
僕は最近、2週間ほどチベットに行ってきた。首都ラサでは、タンカを売る店を多く見かけた。タンカとは仏像や仏教教義を描いた、瞑想の時に視覚を集中させるのに用いる巻物のような壁にかける絵画のこと。ジウ・メイ・ヤン・ジンは、彼女の夫ドルーマ・ベンと共に「チベット・タンカ・アート」という店を経営している。今回は、この素晴らしい図像についてお二人にお話をうかがってみた。
作: アシュレイ・ローリングス
訳:ミエ

タンカ画家ドルーマ・ベンと彼の妻ジウ・メイ・ヤン・ジン
ここラサにお店を開いた経緯を簡単に教えていただけますか?
実はここ、去年の9月にオープンしたばかりなんです。主人はチベット北部アムド出身のタンカの先生です。アムドは今では中国語でクィンハイと呼ばれています。私達は4年前に知り合い、去年結婚しました。私自身は中国人ですが、私の友人達はチベット人ですので、協力してお店を持とうということになりました。ここで絵を描いて販売するのは夏だけです。秋には故郷の町に戻り、冬の間中絵を制作します。私がタンカとチベットが大好きなので、2人でここで暮らそうということになったんです。
お客さんはどんな人達で、どこから来るのでしょう?
以前はタンカが好きな外国人だけがやってきました。中国の人々はタンカを知らなかったのです。冬には多くの外国人が夫の故郷にやってきてタンカを買ったり、注文したりします。あの人達はタンカにとても詳しいんです。でも今年になってラサと本土の路線をつなぐ鉄道が開通して、中国人が国中から大挙してやって来るようになり、タンカは大人気となりました。ここに来て初めてタンカを目にしたような人達が、10,000元(150,000円)もするような、高価な大判のタンカを買って行くのです。北京から来たあるお客さんは、来年北京でタンカの展覧会を開くと言っていました。その人は主人の絵の細かさに感心し、北京でも出品できるよう招待してくれたんですよ。

それはすごい。お店にとっていいスタートですね!ご主人はご家族の方々に絵の描き方を教えて、次世代に技を伝えようとなさっているのでしょうか?
はい。わたしの主人も、彼の叔父も祖父も全員タンカ画家です。3人兄弟の長男である主人は、弟たちや従兄弟たち、そのほか生徒たちに絵を教えています。生徒は全部で60人おります。
彼のタンカ制作のアプローチは、伝統的なものなのでしょうか、それとも新しいやり方なのですか?
絵の基本的な構図は変わりません。主人はタンカについての本から伝統的な描き方を学び、古くからのスタイルを守っています。例えば、釈迦牟尼(しゃかむに)像は、いつも片手は地に触れ、片手は托鉢の鉢を持っています。この姿勢は変わりません。この2体の白いターラーは、2体とも蓮華座を組み、額と手足と合わせて7つの目(七眼)を持っています。でも仏陀像の周りの配置は、画家が決められます。雲をあちこちに浮かべようが、四隅に仏陀を加えようが自由なのです。メインの像さえ変えなければ、見るものはすぐにそれと理解できますから。


さて、絵はどのようにして描かれるのでしょう?
絵の下地は白い綿布です。主人は布の表面を一日かけて石で慣らします。それから絵の下書きを鉛筆で描き、弟子が鉱物顔料を使って広い背景部分を塗ります。

その後、主人が細部の色付けを行います。特に金色の部分ですね。そして最後に瞳を入れます。主人は早朝、この開眼の儀の前に祈りを捧げます。彼は絵を描く間よく祈りますが、弟は音楽を聴いている方が好きみたい(笑)。


彼が今取りかかっているのは、アメリカから注文を受けた、4本の腕を持つ(四臂)慈悲の仏、阿弥陀仏です。この工程まで一週間かかりました。すぐに金で細部を塗り開眼で仕上げます。

色塗りが終わったら、それを布の上にマウントするのは風習なのですか?
出来上がった絵は通常絹の布にマウントし、絵のふちに赤や黄色の布をあしらいます。ベースの布の色は好みなのですが、青が一般的ですね。チベット人は布にマウントしますが、中国人はガラスで額装したがりますね(笑)。

チベット方式の布にマウントされたタンガ

中国人客好みに額装されたタンカ
絵を覆う幕の色はどういう意味ですか?
はい、チベットでは早朝にタンカの幕をあげ、夜になると幕を下ろしてから眠るのです。赤や黄色が最もふさわしい色なのですが、最近ある外人の方が白を選びましたね。白を選ぶ人は初めてだったので覚えているんですが(笑)!でもちゃんとマッチしてましたよ!

最後に、お店に置かれている古いタンカについてお話いただけますか?どなたの作品でしょう?
実はよく分からないんです。タンカ画家は日付も名前も作品に入れないから。今でもたいていそうです。主人も頼まれれば日付と名前を入れますが、普通は入れません。タンカは祈りのためのものなので、作者の名前を入れるのはおかしいのです。作者は祈りの対象ではないのですから。

釈迦牟尼を描いたこのタンカは約200年前のものです。右下の隅には彼が故郷であるネパールのルンビニから広い世界へと旅立つところ、左手中央には彼が仏陀になったところ、上部には説法をし、右端では彼の死が描かれています。2500年前のこの物語は、今日でも人々を魅了しています。
本当ですね。今回の取材に応じてくださり、本当に有難うございました!
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Posted by: TristanFleurent @ 11月9日2011年
チベット・タンカのペインティング good post1054
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年