トワイライト・ゾーン:ドクター中松インタビュー

2006年10月20日 カテゴリー: Top Page 10, おすすめ, テクノロジー, プロダクト, 国内, 特集

トワイライト・ゾーン:ドクター中松インタビュー

ドクター中松のお宅の玄関は、巨大なフロッピーディスクの形。

日本の人ならご存知だろうが、ドクター中松はその辺の発明家とは訳が違う。フロッピーディスクの発明は有名だが、昨年は35年の研究成果である独自のReBody理論により、イグ・ノーベル賞も受賞した。それだけではない。彼はファックス機器や、磁気を使った鉄道切符、シンセサイザーを考案し、更に80冊の本を執筆したのだ。発明品は既に3218個に及ぶが(ちなみにトーマス・エジソンの発明の数は1093)、144歳まで生きる予定の彼は、それまでに7000の発明品を考え出すつもりだ。さて、ここまで聞いてあなたはどう思うだろうか?彼は私達の時代における、最も偉大な埋もれた天才なのだろうか?あるいは、単に発明品に埋もれた人なのか?今回PingMagは、このエキセントリックなドクター中松のお宅と研究所にお邪魔することにした。これはその奇妙奇天烈なロング・インタビューをまとめたものである。

作:ウレシカ
訳:橋爪美恵
写真:マリス・メズリス

発明品の数々を自著「ドクター中松の発明伝説」で説明するドクター中松。わずか5歳の時の発明デビュー作品がこれである。

全ては一杯のお茶から始まった…

ドクター中松:これは13種類のハーブから出来たおいしい飲み物で、飲むと頭が良くなります。これは私の発明「ブレンドリンク」です。

ありがとうございます!……お茶のような味ですね…?

「ブレンドリンク」のパッケージ

ところで、昨年「イグノーベル賞」を受賞なさいましたね。おめでとうございます!受賞理由を伺ってもよろしいですか?

身体の健康と脳に良い食べ物を見つける研究で、栄養学賞を戴きました。自分の食事を約35年間写真に撮り続け、何が健康に良く、何が悪いのかを分析したのです。

世界初のフロッピーディスクは、他でもないドクター中松により発明された。

面白い!IBM社に対し、フロッピーディスク、ハードディスク、テープ転送に関する16の特許をライセンスされているそうですね。ご著書には、フロッピーディスクを考案なさったのはまだ大学生の時だと書かれてありますが。

ええ、実際に製品化されたのは35年後でしたが、考案したのはもっと早かったのです。

そもそも発明家になるきっかけはなんだったのでしょう?

私の母が、私が3歳の時に、物理、化学、英語、日本語、歴史、それからユーモア…これら基本的なことを全て教えてくれました。それで、私は5歳の時に最初の発明をしたのです。自動重心安定装置、現在飛行機が使っているものですね。


5歳で考案した最初の発明モデルと一緒に写る中松義郎。

「ドクター中松創研 第2巻」は中学校から始まり発明番号233から400までを掲載。そこに掲載されている初期の発明スケッチの一部。

14歳の時、ポンプを発明しました。寒い台所で、母が苦労して一升瓶から卓上差へと醤油を移し替えているのを見て、なんとか楽をさせてあげたかったんです。そのポンプは、今も石油を入れ替えるのによく使われていますよ。

私の発明の核となるものはお金じゃない。私の発明の心は愛なのです。


14歳の時に考案したオリジナル醤油ポンプ(醤油チュルチュル)。現在、このポンプ(給油ポンプ)は、近所のお店で手に入る。

創造(ドクターの言葉によれば「ピカ」)を生む五重の塔。ドクター中松は東京のエリート大学で、発明家になるための方法を教えている。

ご著書「ドクター中松の発明伝説」には、信じられない製品の数々が載せられています。多くはあなたのウェブサイトで購入可能ですね。ということは、ご自身は単なる発明家ではなく、生産もされているということですね?

普通、発明家は「考える」だけですが、私はそれでは不完全だと思います。発明家は、その思考過程の賜物をユーザーが使えるべく、製品を生産し販売するべきです。私の発明の3要素は「スジ=理論」、「ピカ=ひらめき」そして「イキ=実用」です。“アイデア”は“発明”のほんの一部に過ぎません。

発明家になるにはコツがあるのでしょうか?新しいアイデアはどのように生まれるのですか?

私は東京大学で哲学を教えていますが、これは(右上)がわたしの理論である「創造性の五重の塔」の図です。全ての基礎は強い精神であり、その上に強靭な肉体、熱心な勉強、経験が必要であり、それらが最後に、トリガー(誘因)体験へと導くのです。あなたの精神・肉体・勉強・体験を通して生まれたトリガーが、最後に実際の発明へとつながるのです。

「ひらめく」為の方法は?

酸素不足が重要です。

酸素の「不足」ですか??それって危険では?

大変危険です。ピカ(ひらめき)は死の0.5秒前にやってきます。私はひらめくまで水面に留まり、それを私の発明した特別な防水プレキシグラスのライティングパッドで書き留めます。

どのようにすれば天才的な発明が閃く?答えは簡単…。創造性のピカ体験をするまで、死のおよそ0.5秒前まで水面下にもぐっていれば良い。閃いたものをドクター中松の防水プレキシグラスに書き留めることをお忘れなく。(良い子は絶対にマネをしないでください)

それは頻繁に行われるのですか?新しい発明を考案なさるために、そんな風に自分を追い込むのですか?

もちろんです。

それが中松方式です。もう一つ、完全に静かな部屋「静の部屋」を使う方法もあります。全ての音と電磁波を遮断しているトイレでもいいでしょう。そのような「静の部屋」は、脳から雑音を消し去り、あなたを思考へと集中させるのです。

ドクター中松の黄金のトイレは、家中いたるところに配置された「静の部屋」のひとつ。邪魔な騒音と電磁波をシャットダウンして、心をクリアにし思考に集中させる。

その後「動の部屋」に行って、音楽を聴き、頭の中のいろいろな思考に耳を傾けるのです。発明には環境がとても重要なのです。

ドクター中松邸の「動の部屋」。音楽、パターン、質感、あらゆるものが脳を刺激し、脳の中のアイデアを混ぜ合わせて発明を創り出す。

なるほど…。ところで、“どのようにして”天才になるのかについて、ご自身の知識を伝授することに非常に熱心ですね。ドクター中松ハウスでは、「天才養成所」を開設なさっていますが、ちょっとご説明いただけますか?

そうですね、私はここで様々なことをしています…。ここでは「ドクター中松グリーンテラス」という29のゲストルームを貸し出していて、29人の天才が住んでいます。コンピューターの天才、芸術家の天才…。私と私の発明からのインスパイアを求めて、ここに住みたがっている人達があと100人程も順番を待っていますよ。私は毎月ここで精神、創造性、その他様々なことについての講義を行っています。歌も歌います。「発明のこころは愛のこころ」という歌です。

ドクター中松の歌」という歌なら、私も聴いたことがあります!それにしても、頭を良くする飲みもの、「頭においしい頭脳健康食品」、エクササイズ、歌を歌うことや、「セレブレックス」(電気を使って血液を増大させ脳の能力をアップさせるというイス)…。これらの発明は皆、頭を良くするためのものですね。


フッドレストからヘッドレストへ流れる特殊な可聴周波数が、血流を刺激して脳内シナプシスの活動を盛んにする。1時間のセレブレックスの使用は、8時間の睡眠に匹敵するほど脳をリフレッシュさせる。ドクター中松はこれを使って毎日昼寝をしている。

セレブレックスの仕組みを表す図解

次のドクター中松になりそうな人材はいらっしゃるのでしょうか?

いいえ。発明はとても難しいものです。

アメリカの大学のキャンパスで、友人の1人があなたのフライングシューズを履いている生徒を何人か目撃しています。アイリッシュ・アメリカンのヒップホップグループ「ハウス・オブ・ペイン」が来日ツアーで「ジャンプ・アラウンンド」を演奏する時、ドクターご自身もフライングシューズを履かれてステージで共演していましたね。あなたの発明で一番成功したのはどの製品でしょうか?どれがもっとも多くの人たちに使われているのでしょう?

私の発明はどれも100パーセント成功です。なぜなら創造性と発明の哲学に則っているからです。

ピョンピョン・フライングシューズを履けば、最小の力で空中に飛び上がることができる。

私は様々な物を創りました…サンプリングもですよ。サンプリングはシンセサイザーの基本です。だからミュージシャンはみんな私の発明を使っているわけです。あの盲目のミュージシャンは誰だったっかな…。

スティービー・ワンダーのことですか?

そう、彼は「これを創ってくれてありがとう」と私にお礼を言いに来ましたよ。


若かりし日のドクター中松。シンセサイザーと一緒に。

研究所にて。古いレコーディング装置やそのほかの発明と共に。

ドクター中松の研究所へ向かう途中、私たちは家中で奇妙なものに出くわした。その一つが階段の左側の不思議な勾配だ。ドクター中松に勧めに従い、それを使って(左足だけその勾配を歩いて)階段を上ってみた。このちょっとした仕掛けで階段を楽に上れることが分かった!

階段の左側にあるわずかな勾配で、上るのが楽に。

この最初のフロッピーディスク・ドライブはドクター中松自身によって、防空壕に使われていた木を使って作れられた。彼はフロッピーディスク技術の根幹を成す磁力と光のセンサーで、IBMより20年も早く、1952年に日本の特許を取った。

多くの賞に交じって額に納められた、ドクター中松による最初のフロッピーディスクの一つ。8インチなのでかなり大きい。ドクター中松研究所にて。

…研究室に入ると、まるで彼の博物館を訪れたかのような感じがした。全ての発明は、試作品か最終的な製品のいずれかで展示されていた。セレブレックス・チェアー、初めて作られたフロッピーディスク・ドライブ、そしてドクター中松の「革命的ゴルフパター」。

この革命的パターを生み出すのにドクターは15年を費やした。ドクターがこれを発明した理由、それはゴルフが苦手だったからだ。「ジョージ・ブッシュ(父)元大統領、マーガレット・サッチャー元首相、そして日本の総理大臣ら各国元首たちもこのパターを愛用している」とのこと。

従来の5倍の確率で入るこのパターは、特殊なグリップとヘッドの形状により、打球の方向とスピードのコントロールを大幅に上げる。

これは何でしょう?モーターのようですが…。

ええ、これも重要な発明です。将来全ての車がこれで走ることになるでしょうね。「ドクター中松・ノストラダムス・vs・エンジンⅡ」と言います。これは水だけで動くので全く環境を汚染しないのです

水が燃料の「ドクター中松・ノストラダムス・vs・エンジンⅡ」

10年前「少年ジャンプ」に掲載されたドクター中松の漫画

(突然、上を見て気がついた…)天井に張り付いているこのちゃぶ台は何なのでしょうか??

ああ、これは私が両親と使っていたちゃぶ台です。このちゃぶ台を使っていた頃に発明をしたものですから、この部屋に置いてあるんです。

天井に…。

そうです。

ドクター中松は米国科学学会で歴史上5人の「世界一の偉大な科学者」に選定された。てこの原理で有名なアルキメデス、電磁誘導の法則のマイケル・ファラデー、ラジウムを発見したマリー・キュリー、交流システムの父ニコラ・テスラ、そして中松義郎だ。

現在は何を研究なさっているのですか?

色々なものがありますが、最新の発明は「ラブジェット200」でしょうね。ラブラブ香水液シリーズで最強です。この香水をつけるだけでお肌が若返りますし、異性を惹きつけることができるんです。

(全員笑う)

ラブジェットはバイアグラも真っ青の媚薬!男性ホルモン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の分泌を促すことで、安全に性欲をアップし、記憶力向上や皮膚の老化抑制も期待できる。ラブジェットは1999年日本で500万ドルを越す売り上げを記録し、同年にアメリカにも上陸を果たす。ドクター中松はこの科学フェロモンが日本の出生率を押し上げることを願ってやまない。

机の上の車輪付のカツラは何でしょう?

これは今、渋谷のシネクイントで上映中の「ヅラ刑事」という映画の撮影用です。私も映画に出ていますよ。このカツラは私が映画用に発明したんです。

とても刺激的な訪問になりました!最後に、PingMag読者に何かメッセージはありますか?

皆さん…「発明の心は愛なのです」

研究所にいるドクター中松。彼を囲むのは、セレブレックス・チェアー、フライングシューズ、名誉ある賞の数々、革命的レコーディング装置、額に入ったジョージ・ブッシュ(父)元大統領からの手紙、そして車輪のついたカツラ…。

ドクター中松、大変興味深いお話を、本当に有難うございました!これからもどんどん発明し続けて下さいね!

3 コメント

  1. フロッピーディスクの発明は、IBMによるものです。
    中松氏が言っているのは「非独占的特許使用契約」のことではないかと思われます。
    こちらに詳しく有りますので、ご一読を。
    http://tinyurl.com/y2bygy

    Posted by: suicycle @ 10月20日2006年

  2. すばらしい記事ありがとうございます!それにしても動の部屋、すさまじい迫力ですね…。

    Posted by: みやっち @ 10月20日2006年

  3. [...] PingMag - 東京発 「デザイン&ものづくり」 マガジン » Archive » [...]

    Posted by: weblog : nozacs » Blog Archive » Dr. Nakamats @ 11月3日2006年

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