ケダイ:厳選されたバリのデザイン

2006年10月12日 カテゴリー: インターナショナル, プロダクト, 建築, 民芸・工芸

ケダイ:厳選されたバリのデザイン

「ケダイ」の屋根。「ケダイ」は、バリの素敵なレストランでセレクトショップ。

バリという小さな島は様々なもので溢れている。人々の笑顔、田んぼの緑、空気を満たす香ばしい匂い、椰子の木の下でマッサージを受ける観光客…。

作:ウレシカ
訳:山根夏実

私がこの島に惚れ込んだのは12年ほど前だったのだけれど、今回の訪問でいくつかのことが気にかかった。ウブドのショッピング街では、サロンと木彫りの店の繰り返しが永遠に続くような錯覚に陥る。こちらの店でも、道向かいの店でも、店内からはみ出したキリン型のCDラックが通り沿いに積み上げられていて、島中の道端に同じような商品が溢れ返っている。

この、もう誰も見向きもしないかのような品物を作るのに、どれだけの時間と労力と手間が費やされたかと考えると、とても惨めな気持ちになる。

ここ数年で、こういった店の数は爆発的に増加したものの、対象となる観光客は爆弾テロの一件で減少している。それ以外にも、今ここにある商品は何年も前からずっと売られ続けている、代わり映えのしないものばかりなのだ。世界中を旅して回った裕福な観光客が、未だにキリンの置物を欲しがるものだろうか?そんな人がいないとは言わないけれど、実際に家庭で使えるものが好まれる可能性の方が高いだろう。

人々が求めているのは、バリらしさを感じさせる工芸品ではないのだろうか。


色々なナプキン・リング

バリの香りが漂う、シンプルでエレガントな木製品

地元の店主や工芸家がこのような罠に陥っている現状を見て、半ば落胆しつつも、バリの工芸家の為のデザイン教養プロジェクトの可能性を考えながら歩いていると…暗くなり、足が疲れて立ち止まった目の前に、なんと今まさに願っていた「バリがもっとこうなれば良いのに」という理想に非常に近いものがあった…。

夜のケダイ・レストラン

レストランと“高級品のお店”ケダイは、海を臨むチャンディダサ(バリ島東部)の中心街にある。切り揃えられていない藁で葺かれた魅力的な屋根が完璧なメニューを誇るレストランの目印となっていて、隣の小さな小屋にはバリの手工芸品が置かれている。


レストラン内から見た、壮大な竹構造

レストラン、お店、リラクセーション・プラットフォームを覆う、典型的なバリ風の、切り揃えられていない藁葺きの屋根

この一味違ったお店を運営するのは、バリ人のオデクと結婚したアメリカ人のタラ・マーフだ。彼らの現代的バリ・スタイルのセンスは明らかに良いもので、島にあるシンプルな商品の中から最高のものだけを選んでいる。

ゆっくりと時間をかけて、厳選された商品の異なる質感を味わえる

バリに来られた方は、どこかでケダイの商品の一部を見られたことがあるかもしれないが、この広い、落ち着いた店内は厳選された品物が息づいて、その美しさを完全に引き出すことのできる場所だ。

色々な形の石の花瓶と、店の外観

私の目に留まったのは、このシンプルな石のソープ皿。ずっしりとした石の自然な曲線を残すことで、素朴で自然発生的な雰囲気を出す反面、どこのお洒落なお風呂にも合いそうな、シンプルで美しいオブジェとしての役目も果たしている。

重くずっしりとした石から作られたソープ皿

ケダイの商品は、そこらのお土産物屋さんで見かけるものよりはやや値段も張るのだけれど、その違いは品質と公正取引にある(スタッフの英語に間違いがなければ)。


伝統的なお碗

お値段は普通よりも少し高めだが、その分だけ素敵な雰囲気。ついでに、職人の見入りにも貢献できていることを祈る。

とてもフレンドリーな店員

本当に親切な店員や、お店の素敵な商品以外にも、レストランは行ってみる価値あり!この開けた空間で休憩しながら素晴らしい食事を堪能すれば、一日中歩いた後でもたちまち元気に。海に面したロマンチックな景色と、気持ちの良い海風、降り注ぐ蝉の歌で、最高の休暇になるはず。


バリ風前菜、ライムとピーナッツ・ソースの鶏肉のソテー。最高!

そこかしこに可愛い花々が

少しリサーチしてみると、タラとオデクがバリでいくつかの美しい建物やプロジェクトに関わっていることが判明したので、お二人はそれなりに成功しているのだろう。ホームページを見る限りでは、彼らは取引先の職人達と敬意を持って協力し合っているようなので、今後も地元の職人達にバリの伝統を汲んだ“現代風バリ・スタイル”に従事する機会を与えてくれることを願う。

シンプルな籠

シンプルでいて美しい職布の入れ物

もしバリに行くことがあれば、タクシーに飛び乗ってケダイを訪ねてみることをお薦めする。
ケダイ チャンディダサの店
住所:Jalan Raya Candidasa, Bali 80851
電話: +62 363 42020.

浸透性の火山石で作られたソープ皿

私自身はどう考えてもこの分野が専門ではないので、現地の職人や店主の為に何をすれば良いのかはよく分からないが、もし彼らが今のまま同じものをずっと作り続けていったらどうなるかという点を危惧してしまう。

それから、ケダイのやり方が究極の解決法であると奨励するほどには、私もまだケダイに関しての十分な知識がないけれど、数は少ないものの多岐に渡る商品や、品物の公正な対価を求めることで、私のような観光客に職人にも相応の取り分が与えられているのだと感じさせるやり方のほうが、賢いのかもしれない…と、思いたい!

皆さんはどう思いますか?

その他のケダイ商品と植物に水をやるくつろいだ感じの店員

この美しい島の全ての人に敬愛を。

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