
日本のアートシーンというのは「自由」な表現に特化しているモノが増殖している…。とは言え、この現象を否定的に捉えるのではなく、ここから生み出される表現、作品、思想は“作家独自の勝手な哲学”を背景にしている点にあえて注目したい。その哲学がアートピースとして人に触れた瞬間に「繋がる」行為、それは共有を意味する。ここに紹介する姉川たくの作品たちは、この見えない「糸」を手繰り寄せる準備とばかりに拡散しはじめた。
作:ichi

姉川たくの作品は、ここ数年発表し続けている「糸」を使用したものが有名である。一昨年の個展「ASSORTMENT OF LIE」、昨年の「CORE COMPETENCE」で発表された数々の“糸を使った表現”は多種多様なイメージが混在し、明確ではなかった姉川たく本人のキャラクターを変化させるものとなった。

「closet series II」より© taku anekawa/phil co.,ltd.

「closet series II」より© taku anekawa/phil co.,ltd.

「遅すぎた人物画 <nude I世>」シルクスクリーンでプリントしたキャンバスに刺繍をほどこす、姉川たく独特のスタイル。© taku anekawa/phil co.,ltd.

「遅すぎた人物画 <nude II世>」© taku anekawa/phil co.,ltd.
刺繍作家と誤解されることも多々あるようだが、あくまで彼は表現上のツールとして糸を使用する。シルクスクリーンと刺繍技法で構成された作品群は一種のコラージュ的感覚でもありながら、どこか3次元を感じさせる。平面でありながら、立体作品、そこに彼独特の経歴(インテリアデザイン、空間演出、服飾、デジタルコンテンツ、映像、等)から生み出される核を社会とのコミュニケートとして落とし込む。様々なデジタル化された情報をフォルダにまとめて整理し、アウトプットがアナログ。いや、その逆も真なりか?

「untitled」制作の様子。(「Hidden Curriculum」展・札幌)より。© taku anekawa/phil co.,ltd.

「untitled」(「Hidden Curriculum」展・札幌)より。© taku anekawa/phil co.,ltd.
現在、ニューヨークにて行われている個展「hidden curriculum」(東京の展示は既に終了)には今年制作された新作ばかりを展示。オープニングには東京で評判だった映像と糸で表現したムービーも流されたという。そんな姉川のニューヨーク展示前に残したコメントが印象的だったので紹介しよう。

「個人的でドメスティックな考え方や行為が、時に広く受け入れられる瞬間がある。アートシーンが枯渇していた時期の日本では、それがマンガ、テレビといった大衆文化の中で花開いた。ぼくはそのすごく日本的な文化の発達が独特で好きだ。今もテレビの仕事など、大衆的でポップな仕事を通して、それらと関わろうとするのは、その頃へのあこがれと郷愁がある。そしてもちろん、今も日本はアートシーンの欠落を大衆文化の広い間口が補い続け補完しつづけている。自分もその一員でありたい。」

「closet series II」より© taku anekawa/phil co.,ltd.

「closet series II」より© taku anekawa/phil co.,ltd.
「NYでは、その日本的な“よじれた感性”を披露したいと思っている。ぼくの作る刺繍作品は完全にアートとして制作されているけれども、背景にあるのはアートと大衆文化が混ぜこぜになった世界である。日本アートシーンからは、近すぎて身近すぎて相手にされないけれども、NYならば前情報が少ない分、素のリアクションが見られるのではないかとも考えている。独自の変化を続け、魅力的に変化していっている日本のアートシーンの片隅にこんな作品や考え方が存在していることを知って、楽しんでほしい」(姉川たく)

NYで開催中の「hidden curriculum」展の様子

NYで開催中の「hidden curriculum」展の様子
日本のアートは、欧米の美術史とは異なる。日本独自の土壌で生みだされた作品は、この歴史から逸脱しているのは言うまでもないが、その文化格差を糸を使って手繰り寄せ、編み込む作業が今後の姉川たくの活動になるだろう。とはいえ、彼のその他の変化球的表現は、単なる奇をてらったものではないことを補足しておこう。
ニューヨークのオープニングに、大勢のお客さんが集ったということが嬉しい。機会があるのなら是非皆さんにも観て頂きたい。

「動脈ドレス」(「hidden curriculum」展・東京より)© taku anekawa/phil co.,ltd.
姉川たく「hidden curriculum」展
2006年8月11日(金) 〜 9月4日(月)
ZAKKA ギャラリー NYC(火曜休)
住所:147 Grand st. New York, NY U.S.A. 10013
時間:月〜金 12:00〜7:00pm / 土日 12:00〜7:00pm
電話:212-431-3961
お問合せ:phil co.,ltd.
17 コメント
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にほんでのとりあつかいがろうをおしえていただいけますか9もしよろしければ・・・。
Posted by: outoffocus @ 8月24日2006年
姉川さんのエージェントはこちらになります。
http://www.philspace.com/
国内での展覧会があれば、お知らせしますね。
Posted by: chiemi @ 8月25日2006年
どうやって制作してるのか、気になります。
Posted by: scr @ 8月29日2006年
NYですか。大阪でもやってください。
philのアーティスト、気になります。
Posted by: ssssssa @ 8月29日2006年
Cool!!
Posted by: tomoo @ 8月29日2006年
使用しているミシンは何処の何ていうヤツなんでしょう。
凄く気になります。
Posted by: makiemon @ 8月29日2006年
日本での個展の予定は無いのでしょうか?
Posted by: waruko @ 8月29日2006年
he’s way beyond!one of the greatest artists in japan you can’t miss!
Posted by: randy @ 8月29日2006年
刺繍と映像を重ねた作品を見てみたいです。東京で今後見る機会はないのでしょうか?
Posted by: lisa @ 8月29日2006年
私も東京で見てみたいです!
Posted by: miki @ 8月30日2006年
ぜひ東京で!!!
Posted by: cyoppu @ 8月30日2006年
素晴らしいです!次に東京でやる時は必ず観にいきますー
Posted by: Yama @ 8月30日2006年
ん~!素晴らしいですね!
鉄に刺繍は無理でしょうか?
相性が良さそうに感じたんで(笑)。
Posted by: yoshisteel @ 8月30日2006年
NANZUKAで一ヶ月近くこれらの作品と同じ時を過ごせたのをとてもうれしく思っています。
ほんと素敵でした。
Posted by: kurumi @ 8月30日2006年
もう1回近くでみたいから
またすぐ東京でやって欲しいです!
Posted by: satomika @ 8月30日2006年
楽しんでるなぁと思います。
もう一回東京で!
Posted by: Tsuyoshi @ 8月31日2006年
改めてみると感動しますね!!
Posted by: uco @ 9月1日2006年