
カブトムシの「角」を頭につけた男達が、本番さながらの熱気で繰り広げる騎馬戦。現代美術家サクラヤスユキによるこのパフォーマンスは、「カブトプロジェクト」と名付けられ、東京、大阪、パリ、ニューヨーク各地の街角で突如として繰り広げられる。ここ、平和な日本では人と人が本気ぶつかりあって戦う姿なんて、テレビで見るプロレスくらい。でも思い出せ!人間も動物。本能むき出しで、戦う種族なのだ!近頃、本当に頭の芯に届くような衝撃を忘れてしまっているみなさん、このカブトプロジェクトを見たら、遠い昔に忘れてしまった何かを思い出すかもしれません。ニューヨークでホリデー中のサクラヤスユキさんに、カブトプロジェクトについて聞いてみた。
作:西田香織

© Sakura Yasuyuki Photography by Kensyu Sannohe

© Sakura Yasuyuki Photography by Kensyu Sannohe
サクラさん、この「カブトプロジェクト」とはどういったプロジェクトなんでしょうか?「カブトムシの角」と「騎馬戦」という組み合わせに何か意味はあるのでしょうか?
まずカブトムシの角ですが、これは人間の「本能」をあらわすシンボルなんですよ。そしてその「カブト」は、昔の武将達が合戦に挑む際に頭にかぶった「鎧兜(よろいかぶと)」に由来します。作家の明川哲也氏の言葉で僕が気に入ってるフレーズに、「カブトそれは野蛮再生装置そのものだ」というのがあるんですが、まさに本能の象徴であるカブトの角を身につけて合戦ならぬ騎馬戦に実際に挑んでもらうんです。昔の戦いをリアルに再現する、いわば「合戦図」の製作ですね。ただ、本物の鎧兜のかわりにカブトムシの角で、本当の合戦のかわりに騎馬戦で、という風にそれをパロディー化しているんです。
ちょっと横道にそれるけれど、ちなみに日本の兜といえば、様々な動物をモチーフに使った「変わり兜」も奇想天外なデザインが面白い。ウサギの耳や太陽の光、はたまた漢字(!)のタイポまでもを兜にくっつけてしまうのだ!これは、実戦用というよりは、自分の個性とステイタスを誇示する為の、デザイン兜だったそう。

変わり兜【刀】。カブトムシの角にも似てる。

変わり兜【うさぎ】

変わり兜【太陽】

変わり兜【愛】
ところで、カブトプロジェクトのきっかけは、9.11の同時多発テロだとお伺いしました。
その時、崩壊したワールドトレードセンターから数ブロック先にいました。スタジオの窓の外には、黒煙が上がるのが見えました。その日以降、スタジオに缶詰になってそこにあった粘土の塊をただ黙々と練りました。外では、「with pride」と書かれた星条旗の旗が配られていました。そんな中、粘土からこのフォルムが突きあがってきたのは一瞬のことでした。出来上がったのは、反り上がった角の形だったんです。もくもくと上る黒煙と、出来上がった角を見ているうちに、このプロジェクトを思いついたんです。

かなり大振り。© Sakura Yasuyuki/ size: 150(w)×650(h) mm
この頭につけることのできる角は、どうやってできたんですか?
その年の冬には、CGデザイナーの伊藤佳代子さんが角のプロジェクトキャラクターと、「合戦ごっこ」のルールを作ってくれました。あと、角の複製を作ろうと思ってメガフォン等を製造している三共理研株式会社さんに製品化をお願いしたんだけど、僕の作ったオリジナルでは、シャープすぎて型抜きできなくて、何度も試行を繰り返して、完成しました。出来上がった装着型の角を、肉体的な強いイメージから、ボディービルダーの近藤賢司さんにモデルをお願いして、それを写真家の小林紀晴さんが撮影して、現在のプロジェクトの形が出来上がりました。

その後NYだけでなく、東京、大阪、パリでも様々な形でこの角を使った活動をされていますね。
2003年にカブトプロジェクトのムービーの公開製作をNYで行いました。ビデオグラファーのロビン・アダムス、TVディレクターの中村英雄のコンビが、キャスティングした48人の黒人男性の合戦を撮影しました。合戦はもちろんパフォーマンスではあるのですが、やってるうちにだんだんとマネ事ではなくなってくるんですよ。彫刻家としての醍醐味は、本能的に発生する「武者震い」や、「身体がぶつかり合う時の骨のきしむ音」、「力を絞った歯軋り」それらを甦らせて彫刻として作り上げる事ですよね。

他にも、一般の方に角をつけてもらうという、カブトプロジェクトの特別版もあるらしい。マンハッタンと丸の内で、街中で角をつけてもらって撮影。また丸の内では、角をつけたモデル達が街中をウォーキングした。

街のカブトNYC編CALUMさん
© Sakura Yasuyuki/photo:HIROAKI SEO

街のカブトNYC編VICTORIAさん
© Sakura Yasuyuki/photo:HIROAKI SEO

街のカブトNYC編IMREさん
© Sakura Yasuyuk/photo:HIROAKI SEOi

街のカブトNYC編BADRIANさん
© Sakura Yasuyuki/photo:HIROAKI SEO

また、2004年には、大阪で日本写真映像専門学校の写真コースの学生達の授業に協力。角から、「働くお父さん」をイメージした作品では、学生達が道行くサラリーマンのお父さん達に声をかけ、角をかぶってもらったり、「就職難」にあえぐクラスメート達を屋上で撮影した「就職難カブトの戦い!」と題した作品を撮影している。

今後のカブトプロジェクトはどうなっていくんでしょうか?
実はカブトプロジェクトはどんどん進化しているよ。角のフォルム自体がコラボレーターを選んですすんでいるような気がします。楽しみにしててくださいね。

サクラヤスユキ氏
今年7月にNHK番組「トップランナー」の公開撮影にも挑んだサクラ氏。68人のラガーマン達が繰り広げた騎馬戦はどんなだったろう。収録の感想は?との問いには、「作品はやはり語れない。感じてもらえればいい。」とのご返答。サクラ氏が登場するOAは9月10日19:00~。サクラさん、OA楽しみにしてまーす!
6 コメント
ウェブマガジン「PingMag」及び、姉妹サイト「PingMag MAKE」は、2008年12月31日をもって休刊いたしました。これまで応援して下さった世界中の皆様、またご協力頂いた皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
PingMagの姉妹版、日本のモノづくり情報を世界に発信中!
PingMagから大切なお知らせ
2008年12月31日
板谷龍一郎:色鮮やかでユーモア溢れる世界
2008年12月29日
マギボン:YouTube発のネットアイドル
2008年12月26日
ベネデッタ・ボッロメティ:たくさんの元気をくれる不思議な絵
2008年12月24日
中銀カプセルタワービル:未来の建築
2008年12月22日
花村えい子:キュートでポップな60年代の少女マンガ
2008年12月19日
日本のハイテクトイレ事情
2008年12月17日
アミューズメント:アートやファッションと融合するゲーム文化
2008年12月15日
HIROCOLEDGE:現代に溶け込む新たな伝統
2008年12月12日
瀬戸正人:ビンラン売りの甘い誘惑
2008年12月10日










戦国武将と変わり兜をモチーフにしたデザインブランド「もののふ」を主宰しております。
http://www.mononofu.net/
こういった活動を行っていることを知りまして
9月10日の放映日が楽しみです!
Posted by: もののふ @ 9月8日2006年
>自分の個性とステイタスを誇示する為の、デザイン兜だったそう。
混戦の中で敵の首取った際、誰が取ったのか
分からなくなるのを防ぐという目的もあります
Posted by: 匿名 @ 9月8日2006年
かっこいいおれもさんかしたい
沖縄代表がいいなぁ
Posted by: ryukyu @ 9月15日2006年
DISCULPENME PERO SON CUALQUIEEEEEEEEEEEEEEEEEEERR COSASAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
Posted by: ketisshi-chan @ 6月16日2007年
SON CUALQUIEEEEEEEEEEEER COOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOSAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!
Posted by: ketisshi-chan @ 6月16日2007年
[...] サクラヤスユキ:本能を呼びさます!「カブトプロジェクト」 – PingMag [...]
Posted by: 最強の彫刻:サクラヤスユキ@NHKトップランナー | fixture.jp/blog @ 6月1日2010年