概念の本質や伝えたいメッセージ、主題などが明らかにされます。その反面で、足し算や積み重ねはどちらかと言えば学習的なプロセスに関わるものです。知識を得るということはあまり創造的な行為とは言えませんが、それがなければ引き算することもできない。そういうことです。
貴方のデザインはとてもミニマルですが、それが貴方らしさなのでしょうか?ミニマルなテクノ音楽とか、所有物は最低限を目指しているとか…。
所有物を減らそうとする努力はしていますが、それは中々思い通りには行ってくれません。僕としてはシンプルが好きなんですが、僕の人生自体は結構複雑なんです。ひょっとしたら、僕にとっての単純さとは、複雑さを理解して対応する為の道具というだけなのかもしれません。
じゃあ、遊び心はどうですか?楽しみ、愛情、人間らしさとかは…?
シンプルさや特にミニマリズムは、それ単体ではあまり感情的なコミュニケーション手段たりえません。ですが引き算は別です。僕の著書にざっと目を通して頂ければ分かると思いますが、ミニマリズムが例に挙げられていることは滅多にありません。引き算とは関与すること、均衡と不均衡、実質的且つ潜在的なエネルギー、からかい、文化的な関連性などで…本質的な問題を扱うものです。遊び心やユーモアも、とても大事な構成要素でしょう。僕の作品にも、沢山のそういったものを見出して貰えることを願いますね。


貴方のホームページに、「デザイン・マシーンに依頼をするには、依頼人は次の四つのカテゴリーの何らかに当てはまるべきである」と書かれているのが面白かったのですが、実際にはどんなクライアントがいらっしゃるのでしょうか?貴方が一番興味を持たれるのはどのようなクライアントですか?
クライアントはいつだって色々な理由から多彩な目的を持ってやってきます。でも、僕の興味はクライアント自体には向かないのですよね。


あら!全体的に見て、これまでの貴方の作品で一番気に入っているのはどれでしょうか?そして、その理由は?
銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーでやったショーの結果には満足しています。ちゃんと観客との接点を作ることができたみたいで。非常に満足の行くものでした。

オープニング前のギンザ・グラフィック・ギャラリーの様子

真ん中にいるゲルマンが見える?

僕の作品集「Subtraction」と「Infiltrate」は、面白い領域にまで進出していってますね。美的、そして概念的な意味において、この二冊は今後かなり長いこと有意義であり続けると思います。

ゲルマンの作品集「Infiltrate」。傑作!Photo©Emin

ゲルマン Photo©Emin
ニューヨーク・タイムズには、今でも寄稿していらっしゃるのでしょうか?
いえ、もうやっていません。政治に興味がなくなって、それ以来新聞を読むのもやめてしまいました。
では、今興味を持っていらっしゃるのは何ですか?それと、一番最近発表された作品はどんなものなのでしょうか?
デトロイト基盤の雑誌「Clear」と、ロンドンの出版社二社「.cent magazine」と「Drawbridge」への最新の寄稿ですね。ニューヨークのPPP editionsとコラボレーションで出版された本が二冊、渡辺克己の写真集「Gangs of Kabukicho」と、ウィル・ストローの「Cyanide and Sin: Visualizing Crime in 50s America」もあります。



それから、タカラトミー、それにスワロフスキ・クリスタルとのコラボも予定しています。あとは、ミニマル・トーキョーにも熱中していますし、来年にはまた個展がいくつかあります。
ミニマル・トーキョーは、少し前にイワン・プピレフが始めたイベントですよね。このイベントの何に、特に興味を持たれたのでしょうか?
僕はイワンの熱意やエネルギー、彼の周囲に集った人々が好きなんです!あと、ミニマル・トーキョーの名前もね!

僕としては、このイベントには素晴らしい未来があると思います。普段耳にする音楽とはまた一味違うし、お金のためのイベントではなく、純粋にこういうサウンドを楽しむ人のためのものだから。以前にもミニマル・トーキョーに行ったことがありますが、その時に最初の演奏をもう少し違う感じにした方が良いと思ってIvanにそう言ったら、僕にやってみてくれと言うので、今回やってみました。

そもそも、何がきっかけでDJを始められたのでしょうか?貴方にとってのDJとは?あと、DJにどれだけの重きを置いてらっしゃるのでしょうか?
レコードをかけ始めたのは80年代ですね。その頃には、ロックコンサートやレーザーとかライトショーでグラフィック投影もやっていました。90年代には、電子サウンドを使った実験もしていて、ファッションショー用のオリジナルスコアなんかも作りました。ライム・ライトやトンネルのようなニューヨークのクラブでやったこともありますが、ダンスDJではないです。音、動画、プリント、空間、光…これらは全てが同じ表現の一部であって、僕はあまり区別をつけようとは思いません。そこに関わる人々が気に入って、気分が乗ればやる、そんな感じです。
どんな音楽からインスピレーションを受けますか?デザインしている時は何を聴かれるのでしょうか?
レコード、CD、MP、ラジオ…何でも聴きますが、僕のコレクションの中ではテクノ音楽に重心が置かれていると思います。


以前に貴方の「創造性は不正確なものだ」という引用を読んだのですが、これはどんな意味なのでしょうか?貴方の意見では、正確さは長所だということなのでしょうか?
ちょっと僕が言ったとは思えないですね…。引用ミスじゃないかな?
そうなんですか…。私は、あなたの作品の正確さにとても感銘を受けていて、なんて言うんでしょう…あなたの存在自体が、完璧なブランドのようですよね!あなたの話し方や、その文章の構成や、そのまっすぐな意見や、ミニマルな服装や、あなたのGLMNという名前ですら…。そういえば、奥さんがあなたのことをアレキサンダーではなく、ゲルマンと呼ぶそうですね!

ゲルマンの「substraction」

ギンザ・グラフィック・ギャラリーの外の看板
そうでしたか!貴方の作品はとても強いブランド確立力を持ったデザインとして、最終的にはギャラリーなどに展示されるわけですが、ニューヨークのMoMAは貴方を「全てのメディアにおいて、最も影響力の強い現代・近代のアーティスト」に数えていますね。貴方個人としては、アートとデザインの境界線というのはどこにあるのでしょうか?
僕には同じようなものですね。ただ、アートとデザインでは、その経済が異なります。ビジネスの世界では、創造性をジャンルやカテゴリーで区切りたがりますが、僕はそれにはずっと反対でした。

インタビューに応じて下さってありがとうございました!それに爽やかなDJ演奏も!デザイン・ウィークの間には、偶然にあなたの小さなお子さんにもお会いできて嬉しかったです!その時、作品のサインを動かしてしまったお子さんが、ものすごく真っすぐに置き直した時は、本当に感動しました…。東京には頻繁にいらっしゃるようですから、またお会いしましょう!
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Posted by: cococoaki @ 7月9日2008年
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Posted by: TODAY WEBSITE : XLT78 WEBLOG @ 9月18日2008年
2 コメント
Posted by: christian louboutin @ 11月10日2011年
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Posted by: veteran lawyers @ 11月11日2011年