
ストリート・アートとは、どんなものを指すのだろうか?フリー百科事典のウィキペディア(英語版)によれば、ストリート・アートとは公共の場、つまり文字通りのストリートで発展したアート全般を指すが、一般的には行政や地域社会など公に認められていない類いのアートの総称だ。従来のグラフィティがストリート・アートの範囲に含まれる場合もあるが、グラフィティに伴うギャングの縄張り意識や公共物の汚損的なイメージと現代の公共空間におけるアートを区別する為に使われる事が多い。
このサブカルチャーに関して言えば、ウースター・コレクティブがインターネット上で最も信頼できる作品の展示場である。このウェブサイトは、ニューヨーク在住のマーク・シラーとセーラ・シラーが自ら作った世界中のストリート・アートの資料館だ。忙しい日々を送る二人に話を伺ってみた。
作:イアン・ライナム
訳;山根夏実
マーク、セーラ、一言で言って、ウースター・コレクティブとは何ですか?
ウースター・コレクティブは、短命なアートを称賛・記録する企画やイベントに携わるアーティストや芸術愛好家の集いです。ウースター・プロジェクトの中心的な活動はウェブサイトで、連日世界中の新しいストリート・アートを紹介しています。

ウースターのサイトでは、何人くらいのアーティストを集めているのでしょうか?
ウースター・プロジェクトは2003年にニューヨーク市で立ち上げて、以来過去4年間で世界中のあらゆる国から2000人以上もの新進気鋭のアーティスト達を取り上げてきました。
そもそも、ストリート・アートを記録しようと思い立ったきっかけは何だったのでしょうか?
ニューヨークのソーホーに引っ越したのですが、そこでは日々、凄まじい量のストリート・アートが生み出されていました。そこで私達が見た独創力は、非常に奮起させられるものでしたね。ですが、それらのアートは違法なものだけに、数日…時には数時間しか保たれない事もあって、ストリート・アートの活動は何らかの形で記録されるべきだと感じました。知人や友人に、私達が日々目にするものを見せたかったのです。その為にウースターのウェブサイトを立ち上げました。サイトで最初に取り上げたアーティストはアダム・ニートでした。

アダム・ニートの作品

アダム・ニートの作品

当時のもので、特に印象に残っている作品はありますか?
私達のお気に入りの投稿は、デイビッド・チョーのものですね。彼は素晴らしいアーティストで、最高のユーモアの持ち主でもあります。彼の「Day In The Life」は、サイトに掲載された作品の中で一番気に入っています。


実際には、どういった人々がウースター・コレクティブを訪れているのでしょうか?また、訪問者からの反響はどのような印象ですか?
これまでの反応は素晴らしかったですよ。毎日、あらゆる分野の人々がサイトを訪問してくれます。ウースターは決して、他のストリート・アーティストやグラフィティ・アーティストだけが楽しむ場所ではなく、誰しもの興味を惹くサイトである事が嬉しいですね。今では一日に10万人がサイトを訪問してくれます。私達は、自主的に宣伝に力を入れる事はないので、口コミだけでこんなに人気が集った事に驚きました。
私は、自分達が作ったのは一つのコミュニティであるのと同時に、人々が世界中の都市で何が起こっているのかを見る事ができる場所でもあると思っています。もっと広い観客にアクセス出来るように、良い作品は気付いて貰えるように-その為の手段を人々に提供できたと思います。
サイト内の「入門書」ページを拝見しましたが、「ストリート・アート教室」という感じですね!ローガン・ヒックスのステンシルの切り抜きデモンストレーションは正気の沙汰じゃないと思いました!!彼があれを全部手で切り抜いていたとは思わなくて!ああいった「入門書」に関しては、誰に聞くのでしょうか?
ただ友達にメールしただけですよ。皆と仲が良いし、ローガンのは良い出来栄えでしたからね!アーティストのネットワークには1000人くらいいます。

永遠にステンシルを切り続けるローガン・ヒックス

レイヤーを塗るローガン

「入門」ページより。大きなステンシルのトレースの仕方。

色付き爆弾の作り方。
訪問者の方から頂くメールでも分かりますが、人々はインスピレーションを受ける為だけにサイトを訪れるわけではなく、新しい事を学ぶ為に再訪してくれています。ほぼ毎日の割合で、誰かがサイトで見た作品に使われている手法…シールやら麦ペーストの作り方、高い場所での作業はどうしたら良いのか等など…そんな質問のメールを送ってきます。
それで、これまでの「A Day In The Life」、「Give ‘Em Props」や「My Workspace」の続報として、世界に散らばるお気に入りの人達に連絡してウースターのサイト内に「ウースターの入門書」という新しい投稿シリーズを始めたらどうだろうと思ったのです。

では、現在のお気に入りのストリート・アーティストは誰ですか?
アームズロック、スウーン、バンクシー、Blu、マーク・ジェンキンズ…大勢いますね。

バンクシーの作品。右上のサインには、意味深に「いつでも」とある。

バンクシーの作品より。下のプラグを抜く男。

イスラエル政府が建設中の占領地パレスチナを取り囲む450メートル以上にも及ぶ壁に描かれたバンクシーの作品(2005)

イスラエル政府が建設中の占領地パレスチナを取り囲む450メートル以上にも及ぶ壁に描かれたバンクシーの作品(2005)
*追加情報:バンクシーの勇敢な活動に感動した人は、こちらから本人のウェブサイト、又は英語版ウィキペディアへどうぞ。



アップロードされるものの品質管理には、結構口を出しているのでしょうか?
そうですね、サイトは私達の心の目ですから、私達以外は誰もアップロードできないようになっています。私達はインスピレーションを感じるものや、友達と分かち合いたくなるような、凝っていたり、おかしかったり、考えさせられるような作品を選んで掲載しています。

マーク・ジェンキンズ
取り上げた題材に関して、慎重になったりはしますか?
勿論。そのアーティストの身元や個人情報に繋がるようなものは一切掲載しません。アーティストの匿名性は保護します。
現在準備中のもので、ウースター・コレクティブと関連付けられる予定のプロジェクトなどはありますか?
ドイツ、ブレーメン出身のアームズロックの作品に関する本を予定しています。


アームズロックの作品

アームズロックの作品
あなた個人としては、グラフィティに対して「ストリート・アート」をどのように定義しますか?
グラフィティは、スプレー缶を使ってアートを直接壁に塗布するもので、厳密なルールがあります。ストリート・アートは紙、ステンシル、金属などの他の素材も使う事ができるものです。
ええ、サイトの3D部門では迷子になりました。本当に多様な作品がありますね!

ジョニー・ジョンソンの「ベルリンの顔」

バンクシーの「キラー・フォン・ブース」

マーク・ジェンキンスの新しいタイプのプロジェクト「Embeds(埋め込まれた)」

メルボルンにて

カナダのトロント市にて

台湾の台北市にて
ですが、大衆文化からどのように見られているかにおいて、ストリート・アートが臨界質量に達してしまったと感じたりはしますか?
今はまだですが、もうすぐですね。今がピークに差し掛かっていると思います…。
どういった面でピークに差し掛かっていると感じるのでしょうか?
ストリート・アートも他の多くの例に漏れず、アンダーグラウンドでの活動が「主流」になると、活気が薄れ始めるんですよ。
メディアへの露出を通して、ストリート・アートが(そのルーツとの)関連性をなくしてしまうような心配はありますか?
あるとも言えますし、ないとも言えます。ストリート・アートの力の一部はなくなるでしょうが、常に誰かが新しいアイディアでストリートに繰り出すでしょう。新しいものに変身するのです。そして、それはそれで楽しみなものですね。
インタビューのお時間と、皆の為の束の間のアートの記録作業、本当に有り難うございました!
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ウースター・コレクティブとストリートアート good post1037
Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年