
90年代のグラフィック・デザイン界に旋風を巻き起こしたデザイナーズ・リパブリックの元メンバーとして知られるマット・パイクは、現在、自ら設立したデザイン・スタジオ「ユニバーサル・エブリシング」の名の下、デザイナーズ・リパブリック時代とは全く異なったスタイルで独自の世界を展開している。今月20日より新宿・伊勢丹で開催されているセレクトショップ、コレットのキュレーションによる企画展「UK Jack OK!」に参加している彼に、最近の活動の様子を伺ってみた。
作:チエミ
まずは自己紹介からお願い致します。
マット・パイクです。シェフィールドを拠点としたスタジオ、ユニバーサル・エブリシングのディレクターをやっています。ちなみにシェフィールドは、英国の北の方です。現在は、世界中のコレボレーター達とアニメーション、プログラミング、プロセシング、ウェブ・デザイン、イラストレーションなど、とにかく様々なものに取り組んでいます。僕達に“ここ”と言えるスタジオはなく、i-ChatやEメール中心で仕事しているんです。現代的でしょう?(笑)

© Universal Everything

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ユニバーサル・エブリシングはいつ頃始められたのですか?
デザイナーズ・リパブリックに8年間在籍の後、2年程前に辞めて、2004年の9月にユニバーサル・エブリシングをスタートさせました。常時いるメンバーは僕だけで、サウンド・デザインのFreefarmをやっている僕の弟のサイモンや、ワープ・レコードのウェブサイトをデザインしたクレイバー、その他にもサンフランシスコ、ベルリン、アムステルダムなど世界中に15組程のフリーランスがいます。かなり大きなネットワークで、その輪はどんどん広がっていますね。
最近の活動は具体的にはどのようなものが多いのでしょうか?
今年、コレットがキュレーションをした企画展「UK Jack OK!」に参加しました。パリのコレットと、ロンドンのドーバー・ストリート・マーケットでも開催され、現在は東京を巡回中です。展覧会では、僕達の過去の作品を見ることが出来ます。


「UK Jack OK!」展が開催されている新宿・伊勢丹1Fザ・ステージ

こちらのモニターでユニバーサル・エブリシングの作品を放映中
その他だと、インストア・アニメーションやテレビの仕事、プロセシングの仕事が多いですね。プロセシングの仕事では、ウェブカムを使って動きを作り出し、アニメーションを反応させるんです。つまり、手を振ると、アニメーションが動くといったものです。
ユニバーサル・エブリシングのウェブサイトで作品をいろいろ見せて頂いたんですが、デザイナーズ・リパブリック時代のものとも随分違いますし、プロジェクト毎にスタイルがかなり異なっていますよね。

「Transistor Studios」のプレス用広告
© Universal Everything

「Lightning Audio」用のポスター
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そうですね。それが、実際僕がデザイナーズ・リパブリックを辞めた理由のひとつでもあるんです。彼らのスタイルはすごく独特で、例え自分達が何か新しい物に挑戦したくても、やって来るクライアント達は皆いつものスタイルを指差して「こんな感じで頼むよ」と言ってくる。だから、僕は色んなことを試してみたくなった。そして今はプロジェクト毎に違うスタイルにしているんですよね。そうすれば、見る人も「次はどんな感じでくるんだろう?」って楽しみにしてくれるでしょう?
確かにそうですね。それでは、最近の作品をいくつか紹介して頂けますか?
下の作品は、展覧会のプロモーション用映像で、展覧会自体を彫刻化したものなんです。この作品は、6月のワンドットゼロの開催中にも、ICAの大きなプラズマ・スクリーンで上映されたんですよ。

展覧会「For Everyone Forever」のプロモーション映像。まずは、名前から…。
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次にこの点が崩れて、展覧会のタイトル名に…。
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それがグルグルと回り始めて…
© Universal Everything

再びユニバーサル・エブリシングの名前とタイトル名…。
© Universal Everything

そしてさらにグルグル回りながら…
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過去の作品を紹介してゆく。
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この作品を一言で表現すると…
© Universal Everything
これは面白いアイディアですね。ある意味、とてもイギリス的な感じがします(笑)。
そうですか?(笑)次は、Nokia主催のスノーボード・フェスティバル用に作った携帯の着ビデオです。このフェスティバルに参加すると、その会場のみでBluetoothを使ってこの着ビデオがダウンロードできるようになっていました。
(アニメーションの視聴はコチラから)
音とビジュアルのシンクロ具合が面白いですね。
そうですね、そこがポイントなんです。このようにサウンドウェーブをデザインの一部として利用した作品を多く手がけています。音のデザインと視覚的なデザインの間に密接な関係がある作品、という意味です。つい最近、DVDの制作に取りかかったんですが、それはHDでサラウンドなんです。音楽は弟のサイモンが担当して、アニメーションは全てこのような感じになる予定です。僕はキュレーターとして参加して、いくつかの作品の制作にも携わるつもりでいます。
DVDの発売はいつの予定ですか?
来年の3月頃、フランスのDalbinというビジュアル・ミュージックのDVDレーベルから出る予定になっています。
次はモスクワに出来たNokia初の旗艦店用に作った作品です。店内には、28台のモニターが端から端に並んでいて、この映像はそこに流れるものです。ものすごく美しい建築物で、このアニメーションによってショップ全体の光を調節することが可能なんですよ。このプロジェクトは、2年間というかなり長期のものでした。
どの部分も素晴らしいですが、丸いオブジェクトがクラゲのようでとても印象的です。こういった幻想的なものを店内で大きなサイズで見るのはとても不思議な感じがしますね。
これは人工的な“人生”とでも言ったらいいのかな…。この点達がまるで人間のように他と出会って、友達を作っていき、そしてある時恋に落ち、そしてそれが赤くなると店内も赤くなる。見た感じは、まるで水族館みたいでしょう?生きているアニメーションです。
次も同じくNokiaのウィンドウ用の作品ですね。これもプロセシングで作られているんです。
プロジェクトに取りかかる時、注意している点はありますか?
いつも違う方法で制作することを心がけていますし、また新しい方法を常に探しています。
作品自体のアイディアはいつもどのように?
音楽と散歩から得ることが多いです。あまりいろんな物を見すぎないようにしているんです(笑)。「ニュー・サイエンティスツ」や「ナショナル・ジオグラフィック」などの専門誌は見ますが。あっちの世界だけでも、興味深いことが十分あるんですよ(笑)。散歩は大事です。しっかりと目を開けて散歩する。まるで、乾いたスポンジのように、そこにある物を見るんです。それからギュっとそのスポンジを絞ると、不思議とアイディアが溢れ出て来るんですよ。
マットさん、今日は本当に有難うございました。これからもどんどん新しい作品を作り続けていってくださいね。

とても穏やかなユニバーサル・エブリシングのマット・パイク氏
ユニバーサル・エブリシングの作品が見られるUK Jack OK!展は、10月3日(火)まで開催中。
UK Jack OK!展
(Curated by Colette)
会場:東京・新宿伊勢丹
出展者:マルタン・マルジェラ、コム・デ・ギャルソン、Show Studio、トレヴァー・ジャクソン、アラン・マッギーほか
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