
僕が育ったニューヨーク北部地方の平均的な年間降雪量は約162cmで、毎年悪天候の為に休校になる日が結構な確率で訪れる。僕ら兄弟は、雪の日は朝食のコーンフレークを食べながらラジオの傍に張り付いて、それぞれの町のどの校区が休校になったかというニュースに耳をそばだてたものだ。近くのプレザント・ヴァレーという町は特にツイていて、雪の日が本当に多かったから、子供心にそこに住む子達は魔法のお守りを持っているのだろうと思っていた。
そこから25年分の時間を早送りしてみよう。僕がロサンジェルスの広告代理店に勤務していた時、フリーランス仲間の一人が友人の発行する文章やデザイン、アート、写真の面白い雑誌を紹介してくれた。彼は、その雑誌が少し前にUTNE読者の投票で賞を受賞したと言って、翌日にはそのシャーベット・マガジンを読んでみるようにと持ってきた。その刺激的な雑誌は見るからに、面白いコラボレーターのネットワークに恵まれた、素晴らしいデザイン感覚の持ち主の労力の賜物だった…。
文:イアン・ライナム
訳:山根夏実

僕はその後、カレン・リヴァースと共に件の雑誌の編集を手がけるダニエル・バイゼに連絡を取った。やり取りを始めた当初に、ダニエルが例の魔法の町プレザント・ヴァレー出身である事が判明(やっぱり!)。彼は子供の頃の幸運の魔法を維持し続けたに違いなく、カレンもどこか他の町の魔法の名残を持っているようだった。この二人は、誰しもが自分のチームに欲しくなるような創造的博学者で、個性的且つ楽しいギャラリー用の作品やストリート用の作品を作っている。二人とも多くの時間をデザインに費やしていて、ダンはデジタル・エンターテイメント・サイトのヘビーで、カレンはデザイン会社のペンタグラムで活動していた。
4月には、二人はコニー・アイランドのボードウォークで苺ショートケーキ屋台を開くことを発表した。そして、この二人の最新のプロジェクトは、文字通りのコニー・アイランド・ショートケーキと命名された。
PingMagでは、熱波にやられたニューヨーク市民に美味しいデザートを配るダンとカレンに手を止めてもらい、二人の創造活動の話を聞いてみた。
苺に取り掛かる前に、いくつか質問させて下さい。まず、お二人のコラボレーションはどうやって始まったのでしょうか?
ダンはコロラド州のデンバー在住で、時間の許す限りシャーベット・マガジンの発行、アートショーやシャーベット関連のイベントの企画、フリーランスのデザイン仕事や、またデンバーのコミュニティ・カレッジでデザインを教えたり、絵を描いたりしていました。カレンはニューヨーク市在住でペンタグラムに勤務していて、悪名高い新ゴグ機プロジェクトの「歩く人」をニューヨーク中に設置して回っていました。

なるべく本物に近く…。カレンの「歩く人」が新鮮なビートでロックする

ソーホーに設置されたパンク少女の「歩く人」

ノリノリ!

こちらはヘッドスピン!
初めて一緒に仕事をしたプロジェクトは、ダンがデンバーのアンデンケン・ギャラリーから依頼された「オーダー・オブ・オペレーションズ」という、エヴァン・ヒーコックスやジャロッド・ストゥルザッツとのグループ・ショーでした。その時の作品は、120cm×50cmの複雑な都市景観でしたね。

カレンが巻物状に切り抜かれたビルのレイヤーをもう一つ作品に重ねた事で、素晴らしい奥行きが生まれました。このコラボは大成功で、それ以来ずっと一緒に仕事をしています。



お二人はサンダーカットという名前でコラボレーションされていますよね。これまでに、どのようなジャンルのプロジェクトをされてきたのでしょうか?
私達は、サンダーカットの名前でストリート中心の設置作品や標識、ギャラリー向けの作品を作っています。最近ではもう少し合法的に行く為に、同じ名前で印刷やウェブ・デザインも始めました。


ブルックリンのダンボにあるハルシオン・レコードの為に制作された木版ロゴ
ストリートでの作業で、法的に危ない事になった経験などはありますか?
コニー・アイランドでのマーメイド・パレードの朝、歩く人の人魚バージョンを設置しようと8時に現地に向かったんですが、通りが既に準備の警官でごった返していた事があって、あれには参りました。僕らが人魚を取り付けようと思っていた横断歩道に立っていた時に、12番街の方からゴミ収集車が向かってくるのが見えたので、交差点に差し掛かった時に横断歩道の前でちょっとだけ止めて警官の視界を遮ってくれないかと頼みました。作業員の方は「いいよ」と言って、警官が近付いてくるのを見張る事までしてくれましたね。皆さん、ありがとう!


あと、「“歩く人”の作り方」を撮影していた時、「歩く人」を取り付けた後にダンが改造車を貼り付けたんです。カメラだけに向けて、本当に一瞬で終わらせたのですが、貼り付けてから交差点に向けて歩き去った時に、間違いなく全てを見ていたであろうパトカーが赤信号で停車していたのに気付きました。でも、向こうからは何も言ってこなかったので、私達もそのまま歩き去りました…。
近日中にショーの予定などはありますか?
ありますよ。オランダのロッテルダムで開催される「アブソルート・サーチ」(アブソルートウォッカとCBKの協賛)というショーに作品を送るところです。
その他には、私達の「歩く人」映像が今オランダで巡業中の「インパクト・フィルム・フェスティバル」で認められました。

いつから、そしてどのような目的で「シャーベット」の作業を始められたのでしょうか?
シャーベットは2001年の夏に始まって、創刊号は2002年の1月に発行されました。シャーベットの基本的な考え方は、私達が影響を受けたもので他の人にも影響を与え、なおかつその周りでコミュニティを作ろうというものです。


雑誌としての目標は、シャーベットをもう少し定期的に発行して、他の出版者や団体とのコラボレーション作品にもっと取り組みたいと思っています。雑誌のコミュニティ面に力を入れたいですね…。
最新号の見所は?
最新号の新しい見所は沢山あります。製本は無線とじ(接着剤のみでの製本)で表紙には黒の台紙を使いましたし、ページ数も64ページまで増やしたんです。この号には、6インチの社会の距離定規、NOBOTメディア(コロラド州デンバー)のCDが1枚、スマイリング・ディジーズ(オレゴン州ポートランド)の自作ポストカード1枚がついて、更には専用の見出し書体をロンドンのルーク・プラウズにデザインして貰いました。今までの中で最高の出来です。

人類が設計した最小の仕切り作業小部屋で微笑む髭の男性
それでは、いよいよデザートの話題に!苺ショートの屋台を始めようと思いついたのはいつですか?
ショートケーキ屋台を始めようと思った理由は多数あります。その内のいくつかを挙げれば、私達は2人ともグラフィック・デザインの仕事をしていて、その結果ここ4~5年は夏の間もコンピュータの画面の前に座りっぱなしでした。それで、去年中に少し変化が必要だという結論に達して、2人とも仕事を辞めてアート作業に専念したり、シャーベットに費やす時間を作り、フリーランスの仕事も入れた上で、夏の間はこれまでしてきた事と全く違う事をやってみようと思ったのです。
ここ数年の間話していたアイディアの一つが、コニー・アイランドに苺ショートの屋台を開くことでした。
コニー・アイランドは、ニューヨーク市内では私達のお気に入りの場所で、夏場には頻繁に足を運んでいたので、そこで過ごす時間が増える事はとても魅力的でした。また、コニー・アイランドが近いうちに変わってしまうかもしれないという話を耳にしたこともあります。開発者が土地を買い上げていて、多くの人が話しているように、今コニー・アイランドがある場所に巨大なショッピング・モールを作るという噂があります。それで、今やらなければ二度と機会はないかもしれないと思いました。

この日のお客様をご紹介

死人さえも拒めない美味しさ!

おジイちゃんもショートケーキを食べに

ショートケーキ好きの小さなお客さんはお隣のお店から

ストロベリー中毒のお兄さん
苺のショートケーキに決めた理由はいくつかあります。まず、コニー・アイランドはとてもアメリカ的な場所で、苺ショートもとてもアメリカ的なデザートだからというのが一つ。苺のショートケーキは伝統的で、子供の頃を思い出させてくれるし、何よりも美味しいし、私達が知る限りではコニー・アイランドに他に同じようなものを売る屋台がなかったというのがその他の理由ですね。あと、他の売り物に比べれば、そこまで身体に悪くもないというのがあります。
これは季節限定のプロジェクトなのでしょうか…?
ええ、これはもう確実に期間限定のものです。コニー・アイランドに人が来るのは、大抵は夏だけで、他の季節にはかなり廃れてしまいますからね。来年もやるかどうかに関しては、まだ決めていません。
コニー・アイランド・ショートケーキ(インタビュー・シリーズ)はどのような意図で始められたものですか?
コニー・アイランドの人々をもっとよく知りたかったのです。まだまだやりたいインタビューは一杯ありますが、これまでにやった物でも十分満足しています。

日本のテレビ番組の取材を受けたそうですが、放映されたものはご覧になりましたか?
いえ、まだです…。
きっと、すぐにYouTubeに投稿されると思いますよ。今日はお忙しい中、お時間を作って頂いて有り難うございました!
コメントを入れちゃう!
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